懐かしい景観が観光地化されるでもなく、有りのまま残る湖北の隠れ里。
あの京都美山の茅葺きの里ほどでも無いが・・・茅葺き屋根も三々五々残っている。
在原集落はその名も示すように晩年をこの地で過ごしたと言う在原業平の故地、ちなみに集落外れには業平の墓といわれる石塔もある。
在原は滋賀県湖北の旧マキノ町に在っても湖北のイメージは無く、四方を山に囲まれた谷間に開けた狭い盆地山村。
湖岸を走る国道161号線、マキノ中心辺りから北へ約10kmばかし車で20分、福井県敦賀市と境を接する。
知内川支流の八王子川を挟むように水田が拓かれ、その中央部に現在過疎化が進み30軒にも満たない有原集落が軒を寄せ合う。
今の時期ならもうすでに雪に埋まって都会人の乗用車では辿り着けないだろう・・・・。
往時この地は近江と若狭を結ぶ脇街道として機能していたが湖岸に域にその座を奪われ、その地理的条件から取り残され孤立し、今に姿を留めて居る。
集落の中央には産直販売所、その脇には廃墟になり、見るも哀れに潰れた茅葺屋根の民家。
ここを訪ねたのは夏の名残を残した九月の始め、真夏と変わらない暑さのせいもあり、時間が止まったような白日夢のような別世界を感じた。
多分現段階ではもう茅葺き屋根は10軒程に過ぎなくなっただろう・・・・、小規模な茅葺き屋根が軒を連ねる。
辺鄙な田舎の例に漏れず、ここでも過疎化高齢化は止め様もなく、小学校もすでに永らく休校したまま・・・・
民家も建物はあるものの廃墟と化した無人の茅葺き屋根もあり、なんとも悔しい。
この写真を撮って、もう何年も訪れて居ないので雪解けの頃、もう一度訪れ、この目で確認してみたい。
美しいものは哀しみも内包している。
撮影2009.9.5