愛しきものたち

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奈良県五條市(旧西吉野村) 堀家住宅「賀名生(あのう)皇居跡」

2013年01月27日 | 茅葺き屋根(同)奈良県

南北朝期の一時期、南朝の皇居として使われた屋敷だそうです。

紀伊半島の山深い山岳地域を縫うように縦断する国道168号線、その起点の五條市街より10km足らず、平野部を抜け吉野川支流の丹生川が左手に見え出し、短いトンネルを抜けると左手下方に一目でそれと解る歴史記念館と、この茅葺き屋根が見え隠れする。

この地が一時期南朝の中心地になった「 賀名生」、後醍醐天皇は吉野への途次、この「堀孫太郎信増」の邸宅に迎えられ、後村上天皇が吉野より難を逃れ入邸、更に長慶、後亀山天皇が皇居に使ったと伝えられています。

この堀家は藤原家の末裔として熊野の初代別当として陸奥の国から移り、その後代々別当職を継ぎながらこの地に居を構えた名家らしい。

茅葺き平屋建ての主屋は六間取り、田の字型に八畳間を四間取りし、更に奥へ二間・・・・、建物の半分はドマのダイドコロや伴部屋とし、多くの武士が待機していた。

大きい葺き降ろし茅葺き屋根は単純ながら美しい姿をもち、全国でも最古に属する民家として国の重要文化財に指定されています。

茅葺き屋根の「冠木門」には、倒幕の志士天誅組の吉村寅太郎の筆による「皇居」の扁額が掲げられ、格式を醸し出す。

現在は子孫の方がこの家屋を守り住まわれ、見学には事前の申し込みが必要だそうです。

撮影2009.11.28