野迫川村は雲の彼方と誰かが称したように山深く、街からは遥かに遠い山中の谷間に集落が点在する。
平集落はそんな野迫川村にあっても更に山深い山間僻地、野迫川村では珍しく谷川沿いでは無く、山の尾根筋に在る集落です。
前回紹介の今井集落から県道53号線で山越え、途中高野山方面に行くこの県道と別れ、県道733号にて村役場の有る中心部を越えひたすら北股川を遡り、更に枝道をのぼり詰めると「平家惟盛歴史の里」と書かれた大きな看板を掲げた集落に出会う。
ここまで今井集落から凡そ40分、やっぱり遥か雲の彼方の遠さです。
集落には「平惟盛」の伝説が色濃く残っており、ここが源平の戦いで敗れた平維盛(たいらこれもり)が最期を迎えた土地だと伝えられ、亡骸を弔ったという塚もある。
村ではこの集落の伝説を起爆剤に、観光客誘致のための施設を造ったようですが、僕が訪れた7月初めの日曜日には誰一人見かけることは無かった。
集落は廃校になった小学校を挟んで凡そ10軒ばかし、それでもその殆どは空き家で痛みが目立つ。
集落の家屋は簡素な造りでトタン屋根の平屋が多く、この建物を見ただけでは歴史的なものを感じることは出来ない。
たぶん住人も五指にも満たないのじゃないだろうか??・・・・・、ちらっと見かけたのは3人だけ。
小学校脇には「維盛」の死を悼み、村人が勧請したという勝手神社の鬱蒼とした参道が続く・・
参道奥には杉の巨大木に囲まれて勝手神社の社殿。
ダダ広くすっかり寂れ果てた駐車場より見る廃校の平小学校と大公孫樹・・・ここにも子供たちの喧騒はもう帰らない。
平と云う集落名は「平維盛」にちなんだものに違いないだろうが・・・・、大挙して観光客が押し寄せても対応できる住民は最早居ない。
撮影2011.7.2