この石仏さんの存在を知ってからずっと思い続け、やっと出会えた石仏さんです。
ここは奈良市二名町矢田丘陵の北外れ、ゴルフ場の一画に残された濃い緑の中にある古刹、王龍寺本堂内陣に磨崖共に取入れられ、本尊として祀られている。
富雄川沿いに走る県道7号線から西行、新興住宅地を超え、ゴルフ場内を突き抜けると王龍寺山門前の駐車場に着く。
本堂はこの先300mほど先の境内奥正面に山肌から突き出た巨岩を取り込む形で建っている。
本堂を開錠していただき、正面須弥壇の奥、内陣にあるこの十一面観音磨崖石仏に真近に出会うことが出来ました。
堂内は外部の光が一部差し込みますが薄暗く、揺らめく蝋燭の光でまさしく幽玄の世界で石仏さんと対峙しているようで感動的な出会いです。
岩は高さ4.5m、幅5.5mもある花崗岩の巨岩で、時期的なことも有り表面には水分が浮き、しっとりした色合いと怪しいまでの幽玄の美を醸し出しています。
夏場の乾燥時期になるとっ表面がうんと白っぽくなるようです・・・・、岩の表面に触れて見ると確かに表面には露が浮いていました。
中央に刻まれた十一面観音像は頂部の丸い舟形光背を彫り沈めた中、蓮華座に立つ像高2.1mの半肉彫り。
頭上には十一面の化仏を戴き、右手は与願印、左手には蓮華瓶を掲げ持つ。
向かって右脇には建武三年(1336)の銘が刻まれ南北朝期、南朝方年号です。
いかにも慈悲深い尊顔です。(画像が良くなくてスミマセン・・・・・)
傍らには追刻された不動明王立像・・・・、像高約1m、室町中期の文明元年(1469)の銘が刻まれています。
数多い大和の石仏の中に有って、一種独特な味わいのある磨崖石仏で大和高原域の磨崖石仏とは一線を画しているように思います。
撮影2011.6.5