土曜日には金曜日のラディオ放送と同じプログラムがストリーミング中継された。しかし後半の問題の曲が急遽法的にストリーミング出来ないとあったようだ。当夜の写真を見るとマイクの設置から本格的な録音の様子が見えたので商業化計画が存在して、指揮者・楽団側が商業化を撥ねたことでレーベル専属歌手リザ・ダヴィドセンのDCH放映拒否が急遽決定したものだと思われた。
しかしどうも事実はより厳しいお話しのようだ。つまり12年前にベルリナ―フィルハーモニカーのデジタルコンサートホールとユニヴァーサルグループの間で合意された出演基本契約の改正がなされなかったというものだった。12年前の議論はあまり覚えていないが、レーベル側は自らの市場を荒らすDCHのストリーミングと対峙していた。要するに旧ハードメディア市場とストリーミング市場の関係もこの間に変わったということであろう。DCHで高画質ハイレゾ音質で放映されるようになった技術的発展環境も大きい。
いづれにしてもレーベルと専属契約をしている演奏家の今後のDCH出演が問題になる。来月にはNHKなども放映資金を出している野外演奏会ヴァルトビューネには専属である可能性が強いピアノのトリフォノフが登場する。これは制作会社ユーロアーツが制作して配給しているのでそれに登場するのは問題がないかもしれないが、DCHでは流されないことになるかもしれない。世界各国の公共放送でも流されるのでそれほど大きな影響は出ないのかもしれないが ― 日本ではDCH会員もNHK独占契約故にブロックされていてこれらをNHK以外では観れないことになっている ― やはりそれはDCHストリーミングサーヴィスとしては大晦日のジルフェスタ―演奏会と共に目玉でもあったので影響は大きい。
これでレーベルとDCHは全面対決となった。演奏家にとっては損益となる。例えばトリフォノフほどの才能があれば専属契約などは邪魔になっても得にはならない。同様に指揮者のネルソンズもネゼセガンなどももうDCHには出演できない可能性が強い。これで恐らくどちらかの息の根が止まる可能性が強くなった。
いつもの事乍ら裏情報も一切無いという前提で交渉の裏側を推測する。メディア側にとっては将来的にも大きな価値がある演奏家のコンテンツが欲しい。勿論その筆頭にいるのはキリル・ペトレンコ指揮ベルリナーフィルハーモニカーであり、喉から手が出るほど欲しいのである。そこで、今回も他の持ち駒を使って王取りに来た。具体的には後半の「抒情交響曲」のダヴィドセンの出演を許可する代わりに今後の専属演奏家との共演の全ての商品化許可を求めてきたのだろう。これと同様な状況は2015年バイロイト音楽祭におけるバイエルン放送協会での映像化が流れた状況と酷似している。ペトレンコはDGレーベルでの商品化を拒絶して、放送局は商品化でのDG側の制作費分担がないならば予算がないとした。
アムステルダムではレーベル専属の若い指揮者が名門コンセルトヘボー管弦楽団の指揮者になった。愈々こうしたビジネスモデルの終焉に近づいていると思われる。息が止まるのはどちらかが見えてくる。
参照:
全曲を無事エアーチェック 2015-08-18 | 生活
最期に開かれたのか? 2022-05-16 | 文化一般
しかしどうも事実はより厳しいお話しのようだ。つまり12年前にベルリナ―フィルハーモニカーのデジタルコンサートホールとユニヴァーサルグループの間で合意された出演基本契約の改正がなされなかったというものだった。12年前の議論はあまり覚えていないが、レーベル側は自らの市場を荒らすDCHのストリーミングと対峙していた。要するに旧ハードメディア市場とストリーミング市場の関係もこの間に変わったということであろう。DCHで高画質ハイレゾ音質で放映されるようになった技術的発展環境も大きい。
いづれにしてもレーベルと専属契約をしている演奏家の今後のDCH出演が問題になる。来月にはNHKなども放映資金を出している野外演奏会ヴァルトビューネには専属である可能性が強いピアノのトリフォノフが登場する。これは制作会社ユーロアーツが制作して配給しているのでそれに登場するのは問題がないかもしれないが、DCHでは流されないことになるかもしれない。世界各国の公共放送でも流されるのでそれほど大きな影響は出ないのかもしれないが ― 日本ではDCH会員もNHK独占契約故にブロックされていてこれらをNHK以外では観れないことになっている ― やはりそれはDCHストリーミングサーヴィスとしては大晦日のジルフェスタ―演奏会と共に目玉でもあったので影響は大きい。
これでレーベルとDCHは全面対決となった。演奏家にとっては損益となる。例えばトリフォノフほどの才能があれば専属契約などは邪魔になっても得にはならない。同様に指揮者のネルソンズもネゼセガンなどももうDCHには出演できない可能性が強い。これで恐らくどちらかの息の根が止まる可能性が強くなった。
いつもの事乍ら裏情報も一切無いという前提で交渉の裏側を推測する。メディア側にとっては将来的にも大きな価値がある演奏家のコンテンツが欲しい。勿論その筆頭にいるのはキリル・ペトレンコ指揮ベルリナーフィルハーモニカーであり、喉から手が出るほど欲しいのである。そこで、今回も他の持ち駒を使って王取りに来た。具体的には後半の「抒情交響曲」のダヴィドセンの出演を許可する代わりに今後の専属演奏家との共演の全ての商品化許可を求めてきたのだろう。これと同様な状況は2015年バイロイト音楽祭におけるバイエルン放送協会での映像化が流れた状況と酷似している。ペトレンコはDGレーベルでの商品化を拒絶して、放送局は商品化でのDG側の制作費分担がないならば予算がないとした。
アムステルダムではレーベル専属の若い指揮者が名門コンセルトヘボー管弦楽団の指揮者になった。愈々こうしたビジネスモデルの終焉に近づいていると思われる。息が止まるのはどちらかが見えてくる。
参照:
全曲を無事エアーチェック 2015-08-18 | 生活
最期に開かれたのか? 2022-05-16 | 文化一般