Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

専門的な値踏み感覚

2022-06-03 | 
ケルンでの九月の音楽会の一般発売だった。前夜にも列車の時刻表などを見て、50ユーロ程で往復できることは分かった。乗車時間も合わせて3時間ほどだ。クリーヴランド管弦楽団の欧州ツアーの一部になる。ベルリンからハムブルクを経てである。最大の問題は当夜のプログラムで後半は「バラの騎士」組曲とリヒャルトシュトラウスプロである。そもそも交響楽団のそんなものはあまり聴きたくない。

それに比較して、ルツェルンやベルリンでのプログラムはリームの曲二曲が前半に入っている。しかし後者は後半がシューベルトの大ハ長調なので、昨年に続いては控えたい。しかし前者では、後半にブルックナーの九番が演奏される。九番は最後に聴いたのが故ギーレン指揮SWF交響振楽団で、前半にシェーンベルクのヴァイオリン協奏曲が演奏されていた。その時は12音技法的な統一感だったが、今回も少なくとも演奏技術的にはその時とは比較できない成果が期待される。指揮者のリンツ出身のヴェルサーメストにとっては同郷の作曲家である。

こうなればプログラムに関しては選択の余地がないのだが、廃車の事やら燃料代を考えると、少なくとも120ユーロぐらいは掛かる。つまり70ユーロ交通費が嵩む。更に途中で何か罰金でもあるととんでもないことになる。

そこでケルンのホールで幾らでどれ程の席が余っているかを待つことにした。結局最低118ユーロ払わないとそのホールの良さが分かる席はなかった。来週のヴィーナーフィルハーモニカー公演などは150ユーロ払わないと駄目なので、明らかにその価値が転倒している。どんなに頑張ってもネルソン指揮ヴィーナーは、メスト指揮クリーヴランドに技術的には言うまでもないが、音楽表現的に足元にも及ばない。

なぜクリーヴランドがこれほど安く聴けるのかは分からないのだが、その120ユーロを掛けるまでもなく、70ユーロ程でそれ相当若しくは更に素晴らしい音響の座席でルツェルンでは聴ける。これで幾らかは交通費の差額は縮まった。

なるほどケルンでも来週のヴィーナーフィルハーモニカ―の高額席は余っている。劇場でも演奏会でも音響も重要であるがやはりそこに集う人の質も問われる。音楽祭とは異なってこの手の演奏会は通俗向きの定期会員が殆ど担っている。

そもそも会場の音響云々を語るのは可也の専門的な知識や経験も必要で、己の好みや印象でなく適格に判断するのは容易ではない。最終的には音楽的な見識が必要で、どこの会場のどこの席ならこれぐらいの価値があるかないかという値踏みは管弦楽団の価格以上に専門的な話題になってしまう。



参照:
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