強烈な市民の声に浮き足立ってきた日本政府並びに霞ヶ関の官僚についてフランクフルターアルゲマイネが政治欄に書いている。
それによると一万人の抗議行動は、霞ヶ関の政治エリートを揺さぶりだしたと言うのである。国家戦略大臣古川の会見で、エネルギー環境政策の発表予定八月が遅延になった。野田首相が20%ミックスと決めていた原発比率では、夏休み後に抗議行動に油を注ぎかねないと憂慮したのだとする。
そもそも野田首相は、日本人の再稼動への憂慮を過小評価していて、西洋的な尺度からすればフクシマ直後の驚くべき静かな反応は、初めて再稼動で大きな行動となって膨れ上がってきた。
これによって政治が些か膠着状態に陥った。情報カルテルで形成されている日本のマスメディアさえ、こぞって静観を余儀なくされたが、抗議行動を受けて急に事実を報じ出した。
一国で一体何がどうなっているのだ、その最大の戒は、上役を怒らせないことで、表向きはお上に逆らわないことではないか?
抗議行動の画は、いつも行動となれば必ずそこにいる活動家団体が為しているものではなく、全く普通の市民たち、家族づれ、多くの老齢者、新たに毎週毎週集まってくる人達なのである。
霞ヶ関の政治家を困惑させているのは、彼らがその事務所の窓から見るその抗議の光景である。調和の社会のその核が突然いきりだした、そして原子力政策の政治への服従を拒絶した。
一年間も政治は、決断をはぐらかし続け、その間に一つ一つと原子の火は消えていった。そして原子力無くともなんとかなった。野田の「次から次への再稼動への目立たない決意」は、抗議を否応無く呼び起こした。
八月に予定されていた新たなエネルギーミックスは最初から決まっていて、ドイツのような決断は野田の選択肢には一度もまともに検討されていなかった。野田はぶれることは無い。政策発表は先送りにされた。自民党の長期政権によって培われたエネルギー産業との連合を野田は堅持する。
その理由は明らかなのである。なるほど原子力無くともオイルやガスで日本はやっていける。しかし、甚大な国際収支の悪化と高騰する燃料費での産業空洞化は避けられない。
自民党の谷垣総裁は嘯く、「抗議行動なんてものは多くの人間が憂さを晴らすためのものなんだよ」と。政治の役割は、そうした憂さを晴らすことであり、他の野党政治家は、「抗議行動は国会審議に反映されるべきだ」と言う。現在までそれはほとんど斟酌されていない。
しかし動きは僅かながらもあり、元総理の鳩山は抗議行動に列を成して、総理に直接圧力をかける。政治エリートの大半は今でも原子力にかけていて、抗議行動をどうにか迂回しようとしている。そしてどうして良いか予期せぬ現象に困惑して環境大臣細野のように「答えが無い」と、野田とその仲間たちは、この原子力への抗議行動によって、長期に及ぶ矮小化と危険性無視の生贄になろうとしている。
繰り返し繰り返し日本人は繰り返した。「日本の原子力は世界一安全で、現実的に事故は発生しない」。危険への喚起は無視されて、招かれない専門家は排除された。原子炉が無茶無茶なことを示すものは悉く無視され続けた。
野田は、国会の日本製人災判断を受けて、確信を以って「原子炉は安全です」と意識的に古いいいくさを繰り返す。しかし、あまりにも多くの日本国民はそれを思い出し、それを信じない。
日本の政治で原発擁護の過半数がいつまで続くのかは疑問である。山口では原子力推進派が勝利した。矢張り東京は日本ではないのか?どうも原子力政策ではないらしい。
その読者である社会の指導者層に向けて書いている。しかしドイツの新聞であるから、日本の指導者は読者でない。であるから、国際収支の悪化を招いている経済問題については、既に同記者が別記事で触れているので、ここでは敢えて問うていない。もし、燃料調達での国際収支の稀にみる悪化を議論するならば、同時にドイツに見習えと白書で訴えている日本の経産省の戯言や再生可能エネルギー政策を議論するのではなく、根本的な許認可権などの閉鎖した日本社会を解放して、自由な経済活動と言論・文化による国際競争力の強化を訴えるべきだろう。大飯原発再稼動反対行動などに顕著な創造力豊かな日本の若者の担っている国際競争力を有効化する行政である。
参照:
Die Mitte einer auf Harmonie angelegten Gesellschaft begehrt auf, Carsten Germis, FAZ vom 31.7.2012
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それによると一万人の抗議行動は、霞ヶ関の政治エリートを揺さぶりだしたと言うのである。国家戦略大臣古川の会見で、エネルギー環境政策の発表予定八月が遅延になった。野田首相が20%ミックスと決めていた原発比率では、夏休み後に抗議行動に油を注ぎかねないと憂慮したのだとする。
そもそも野田首相は、日本人の再稼動への憂慮を過小評価していて、西洋的な尺度からすればフクシマ直後の驚くべき静かな反応は、初めて再稼動で大きな行動となって膨れ上がってきた。
これによって政治が些か膠着状態に陥った。情報カルテルで形成されている日本のマスメディアさえ、こぞって静観を余儀なくされたが、抗議行動を受けて急に事実を報じ出した。
一国で一体何がどうなっているのだ、その最大の戒は、上役を怒らせないことで、表向きはお上に逆らわないことではないか?
抗議行動の画は、いつも行動となれば必ずそこにいる活動家団体が為しているものではなく、全く普通の市民たち、家族づれ、多くの老齢者、新たに毎週毎週集まってくる人達なのである。
霞ヶ関の政治家を困惑させているのは、彼らがその事務所の窓から見るその抗議の光景である。調和の社会のその核が突然いきりだした、そして原子力政策の政治への服従を拒絶した。
一年間も政治は、決断をはぐらかし続け、その間に一つ一つと原子の火は消えていった。そして原子力無くともなんとかなった。野田の「次から次への再稼動への目立たない決意」は、抗議を否応無く呼び起こした。
八月に予定されていた新たなエネルギーミックスは最初から決まっていて、ドイツのような決断は野田の選択肢には一度もまともに検討されていなかった。野田はぶれることは無い。政策発表は先送りにされた。自民党の長期政権によって培われたエネルギー産業との連合を野田は堅持する。
その理由は明らかなのである。なるほど原子力無くともオイルやガスで日本はやっていける。しかし、甚大な国際収支の悪化と高騰する燃料費での産業空洞化は避けられない。
自民党の谷垣総裁は嘯く、「抗議行動なんてものは多くの人間が憂さを晴らすためのものなんだよ」と。政治の役割は、そうした憂さを晴らすことであり、他の野党政治家は、「抗議行動は国会審議に反映されるべきだ」と言う。現在までそれはほとんど斟酌されていない。
しかし動きは僅かながらもあり、元総理の鳩山は抗議行動に列を成して、総理に直接圧力をかける。政治エリートの大半は今でも原子力にかけていて、抗議行動をどうにか迂回しようとしている。そしてどうして良いか予期せぬ現象に困惑して環境大臣細野のように「答えが無い」と、野田とその仲間たちは、この原子力への抗議行動によって、長期に及ぶ矮小化と危険性無視の生贄になろうとしている。
繰り返し繰り返し日本人は繰り返した。「日本の原子力は世界一安全で、現実的に事故は発生しない」。危険への喚起は無視されて、招かれない専門家は排除された。原子炉が無茶無茶なことを示すものは悉く無視され続けた。
野田は、国会の日本製人災判断を受けて、確信を以って「原子炉は安全です」と意識的に古いいいくさを繰り返す。しかし、あまりにも多くの日本国民はそれを思い出し、それを信じない。
日本の政治で原発擁護の過半数がいつまで続くのかは疑問である。山口では原子力推進派が勝利した。矢張り東京は日本ではないのか?どうも原子力政策ではないらしい。
その読者である社会の指導者層に向けて書いている。しかしドイツの新聞であるから、日本の指導者は読者でない。であるから、国際収支の悪化を招いている経済問題については、既に同記者が別記事で触れているので、ここでは敢えて問うていない。もし、燃料調達での国際収支の稀にみる悪化を議論するならば、同時にドイツに見習えと白書で訴えている日本の経産省の戯言や再生可能エネルギー政策を議論するのではなく、根本的な許認可権などの閉鎖した日本社会を解放して、自由な経済活動と言論・文化による国際競争力の強化を訴えるべきだろう。大飯原発再稼動反対行動などに顕著な創造力豊かな日本の若者の担っている国際競争力を有効化する行政である。
参照:
Die Mitte einer auf Harmonie angelegten Gesellschaft begehrt auf, Carsten Germis, FAZ vom 31.7.2012
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