Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

節度が保たれる抗議行動

2012-06-27 | マスメディア批評
フクシマ後の日本のエネルギー政策を評価した社説が載っている。福島以降十五ヶ月が経過しているのに未だに明らかにされていない最重要政策を、野田首相が八月に公にするとある。FAZ紙のカルシュテン・ゲルミスは、イデオロギーに彩られた連邦共和国のそれとは異なって日本政府のそれは実際的で工業先進国のお手本とすべきヘーゲルの理性に準拠するものだと絶賛する。

なるほど今回経済相によって承認された太陽光自家発電の買い取り価格がキロワット時あたり42ユーロセントと、ドイツのそれの二倍だというのである。これによって、日本は太陽エネルギー分野において、イタリアやドイツを直ぐに抜かすだろうと予想する。

つまり日本は、核無しの電力供給をブラックアウト無しに見事にやってのけたが、当面の経済的な損失である燃料費高騰による嘗てない九千七百億円の貿易赤字を食い止め、関西のパナソニックや京セラなどの企業の海外移転を抑えるために原発を再稼動する一方、京都議案書のそれを遅らさせつつも遵守して、且つ一方水力以外の再生可能エネルギーの推進を試みるというのである。

しかし同時に、フクシマ後の尋常ならざる経済被害の大きさは現実主義的な野田政権の施策として福島以前に戻すことはありえないとする。

そうした野田政権に対して国民の懐疑は強い反面、脱原発への抗議行動は節度が保たれているのは、核への恐怖以上に大きい更なる経済的危機や不景気があるためだと分析する。

七月一日を以って、大飯原発の制御棒が引き抜かれると言う。政府がどのような工程表を以ってエネルギー政策を明らかにしていくかは知らないが、それとは無関係に有権者は声を大にして既成事実を重ねていくことで、初めて政府の反応を正面から対峙することが出来るのである。

金曜日の抗議行動の規模とその成果は、今後の日本の政治や社会のあり方をはかるとても重要な抗議行動になると思われる。賢明な有権者は気がついているだろう、こうした最重要政策への関心を国民の目からずらすような形でまるで争点を外すかのように政局などの話題が盛んにネットを含むメディアで取り上げられることを。それはなぜゆえか?



参照:
Japans Energiepolitik nach Fukushima, Carsten Germis, FAZ vom 25.6.2012
Japan kehrt zum Atomstrom zurück, Carsten Germis, FAZ vom 17.6.2012
もう一息の紫陽花革命 2012-06-23 | マスメディア批評

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2 コメント

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我が儘な一部の人が心配 (名無しの権兵衛)
2012-07-21 22:28:44
節度保たれる抗議行動

「節度保たれるとは」どこまで(何)をいうか
抗議行動だけ
家庭でも
職場でも

一部の参加者は推定の域だけど多分
使っていないとき
電気(テレビ、照明)点けっぱなし
冷房設定温度28度ありえない
携帯・スマフォの電源入れっぱなし
パソコンの電源入れっぱなし
→ちりも積もれば相当な電力量かな

国政選挙、地方選挙投票しているかな
誰もいなければ白票投票でもしっかり投票だよね

節度ある大人は節電と投票で
権利と義務を果たして抗議行動ですよね
電気垂れ流しでは福島県民に背を向けられない。

ジコチュウの我が儘な御方がいないことを祈るだけです。


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学者や知識人に欠ける (pfaelzerwein)
2012-07-22 00:02:56
上の「社会情勢から節度が保たれている」という分析と状況は日本に住んでいない者にはよく分りませんが、先進工業国共通の状況でもあるかもしれません。

一つには成長神話と呼ばれる経済システムへの懐疑があり、一つには縮小する経済と社会保険や将来への不安があるのは分ります。

前者では節電やシムプルライフの提唱や実践などスローフードなど環境優先志向も含まれるでしょう。

後者では従来の社会構造の前提が崩れて制度的に合致しなくなってきていることがあります。徴税や選挙制度など全てにおいて簡素化と改革が必要になってきているのは当然のことです。しかし、その改革を進めるには立法府の合意が必要という卵が先が鶏が先かの問題となっています。

そこに風穴を開けるオピニオンリーダーとなる学者や知識人が日本には欠けているのが最大の問題です。
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