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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

財政破綻などどこ吹く風

2015-06-05 | 試飲百景
水曜日は久しぶりにギメルディンゲンの石切り場に向かった。早めに向かったのでそこの開拓者で同行者のパンや親方と一緒にヨセミテを登ったヴォルフガングや地元のクライミング会の前会長に久しぶりに挨拶が出来た。肩の痛みは仕方がないがフランケン以降初めて登った。休みがあったので良くも悪くもリフレッシュが出来た。そしてフランケンの中間確保のよさのようなものをを石切り場で再確認した。また靴の摩擦は石切り場であってさえも雑食砂岩は優れていることを再確認した。五本ほど登った。身体ならしに翌朝山頂まで走ろうと思ったが起きてみると朝陽が強すぎる。夜中中窓を開けておいた気温にしては東向きの斜面を走るのは辛い。心拍系とGPSで初計測を断念する。

次の試飲会の前にザールでの試飲を纏めておかなければいけない。二件目の試飲でカンツェムという駅横のオーテグラフェン醸造所に行った。動向のザールヴァインさんのお付き合いで、超有名人ギュンター・ヤウフの醸造所ということで冷やかしのつもりだった。しかし一軒目のファンフルクセム醸造所で辛口もちゃんと出しているということを聞いて、ホーフの裏側のアルテンベルクの地所を見ているうちに本気になってしまった。アルテンブルク自体はフォルクセムの銘柄として知っているので概ね見当はついていてロートリーゲンスのような印象を持っている。しかし本格的に辛口を醸造するとなるとこれはこれで興味深いのである。

車を進めると、入り口前に駐車スペースが用意してある。まるで観光地のようなのだ。流石に有名人が当主となると俗物の冷やかし客が増えるからだろう。そして実際にホーフの中へと車を進めると立派なヴィノテークがあった。これならば観光客相手にも商売が出来る。しかしヴァッヘンハイムのビュルクリン・ヴォルフ醸造所などとは一桁も違いすぎて話にならないが、この規模の醸造所だから可也完璧に投資されている印象を受けた。先代は遠縁のケルンの病院の勤務女医さんだと聞いていたが、相手をしてくれた事務の女性はそのころからのパーソナルだとその話から直ぐに分かった。彼女らにしてみるとギュンター・ヤウフの名前で訪れる一見さんは疎ましい存在だろうが、ある程度事情の分かっているワイン街道からのお客さんならという意識はあって当然であろう。

こちらもそのワインの質が分からないばかりでなく、同行者の昨年の経験からあまりよくないということを聞いていたので、お互いにあ繰り状態の試飲となった。それで先ずはグーツリースリングに当たるMAXを試す。最初からシーファーの柔らか味があるのだが、2014年産は全く酵母臭があっていけなかったので在庫のある2013年産を試す。じっくりと味わうとなるほど雑味風のものと酵母風のものはあるのだが可也品のよい酸である。決して悪くはない。次にオルツリースリングに相当するカンツェマーを試す。これは同じ傾向ながら、その価格15,50ユーロとしてはもう一つ満足がいかなかった。そこで見切りをつけてMAXで話をつける。

リストには、ボックシュタイン、アルテンベルクなどのグランクリュが比較的購入しやすい価格で並んでいる。裾モノの二点からある程度は予想がついたので、先ずは様子見ということにした。代が変わってからまだまだ年月が経っていない。年間何十億も稼ぎ、最近はドイツでギリシャの財務大臣を独占で番組に招いたなどその活躍は頂点に達している。それでもワイン醸造所への意欲は夫婦ともどもあるようで、資産形成以上の熱意を示している様子も見られるので、今後が楽しみな醸造所の一つである。何も無理して金儲けに走らないでもよい余裕がなければワインの品質向上などは狙えないのである。

こうしたありとあらゆることを含めて、そのワインについての痴話話の種を収穫できて、初期の目的は達成された。今後とも顧客としてその発展に注目したい。



参照:
神の膝元のリースリング 2015-06-02 | 試飲百景
桃の味の正体である酵母 2015-05-31 | ワイン
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神の膝元のリースリング

2015-06-02 | 試飲百景
二年ぶりにファン・フォルクセム醸造所を再訪した。前回は2013年8月だったから、中途半端な時期であった。今回は秋のグランクリュを予約するためにそれなりの傾向を判断することが重要であった。結論からすると、2013年以降質が向上していることが確認できた。その原因は公式には語られていない、それでもある程度の予想はついた。これが最大の成果だった。

2013年産以降なにがよくなったかといえば、現代のドイツのリースリングの基本である清潔なクリアーな味筋にある。これはVDPの高級ワイン醸造所には最低限求められるもので、この清潔さが増せば増すほど上位の醸造所となり、その価格も頂点を極める。ビュルクリン・ヴォルフ、レープホルツ、ロベルト・ヴァイルなど皆共通している特質である。しかしその中で天然酵母の自然発酵をなしている醸造所はビュルクリン・ヴォルフなど希少である。そのなかで、自然発酵の多いモーゼル地域の醸造所として、ファン・フォルクセムはある程度の質を維持して上を目指してきたが、ここのところその清潔度が俄然向上したのだ。新たな醸造蔵への投資とは直接この変化は関係ないようだった。

さて、先ずは「シーファーリースリング」を試す。清潔度はあるが雑味がある。数件の農家から買い付けた葡萄を使ったリースリングである。その価格9.90ユーロはロベルト・ヴァイル以上かもしれない。天然酵母とフーダーなら価格は仕方がないかもしれないが、ミネラルの質感が足りない。

次は、ザールリースリングで、以前に訪問したときは買い付け葡萄だったが、現在は自己の葡萄のグーツリースリングとなった。これを試すのは2012年以来であるが、価格も11ユーロと自信あふれる価格だ。全くロベルト・ヴァイル並みの高価格帯となっている。しかし、ヴァイルは2012年産を除いては全く木樽を使っておらず、天然発酵の技術力がない。どちらが品質が高いか?

次は、「フォルツ」のある「ブラウンフェルツ」のリースリングである。シュルツホーフベルクの川に落ちる村側の裾に広がる地所である。これは、以前からどうしてもラインガウのグレーフェンベルクと比較してしまう構成感が嬉しいが、まだそこまでは至っていないというのが所感であり、もう少し時間が掛かりそうだ。

7月にリリースされる「アルテ・レーベン」の樽試飲をして、2013年の質を引き継いでいることを実感した。明らかに2012年産までとは違うのである。理由は簡単だ。天然酵母の扱い方に尽きる。

「ゴッテスフス」の横にある「ロートシーファー」のファインヘルプもヴァイスブルグンダーもお付き合いで試すが、リースリングの酸に弱い人以外は価格からして態々購入するまでも無いワインだろう。そこで引き続き、樽試飲をさせてもらう。フォルツとゴールトベルクである。流石に現時点では酵母臭が強いが清潔度は再確認できた。2013年ほどよくはないかもしれないが2014年産も以前の濁酒とは全く違っていた。

最高品質を求める醸造所、いよいよ頂点を目指す体制が整ってきている。もはや毎年目を離せなくなってきている。ザールの品のよい酸の出方と品質、時間の問題であろう。



参照:
ザールリースリングの旨み 2012-08-20 | 試飲百景
スレンダーながら多層的な23歳 2014-10-16 | ワイン
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木樽とその不可欠な効力

2015-05-24 | 試飲百景
試飲会は面白かった。ロベルト・ヴァイル醸造所に着いたのは16時を超えていてパン以外は口にすることが出来なかった。忙しかったので仕方が無い。本来の計画ならば正午に出かけて早めに帰宅して、ミュンヘン行きに備えるつもりだったのだ。結局日にちを間違えていて、その分色々と仕事をしているうちに遅くなった。それでも春の試飲会は新鮮なリースリングで、グローセスゲヴェックスなどの仮注文に備える目的だから、それでよいのだ。口に食事している場合ではない。

改めて醸造所のコンセプトを確認した。木樽が導入されてから、一部には清潔度が落ちたという批判があることをぶつけてみると、なるほど100%のグローセスゲヴェックスとラーゲンヴァインの50%では2011年からそれによって変化していることは確認された。要するに複雑性が増したことであるのだが、瓶熟成を知らない人々には何のことか分からないのは当然のことだろう。

ドイツ一番の技術力と品質と評価されながらもそれ以前のグローセスゲヴェックスの瓶熟成の無さは、ダイデスハイムの昔の名前のバッサーマン・ヨルダンのそれと双璧であった。要するに90年代のシュヴァルツ親方の成果を受け継いだ醸造親方の優等生的な解決法でしかなかったのだ。我々は、木樽の利点と欠点をそれ以前の出来で身体に沁み込ませているので、ステンレスの醸造だけが品質でないことは認識していたのだ。

そして瓶熟成が必要となるグローセスゲヴェックスの時代になって漸くその利点が不可欠なものとなったのである。なるほどヴァイルのグレーフェンベルクは2007年産でも未だに新鮮だ。今回試飲した2006年産のシュペートレーゼの甘口も決して悪くは無かった。要するに長持ちはしても、成長しないワインだった。

それが木樽で大変革したのだが、その味筋はより複雑になった。そしてその判断はより難しくなった。例えば、2004年産キードリッヒのヴィラージュは酵母味が残っており、気になる人はとても買えない。昨年とは全く違うのは、葡萄が違うからで、昨年ほどの健康は得られていない。そして、プリユミエクリュのクロスターベルクは、一般受けしていたが、石灰の丸みが飲み易くさせていたに過ぎない。リースリング愛飲家ならば手を出さないリースリングである。

そしてテュルムベルクは酸が可也激しい。しかし、これはグレーフェンベルクをある程度期待させるに十分であった。そして木樽こそ、複雑さと瓶熟成を約束するものである。「木樽は丁度シャブリのようにクリーミーさを添える」とする見解はとても優れていると思うが、決してフーダーのような小さな樽の味付けをしているのではないことが肝要である。大きな樽でゆったりと呼吸させることが瓶熟成の基本である。醸造の可也の裏話を聞いてしまったが、2011年以降のグローセスゲヴェックスはとても将来性が豊かになったことだけは確信する。

今回持ち帰ったのは結局グーツリースリングで木樽は一切使っていない。もしこれで雑味があるとしたならば、葡萄が腐っていただけに過ぎない。少々残糖を多めにして飲みやすくしてある。もしこれで不満ならば、同じ価格帯のレープホルツ醸造所のオェコノミラートを買うべきだ。帰宅して、昨日開けたヴァッヘンハイマー・リースリングを比べると決して悪くは無いのである。とても苦味が先行しているようで現時点では若過ぎで推薦できないと思ったリースリングに違いが無いのではあるが。その意味からすると、拘りのミュラー・カトワールの2014年産は秀逸だ。注目されるに違いない。



参照:
還元法は十五年も前のこと 2015-05-06 | 試飲百景
根腐りしているような市場 2015-04-19 | ワイン
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還元法は十五年も前のこと

2015-05-06 | 試飲百景
丸山の戦後の講演内容を読んでいる。論文とは違い内容と本人の趣旨というかその話しての立場が見えるようでとても面白い。戦中戦後の視座をそこから見て取れるだろう。

久しぶりにミュラーカトワール醸造所で個人消費者向きの試飲会が開かれた。月曜日の平日の午後であり、静かな雰囲気での試飲会であったが、それなりに味わえた。マンハイムの音楽学生がイタリアンバロックやバッハのチェロ組曲をバルコンで弾き鳴らす中での静かな午後であった。天気はよかったが午前中に走っていたので、些か身体に堪えた。

グーツリースリングは、2014年の特徴で濃くはあるのだが繊細さに欠けて、特別な魅力がないのは予想通りだった。オルツリースリングも酸が結構表面に出ていて、若すぎる特徴が表れていた。ハールトの方は秋になるとやや重い感じがするのだが、早い時期には酸が前にはだかっているので酸に重みがある。ギメルディンゲンの方は、いつもの柑橘系の酸であるが、薄っぺらさは否めない。

それに続くビュルガーガルテンは流石に複雑だ。こうして比較すると全く違うのである。秋の試飲ではこうした旨さが感じられないのは産が引っ込んでしまっているからだろうか?それとも2014年の気候がこの土壌にあっていたのか?確かに軽さのない土壌であるが、独特の土壌感はある意味マンデルガルテンなどにも似ているが、複雑さは面白い。

これについて、親方に尋ねると、2014年はそれほど多くの醸造所が成功している訳ではないと、グーツリースリングの下のリッターワインのキュヴェーからして手づみで収穫しているというのだ。これには大変驚いたが、全体の出荷量を落として質を保とうとすれば信じられないわけではない。そして、もう一つ上のヘーレンレッテンと価格は2ユーロ安くとも質は変わらないというのだ。そして木樽を使わないながらも、十分に酸化させていて、十分に現代的なリースリングとなっていることを自負していた。「還元法は15年前のもの」だというのはっとした。シュヴァルツ親方が辞めたときだ。

2013年のグロースゲヴェックス「ブロイエル」も秋に試飲したときよりも大分良くなっていた。これも出来のよさが示されていて、この醸造所が実は知らないうちに、嘗ての栄光時代のそれを飛び越えてしまっていることに気がつくのだ。



参照:
プロダクトバイ耕作者 2015-04-27 | 試飲百景
偽善に満ち溢れたこの世 2015-04-20 | 雑感
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ザールへ再び味試し

2015-05-03 | 試飲百景
身体が冷える。気温が下がっているのは事実だが、少々重ね着をしても陽の射さない室内は寒い。最近は指先やらが冷たくなることが多くなった。原因は分からないが、以前ならば簡単にヒーターを点けていただろう。それを一切しなくなったことも原因だろう。降雨のために走れていないことも冷えの原因になっているかもしれない。

五月の末にザール地方にワインの散策に行くことを計画している。機会があればザール流域も時々は訪問したいが、どうしても試飲が必要になると宿泊しなければいけないので、なかなか実現しない。前回は2013年8月であるから二年近くになる。昨年はあの地域は軒並み不作で、よいリースリングを選択するなどの贅沢なことはいえなかった。しかし2014年産は十分な収穫も出来たようで、あの地域としてはボディー感のあるリースリングに巡り合えるだろうと想像している。そもそも個人的な好みとしては構築的なミネラルに繊細な酸のリースリングが好みであるから、綺麗なものが見つけられたらと思っている。

しかし時期が時期だけに本格的なものは試せない。但し現地情報と下位のワインでその傾向が確り掴めるので、発注してこれることは間違いない。五月末にはラインガウもプファルツも一通り傾向が分かっているので、六月のナーヘでの試飲とともにある程度の全体像は掴めるに違いない。個人的にはあまり期待をしていない2014年であるがそれはそれなりに飲み代を確保するのだ。

それでは、ワインの試飲には夏が適当かといえば、前回の訪問の2013年のように殆どのよいものは売り切れていた。だから、遅いとこれはこれで遅過ぎるのである。如何に選ばれた高級ワインを確保するのが難しいかはこれで分かるように、それはどこの国のワインでも同じで、目利き鼻利きが試飲などを繰り返して更に優先予約を使わないと本当によいワインなどは入手できないのである。そのための試飲なのだ。

また予定通りに進めばミッテルラインへも数年ぶりに出かけて、そこで試飲してきてもよいと考える。そこのスレート土壌こそがまさしくスレートリースリングの典型で上手に斜面を使って葡萄を腐らさせていなかったら結構質のよいものも出来る筈だ。今まで試したなかでは、ラインの中州のリースリングには感動したが、概ね大柄で味の一辺倒な典型的なスレートの土壌感しか感じられていない。若干土壌が単純なのかもしれないが、南プファルツのレープホルツ醸造所がなしたことぐらいはそこでも出来る筈だ。



参照:
肉汁たっぷりを活かす 2012-08-30 | 試飲百景
ザールリースリングの旨み 2012-08-20 | 試飲百景
中之島に永く根を生やす 2009-06-28 | ワイン
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プロダクトバイ耕作者

2015-04-27 | 試飲百景
木曜日に登りに行った以外は、三回ボールダーを試した。左肩の痛みは酷いので可也苦しい。それでも成果が幾つかはあった。特に金曜日には、懸案のアクセルシュヴァイスの上から見えない足場に乗せる方法が見えてきた。左の足場と同じ高さにあるとはじめて気がついたからで、左右の足を同じ高さに持っていくことは感覚的に容易だ。そこで爪先を乗せてみたが踏ん張れるほどではない。まだ爪先が上手に加重されていないからだろう。そのためには右手の手掛かりがもう一つ安定しない。改めてVIDEOを観ると開脚の足場を使っている。こうなれば右手を安定させたところで、高めに右足を押さえつける場所を探してみるのもよいかもしれない。最後の右の手掛かりに届くには右足を安定させなければ可能性がないからだ。その右端にあるジューデピエをはじめてまじめに挑戦した。右手と左手で身体を浮かせることが出来たから、左足で岩板を挟み込む感じで左手で上の穴を挟めるようになれば結構いけるかもしれない。

峠への登りで19分3088歩、午前中としては悪くない記録だ。駆け出しからゆったりとピッチを長めに心掛けた。結局中盤の終わりでは結構堪えて、終盤を落とさないように長めにスパートを掛けた。記録を目指す状態ではなかった割には確実に19分台をキープして、歩数からすると可也押さえられている。下り途中にほぼ同じようなところでライヴァルのばあさんと息子に挨拶して、降りてくると34分5385歩と草臥れた。

土曜日の試飲会は比較的楽しめた。通常ならば行かない有料のものであるが、10ユーロは購入して返済された。それほど厳密には計算していないようで、購入のために真面目に試飲する人にはキャッシュバックするのだろう。人によっては一本しか買わない人もいたが、その場合はどうだろうか。バート・デュルクハイムには数件のVDP醸造所があるが、その程度からするとヤングタレンツとして今後の候補に挙がっているピュルーガー醸造所は決して悪くは無い。そして何よりも元オーナーの叔母さんは私の山仲間である。だからフランスのマコンからもお客さんを迎えたことがあった。

今回同行したのはスパイヤーの役人裁判所のもと判事夫妻である。彼らも既に他所の催し物で試していて行きたいということだったからである。どうも旦那の方は昨年の足の怪我から結局最近手術して杖を話せるようになっていたが、血圧が下がるなど落ち込むことが多いようで、今回のお誘いを大変喜んでいた。

先ずは、リースリングを一通り試す。リッターリースリングは流石になんてことはないが、その次のフォン・ブントシュタインのグーツリースリングは大変興味深かった。これよりも美味しいグーツリースリングはどこにでもあるが、これほど癖のあるつまり特徴を出した素朴なものは珍しい。それも12.5%で一本7.50ユーロなのでとてもお買い得だ。

その上のオルツリースリングは、デュルクハイマーとウングシュタインの二種があって、やはり後者の美味さに軍配が上がる。これも寧ろ土壌感の面白さであって、前者の退屈なワインがどうしても陰る。そのあたりの味質がその昔プファルツのリースリングとして最も代表的に思われていた味筋なのだ。幾らてロワールを出そうと心掛けてもその退屈さが変わらないのがその土壌である。しかし2013年の後者は甘すぎた。残糖値8グラムは上げすぎだ。2014年は2グラムとこれは快適であった。

その上の2013年産ラーゲンヴァインとして、先ずフックスマンテルの獣くさいような不味さ、そして西側に広がるシュピールベルクでボルダーに行くときの通り道の脇である。これは何かどこかで感じた味を考えているうちにコルク臭と分かった。オーナーが確かめてあまり分からなかったようでおかしいなと思っていると他の瓶を持ってきた。これはそれが消えていて、清涼感のあるミネラルを楽しめた。どうもまだまだこのあたりの醸造所であるとそこまでクレームをつける人は少ないのだろう。あまりオーナーが鈍感であると見えると具合が悪いので、そのあたりの対応の仕方もこれからの勉強である。まさしく自称会長秘書秘密審議官の名目躍如である。

ミヒャエルスベルクがここの最も価値のある区画だろうが、その味筋は赤いスレートのように華やかしい果実風味なのだ。だからあまり好まない。そしてそのテラスと称するものは更に濃く、将来のグローセスゲヴェックスとなる。プラムのシュナップスの様で、ミラベルなどにも近い。最後のヘーレンベルク二種は、スレートでの青色に相当して美しさはこちらの方がよく出ていた。

その他は、素晴らしい年度だった2014年のブルゴーニュ種であるが、シャルドネ、ソヴィニオンブラン、サンローラン、ピノノワールなどであるが、SBを二本購入して自宅で試す。ピノノワールも上手に造っていたが赤は2014年産を待とう。しかしここで何を書いておかないといけないか?

ワインの価値についてである。同じ8ユーロ以下でも美味しいリースリングはあるその中でここのブントザントシュタイン派は価値があると思ったのは、大手の昔の名前だけの醸造所がそれなりの酵母を使って綺麗に造ったワインではないからだ。その方向に進めば極論すれば新世界の何でもありのコーラワインとなる。そのようなものを飲むぐらいならワインなどいらない。ビールの方が遥かに美味くて安い。それならばこの醸造所からの19ユーロもするリースリングをどう見るか?これは時間が掛かる。場合によっては地所を更に都合必要もある。エコヴァインを目指してある程度時間が経っているが、まだまだ収穫量は多い。



参照:
肉汁たっぷりを活かす 2012-08-30 | 試飲百景
会長私設秘書としてのお役目 2010-12-02 | 試飲百景
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スローフードの塩辛さ

2015-03-09 | 試飲百景
今年初めてVDPプファルツで樽試飲が催された。その支部長であるレープホルツ氏の講話を聞きに行った。一回目の試飲は醸造蔵で行われたようだが、二度目は試飲室で行われた。先ずはピノノワールのロゼが出された。二週間前までは酵母と一緒にあって、そこから檻引きをして、こうして試飲される。2014年は春が早く、所謂五月の「アイスハイリゲの霜」の影響を受けていない。そもそもブルグンダー種のワインが、ドイツでは難しいのはこの春があるからで、南フランスのように簡単には出来ない。それでも2014年は良いブルゴーニュ種ワインが出来上がった。

酵母の影響があってまだ酵母臭があるが、四週間もするとこれは抜けるという。同時に肉眼では見えない自然の炭酸が残っているのがこうした樽試飲の特徴だという。それが爽快感を与える。次に供されたのが、同じようにソーヴィニオンブランである。いつものように糖を落とすことで、ロワール風のそれを誇る。ピーマンや西洋スグリの味に、パッションフルーツのそれが乗るニュージーランド風のそれを望んでいない。糖を残すかどうかでそこが変わるようだ。チーズっぽい味を一瞬感じるのは酵母臭の一種のようだ。

さて、いよいよ「オェコノミラート」のリースリングである。11%しかアルコールがないのだが、素晴らしい。ミネラル感と濃くが昨年より強く出ている。塩味だ。糖が残っていないなどとは考えられない濃くである。2013年のスパイシーさはないが、決して酸も悪くはなく、よくこなれた構造的な酸である。「フォン・ブントザントシュタイン」も更に濃くがあるが、若干柔らかすぎる感じもした。秋までの熟成を見届けたい。

ムスカテラーも流石に良い。ピノブランの酸が素晴らしく、レース土壌のものも幾らでも酌が進む感じである。

その前に、フォルストのモスバッハ―醸造所に出向いた。そこではグーツリースリングとソーヴィニオンブランを試した。流石にブルゴーニュは今年は良い。これに関しては自宅で飲んでから紹介しよう。

先ずは、日本からのお客さんを連れてビュルクリン・ヴォルフ醸造所で2013年を中心に試飲した。先方が用意していたようで、「キルヘンシュテュック」を二種類試飲できた。2009年と2011年だった。前者は驚くほど色がついていて、ぺトロール臭があった。2003年ほどではないだろうが、日焼けのストレスがあったのだろう。正直驚いてしまった。2011年はそのような傷はなかったが、繊細さに欠ける年度のリースリングである。しかし、これで2011年も徐々に飲み頃になってきたような感じがした。

結局その前に試した2013年の「ウンゲホイヤー」が最も素晴らしかった。直接に「ランゲンモルゲン」と比較すると、酸が弱いが、そのスパイシーさは見事で、昨年の九月の試飲会以降の成長を感じた。これは金があれば買ってもよいと感じた。しかし、90年代にワイン街道に住んでいたお客さんは、とてもこの懐かしいウンゲホイヤーの味とともに、ドイツワインの大改革に当惑していた。それは価格だけではない。勿論その評価の仕方やコンセプトの変化である。なるほど90年代はまだごく一部の醸造所しかビオデュナミーもビオワインも目指していなかった。当時はまだ不凍液騒動の余波があって、またチェルノブイリ禍の反動のスローフード化も模索中であった。当然のことながら、先駆者のビュルクリン・ヴォルフ醸造所でさえブルゴーニュシステムどころか、グランクリュも2007年まで待たなければいけなかった。要するにシュペートレーゼなどの糖価による等級も存在していて、アインツェルラーゲンの地所がワインの名前として表に出ていたぐらいである。

その後、怒涛のごとくのビオ農業化とケミカルを使わない高級ワインへの道程が本格的に始まったのである。要するに浦島太郎状態になってしまうのは致し方がない。地元に住んでいる人たちは熱心にならなくとも色々な話から等級付けやその農業の在り方を肌で感じている。しかし、地元に住んでいない限り文献等で知識から方針を理解しなければ分からなくなる。このブログでもVDPの方針は直接説明してきたのだが、なるほど昔のドイツのワインを知っている人ほどその落差が大きいとは気が付かなかった。日本の反応をネットでみていてその分かり難さが十分に理解できなかったのだが、こうして直接体験したのは初めてだった。そもそも知識から入っている人は知識としてアップデートしていけるのだが、体で覚えている人にはあまり有効な情報を出せていなかったのである。



参照:
熟成する力関係の面白味 2008-05-30 | ワイン
伸び代に先払いする飲み代 2009-09-16 | 試飲百景
隠れビオデュナミニに驚愕する 2010-05-09 | 試飲百景
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なんと内容の濃い試飲会

2014-10-29 | 試飲百景
週明けの疲れはそれほどでもないようだ。気温摂氏一桁台の曇天の中を走る。約束の時間があるので、短く軽く流して帰路に就く。最後に頑張って走れたので汗をかいた。流石に上着は着たが、下半身はシュートパンツだった。

日曜日のミュラーカトワール醸造所での試飲会について書いておく。駐車場もいつものところに問題なく停められた。遅めに出かけたとのだが、遠方から態々訪れる顧客は減ったのかもしれない。ある顧客は2013年は悪い年度と語る人さえいる。もちろんそれは素人さんのどこかで得た通俗情報なのだ ― これだけの酸でも健康な葡萄をアウスレーゼ出来なかった醸造所が多いことを物語る。

それどころか2013年のミュラーカトワール醸造所は記念碑的な年になるのではなかろうか?相対的な評価でもあるが、この醸造所はシュヴァルツ親方の時分のようにドイツのトップクラスに再浮上したのではないかと思われる。プファルツで、五本指に入るだろう、軒並み大手が質を落としている状況では当然かもしれない。

グーツリースリングも8ユーロならば、シェーンレーバー醸造所のそれとも甲乙をつけれなくなっている。モスバッハー醸造所のそれより上手に造っている。ビュルクリンヴォルフ醸造所のそれよりも良いかもしれない。

次のオルツリースリングがまた素晴らしく。土壌の軽いギメルディンゲンの柑橘系と重い土壌のハールトの泥粉臭さが甲乙付け難いのだ。11ユーロのリースリングとして、レープホルツ醸造所のオェコノミラートがあるが、それが売り切れている現在何をこの価格に期待できるだろうか?これ以上のリースリングはあまり無いと思われる。例えばフォンブールのそれは酵母臭がひどく頭が痛くなるようなものだったが、これは大分良い。しかしレープホルツのそれは抜き出ている。天然酵母のヴァッヘンハイマーリースリングでも質は良くとも、個性ではオェコニミラートにはなかなか勝てない。

それに引き換えビュルガーガルテンは分厚くてもう一つ酸が効いていない印象を与えて、同じようにグローセスゲヴェックスも香りは豊かだが、瓶熟成の大きな可能性は感じさせなかった。これについては、先の2010年産の減酸とともにモーゼル出身の親方と話した。

「モーゼル出身の者にとっては、ドッペルザルツでの作業など日常茶飯で、肝心なのは最初のモストで処理してしまうことだ」と語るのだ。なるほどその影響が薄く、黄色く丸くならないリースリングを達成していた。

更に、リースリングのペトロール香について話題になったので、早速親方に質問してみた。咄嗟に「それはTDN」の影響と断言して、「腐りなんかよりもストレスが原因だ」と言った。これに関しては日本の人々がリースリングの特徴であって、ドイツのワインのそれだというような言い方がされるのだが、自分自身は殆ど感じたことがなく、土壌感としてぺトロール香があることぐらいしか知らない。そしてそのTDNについて調べてみるとなるほどと思った。特に海外の船便などで動かされるリースリングで発生しやすいとある。保存状況が悪いことを示すようだ。しかし今回話を振ったのは試飲会の顧客であって、そのような影響はあまりないはずなのだ。保存温度が高過ぎることもあり得る。

なぜリースリングでぺトロール香が言われるかについては明白な回答がネットにあった。それはTDNのカロチン色素が陽に焼けることで保護作用として日焼けすることにあるらしい。つまりドイツでも2003年産などはそれが顕著に出たとあるのは、実際に購入しなかったその年のグローセスゲヴぇっクスなどでは瓶熟成とともにその気配が強まっていた。

要するに、ぺトロール香というのはフィルンの一種であって我々品質の良いリースリングを楽しみたい向きにはあまり縁のないものだということになる。しかし、1970以降の温暖化で、ぺトロール香の発生はトリアーなどの調査でも明白となっている。本来ならばプファルツなどの陽射しが強い地域では水不足から日焼けするのだが、実際にはあまり経験していないのも不思議である。

もう少し推測するとプファルツのグランクリュではそれほど色が濃くつくような秋の日に照らされることなく収穫される好条件もあるのかもしれない。色付きは夏の陽の強さによるのだろうが、その時は葉が茂っているのでそれほど直射日光を受けていないのかもしれない。

兎に角、親方はモーゼル出身であり、その辺りを良く熟知していることを改めて教えられた。序に先日触れたビュルガーガルテンの塀の問題も単刀直入に聞いてみた。それほど高さがないので風の流れは問題なく、昼間に温まって夜冷えるので良いのだということだった。味筋に関しても話しておいたが、もう少し繊細さが出てほしいのは、今回のビュルガーガルテンも同様だった。

しかし、もう一つ上のヘーレンレッテンに関してはそのミネラル感とともに例年のようにあまりギスギスしない素晴らしいリースリングに仕上がっていた。それにしても我ながら、なんと濃い内容の試飲を繰り返しているのだろうかと思う。駐車場で声をかけてきたのは法律家のクライマーだった。冬の我がボールダーのことを話すと試してみたいようだった。



参照:
ライフスタイルにそぐわない 2014-10-25 | ワイン
スーパーブルゴーニュを物色 2014-03-17 | ワイン
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我々のライフスタイルを代表

2014-09-30 | 試飲百景
ラインガウへ再び向かった。五月以来のロベルト・ヴァイル醸造所訪問である。今回はお連れがいたので、時刻などは制限されたが、その元行政裁判長の奥さんの意見などもとても参考になった。お目当ては、ラインガウ名産「カルタヴァイン」である。これは九月になるまでは発売されない。その細かな限定基準は知らないが、良い樽熟成と食間酒としての品質保証となっている。

今までも毎年出ていたリースリングには違いないが、今年の場合はいくらか意味合いが違ってきている。先ずはその全体の格付けが、ビュルクリン・ヴォルフ醸造所がリードしたブルゴーニュシステムがVDPで厳格化されたことで、グレーフェンベルクがグランクリュでしかなくなったことである。また、春に試飲会が催されるようになって、初物ワインとしてラーゲンヴァインなどが紹介されて、このカルタとグローセスゲヴェックスが秋の試飲会の御披露目となるのだ。するとどうしてもこの名産品に新たな価値を求めることになる。

それは九月になってからこのために敢えて、自宅で春に最も良く出来ていたオルツリースリング「キードリッヒ」を試してみて、その感想は既に書いた。要約すると、春の鋭い酸が丸くなってきて、その土壌感を反映して若干重くなってきていることで、これは土壌だけでなくてその酸の質なども影響しているかもしれない。要するに谷にあるのだ。勿論若干瓶熟成が進むと芳醇なものになるとは予測されるのであるが。

そこで、様々な地所から集められたこのカルタの場合は、テロワールが強く反映しなくとも、最終的な味や質感が重要視されている筈で、同じ価格ながらそれなりの特徴を期待するのである。お連れも含めて皆の判定は比較的はっきりしていて、カルタに軍配が上がっていた。その理由は、その味質で、とてもよいバランスなのだ。そして恐らく樽熟成のお陰で酸が急に落ちることはないだろうから、一年ぐらいは十分楽しめるのではないだろうか。この辺りの質に関しては、ある程度信用してよいこの醸造所の実力である。一体この価格でこれに相当する質のリースリングにがあるだろうか?

さて、予約注文していたグローセスゲヴェックス「グレーフェンベルク」であるが、これも間違いなく進化していた。恐らく木樽の率も徐々に上がってきているのだろう。そして、予約注文価格で他のグローセスゲヴェックスと比較すれば、決して割高ではない。長期の瓶熟成の可能性では貴腐の入ったレープホルツ醸造所の「ガンツホルン」などとは異なり可也高く、テロワールの質や反映でもデンノッフ醸造所のそれに近いだろうか?

とても天気の良い戻り晩夏の一日だった。嘗てのラインガウのワインの優位性はそのテロワールから殆ど無くなってしまった。嘗ての名地所で今後も期待できるものは殆ど無くなって来ている。現代的な醸造法を駆使して、今日のライフスタイルを繁栄する高級ドイツワイン、これがVDPの目指すところであるとすれば、もう少しビオ栽培強いては天然酵母醸造に力を入れて欲しいが、この価格帯で求められる最も代表的なリースリングの一つであることは間違いない。



参照:
週末の走りと喉越し 2014-09-02 | 生活
初の13年ラインガウ試飲 2014-05-31 | 試飲百景
嗚呼、グレーフェンベルク 2013-09-26 | 試飲百景
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もちつもたれつの熟成

2014-09-20 | 試飲百景
記憶が薄れないうちに、レープホルツ醸造所での試飲について語っておこう。先ず驚いたのがオェコノミラートが売り切れていたことで、一本だけ残しておいてよかった。特に欲しかった訳ではないが、2013年の特殊性はそれほど否定的に働かなかったのが、このグランクリュ「イム・ゾンネンシャイン」はその一角にあるガンツホルンの葡萄からのワインである。その最高峰にあるグローセスゲヴェックスの「ガンツホルン」は特殊な年で、6Gを超える残糖が突出している。とは言っても酸が9G台とスケールの大きなバランスを取っているので、巧く行くと記念碑的となるかもしれない。

味筋はいつもの傾向にあるのだが、貴腐が混ざっていたことから若干の蜂蜜臭がある。これは味の濃くとなっていて、一般には好まれる傾向となっている。そもそも2013年は対岸のグランクリュ「カスターニアンブッシュ」のそれは甘口のアウスレーゼまでの造りとなっていて、流石のこの辛口醸造所も他に手が無かったのだろう。

その中では、「ガンツホルン」もその下の「フォム・ブントザントシュタイン」も立派な辛口である。残糖があるといっても残糖感は一切無いが、貴腐に抵抗がある向きには難しいかもしれない。それでも娘さんが言う様に「長く楽しめる」のは、「ここのワインは保存が難しいから、その分期待できる」と言い換え、「十分に承知している」ことだと切り返せたのは良かった。

パプリカ水になることの無いガンツホルンはそれだけで価値があると考える。三本予約していたが「決して間違っていなかったね」と自負した。製造者にととて見れば当然のことなのだが、素人のワイン評論家はその辺りを突っ込めないから専門家に馬鹿にされるだけなのだ。

ビュルクリン・ヴォルフ醸造所で一緒になった元裁判長が指摘するように、「レープホルツは割高」なのは事実で15%ほどはその質よりも高価で、メディアでの賞金がそこに加算されているとしてよいだろう。勿論そうした特産に付加価値が付くことは悪いことではなく、重要なのは市場がそれを認めるかどうかということだけなのである。

何年かに一度はこの孤高な路線のリースリンクが俗受けするように仕上がっていても決して悪くはないであろう。その他のブルグンダーもどちらかと言えば俗受け路線で、辛口リースリングの盟主としては低調な年度であったろうが、グローセスゲヴェックス収集家にとって、このガンツホルンは将来を期待させる年度となった。醸造所のあり方を定める上でも重要な醸造年となったのではないだろうか。

前日のラインガウからのゲスト「ブロイヤー」のリースリングに関しても甘みを残した俗受けする路線を意識していることがよく分った。特にシュロースベルクなどはもはや半辛口で、我々からすると食事には向かない。今頃2011年を出してくるのはよいのだが、あえて言えばそれが最大の売りで、リースリングの質自体は過熟成の2011年ではあるからそれほどのものではなかった。

しかし2012年産の「テラ・モントーザ」は今まで試したここのリースリングでピカイチだった。それはそのテロワールの出方と酸や糖のバランスなどが素晴らしく、そこに如何にもゴツゴツした土壌感を感じさせてくれて、決して繊細なリースリンクではないがこれはこれでよいだろう。2013年のリューデスハイム産のグーツリースリンクの価格は、分らないが、新鮮なものでこの程度なら、それはそれで良いのではなかろうか。

総合的に、この醸造所も恐らく亡くなった先代の遺志を引き継ぐ形で特異な蔵出しの方法をコンセプトにしているようだが、それで幾ら取れますか?という問いかけになる。なるほど長期の醸造と樽熟成は最近のドイツのリースリングのトレンドになってきているが、それにはそれだけの費用が掛かるので、価格に転換できる質のものであるかどうかが分かれ目となる。

話は戻るが、なるほどワイン評論家は市場価値とその糊代を同じくしていると知れば、リースリンクの本質などとは関係無しに俗受けして売れることを主題にして発言すれば良い訳である。それが、グラスを燻らしたときの香りでプルースト気取りでものを言っても、観光案内のプロモーションまがいの行いであっても結構なのだ。商業ジャーナリズムというのは所詮そうしたものなのである。



参照:
通にしか分らない質と価格 2014-09-16 | 試飲百景
雨のナーヘの谷を回遊 2014-09-14 | 試飲百景
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通にしか分らない質と価格

2014-09-16 | 試飲百景
グランクリュ試飲会の週末を無事終えた。昨年度より体調は良かった。日曜日の帰宅後にまた半分以上「フリューリングスオエレッツヘン」を開けれたのでそれが証明されている。但し歯にだけは堪えた。第二日目のヴァッヘンハイムでの試飲会を纏めておこう。

つまらないワインは飲まないことにして、オルツリースリングから始めた。先日開けたばかりのヴァッヘンハイマーからである。自宅での第一印象は新鮮味が落ちたかなと思ったが、こうして飲めばとても活き活きとしていて、前日のシェーンレーバー醸造所の大人しいワインとは大分異なる。バランスが重いなどと評価するのは知らないのだ。こうしたワインが天然酵母百パーセントの自然発酵で出来ていること自体が奇蹟である。からくりは分っているから驚きはしないが。

三つのオルツリースリングを比較する。最も魅力が無いのはルッパーツベルクであり、最も酸が弱い分、誰にでも薦められるリースリングである。反面リースリング通には物足りないのは、格落ちさえ予想されている現時点ではグランクリュ扱いとなっているライタープファットに代表される土壌感である。なるほど殆ど赤土の泥のようなそれは強烈な個性としてリースリングに表れるが、テロワー表出における土壌の差異を示すことの使命を終えた今日のグローセスゲヴェックスにおいては、その個性が厳しく吟味されることになる。それは好みと言う嗜好でもあるかもしれないが、リースリングにおける土壌の反映となると次のような考察が必要となる。

つまり、土壌の主組成である雑食砂岩の土壌感としてこうした粘土質のそれが適当であるかだ。嘗てのプファルのワインとして印象付けられた果実風味は全くその土壌感とはかけ離れる訳で、リースリングの土壌としてのスレートや石灰などに比べて峻厳な雑食砂岩感はここからは求めようも無いからである。その意味からすれば、ガイスボェールよりもライタープファットの方が価値が低いのは致し方ない。

もう一つのフォルストのそれは徐々に良くなってきていて、フォン・ブールのそれが培養酵母臭いのとは異なり、綺麗に土壌感が出てくるようになってきている。その価格差が5ユーロほどでしかないので可也お得なリースリングとなっている。

さて地所ごとのリースリングつまりプリュミエクリュでは、最後の十本に手をつけてしまったのでここでは幻となってしまい、ルッパーツベルクからホーヘブルク、ヴァッヘンハイムからゴルトベッヒャエル、レッヒベッヒャル、ボェーリックの計四種類のみの試飲となる。それに長期醸造のアルテンブルク2012年が並ぶ。

最初のものはルッパーツベルク風であるのは当然であるとして、ヴァッヘンハイムの隣り合う三種類の差異は、なんらの手を加えられない葡萄の差異としてとても興味深いもので、その区画を歩き回ってもなかなかその差異の理由付けなどは見つからないものに違いない。

お待ちかねのグローセスゲヴェックスの御披露目である。ここでの予約してあるペッヒシュタインは売り切れ、カルクオーフェンも売り切れ、イエズイーテンガルテンは十年休止、キルヘンシュトュックは来年までと刃毀れ状態である。私が二本ペッヒシュタインを予約したのは、一本は試飲に使うからだった。50ユーロの試飲である。幻のリースリングである。

それでも最初のガイスボェールの酸も悪くは無く、とてもバランスの良いホーヘンモルゲンも大人気であった。この辺りが一般受けするワインであって、普通の人は石灰が入ることの不利などは一切考えない。石灰が入っているとしてもランゲンモルゲンは昨年までのPCとはことなるGCとしての迫力を見せていた。ナムバーツーのティロル親方に尋ねると、前処理の落とし方も違うようで、なるほどこれならば昨年までは16ユーロで買えていたものが50ユーロしてもある程度は納得できるだろう。最後のウンゲホイヤーの残糖からすると一寸色気が出てきたのも事実である。

昨年の2012年、どちらかと言うと個性が弱くて開き切っていなかったそれは残しておけと言われた。恐らく、実験的な面もあって、手が込んでいたのだろう。かなり清潔感が溢れていて面白みが無かったのは事実だから、十年ほどすると可也開くのかもしれない。

古い年度からは2007年のレッヒベヒェル、恐らく自宅でも飲んでいるだろうが、大分黄色くなっていた。2010年のゲリュンペルのマグナムも可也色が付いていて文句をつけたぐらいだ。石灰臭さは無かったが、2010年の処理が若干悪影響している感じがある。2009年のガイスボェールはとても熟れていてよかったが酸が弱い分やや物足りない。現時点では万人が美味いと言うに違いない。2004年のペッヒシュタインドッペルマグナムは更に若返った感じで、私の普通の瓶ももしかすると若返っているかもしれない。2002年のキャラメルのライタープファートはペッヒシュタインのそれとは比較にならないのは当然である。ペッヒシュタインの甘口二種類、試さなかったと記憶する。

その後、ラインガウのブロイヤーのワインなどを試したが、これに関しては日曜日のレープホルツの試飲会と絡めて述べよう。その後食事を取りに座った席で元裁判官の夫婦と同席した - スパイヤー在であるからベルドールトの顧客でもある。椅子を取られたので最初は怒ったのだが、これまた面白い親爺だった。彼の友人の名前で地元割引が効くのだが効かなかったとかで、私の名前で割引させた。その嗜好を色々聞いてみると普通の俗受け向きだったが少し教授してあげた。「現金な」もので彼は安売りの聞くヴァッヘンハイマーにルッパーツベルクから乗り換えたのだ。また話にならないからと、フォン・ヴィンニゲン醸造所の地所を見てみろとか、酵母の使い方なども示唆しておいた。全くワインの質とかそういうことが分らないと価格の意味やお得や割高などが全く分らないのだ。

なるほど官能テストの訓練を積めば少なくとも亜硫酸臭や酵母臭の減点は出来るようになるだろうが、そのワインの将来性や瓶熟成の可能性などはそこからではわからないのである。実際に熟成させてみて呑んでみなければ質と言うものが分らないのである。専門家と言われる人でもそれが中々分らないのは、よい醸造所で買い込んで修行を積んでいないから仕方ないのである。そうしたワインを醸造していない醸造所でも分らないのだから、当然のことなのである。グラスのワインを燻らして悦にいっている姿を想像してみるがよい。如何に馬鹿げた痴態であるかがこれで分るだろう。

イタリア人の親方と、先日行ったフランケンの岸壁などについて話した。石灰であるから彼にとってはドロミテとの比較になるだろうが、スポーツクライミングとしてのその程度に感動していた。一段落付いたら今年は彼ともう少し一緒に登れそうだ。勿論内部情報も楽しみだ。



参照:
雨のナーヘの谷を回遊 2014-09-14 | 試飲百景
'12年グローセゲヴェックセ? 2013-09-11 | 試飲百景
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雨のナーヘの谷を回遊

2014-09-14 | 試飲百景
雨降りの中をナーヘ渓谷へと向かった。アウトバーンでラインヘッセンに入るまでの工事渋滞が激しかった。通勤時間もあるが、ご近所感ののあるアルツァイまで、給油時間などもあるが自宅から一時間以上の掛かっていた。その後のバート・クロイツナッハなどは直ぐに通過していて気がつかなかったほどだ。

先ずは予約していたデーノッフ醸造所のグローセスゲヴェックスを取りに行くためにトライザムの「赤い岩壁」を目指して出かけた古いナビゲーションには醸造所の町の名前が出てこないからだ。それほど田舎なのである。今回は自動車クラブのルートプランナーを持っていたが、ナヴィは違う方へと導き、偶々閉鎖中の推薦ルートを通らずに済んだ。その分若干大回りになったかもしれないが、今後このように毎年回って走るだろうから、土地勘を身につけるには大変都合がよかった。アルプス以北の最大岩壁でのクライミングもいづれ兼ねることになるだろう。

それにしてもあの谷筋の感じは二十五年前と殆ど変わらなく、辺境にやってきた感じが強い。その醸造所の甘口ワインが日本で親しまれていたことの方が凄いことと思われる。予定していた前回応対した恐らく御嫁さんとは違って、その娘さん風の人が応対した。リースリングが売り切れていてもデュセルドルフ辺りからお客さんが来ているのには驚いた。甘口を試飲しているのか、ピノブランを試飲しているのか?

勘定をカードで払えるのかどうかも関心ごとだったがECカードが問題なく使えたどころか、私の名前の最初の頭文字だけで名前が出てくることにも驚いた。意外に顧客名簿が小さいのかどうか、この辺りは試飲会に参加しないとなんとも分らない。持ち帰る割引もざっくりと引いてくれて、なるほどこの地方の経済感覚やその営みの感じに前回の訪問同様に触れた感じがする。そう言えば二十五年ほど前に訪れたワイン農家もいやに素朴でホスピリティーのある感じだったのを思い出した。

さてそこから谷奥のモンツィンゲンを目指して、田舎町を通り抜ける。素晴らしいカトリックの聖堂などがあり驚かされる。この辺りは観光化されていないだけに、素朴な田舎町が残っていてとても面白い。国道に戻り暫く走るといつものシェーンレーバー醸造所のワイン山が見えてきた。雨に濡れて美しい。

さて試飲の結果は、グーツリースリンクからある程度予想していたが、それほど良くはなかったが、それほど悪くなかった。2012年とは異なり、汚れ感が逆に味になっていたように感じたのはフリューリングスプレッツヘェンである。それがグローセスゲヴェックスになると引っかかり感になって、同じような傾向はもう一方のハレンベルクの方にもあって、この醸造所特有の透明感とはなっていなかった。

他の醸造所などでは、醗酵が止まってしまうなどを聞いたが、ここではむしろ最後まで進んだ様で、むしろ辛口となっている。酸が強いこともあるが、2010年ほどではない。若干酢酸的なそれも感じられたが、東都のバランスは悪くない。また、ハレンベルク系では、バリック的な味があってこれも不思議であった。これは決して樽ゆかりではなくて土壌感なのだが、不思議な感じである。この辺りも、先のデーノッフ醸造所と対照的となっていて、恐らく木樽の使い方などもその差となっている可能性がある。来年からは直接比較対照となる。その僅かな価格差からすると、やはりターゲットは限られてくるかもしれない。

面白いことに、「アウフデアライ」は競売用ワインだが、「辛口も競売があるのか」と尋ねると一度来るようにと先代に言われた。いつもVDPの方から案内は来ていても有料だから行かない。そしてそこで、昨年ならばマグナムで125ユーロもしたそれを競り落とすことなどありえない。その質は、ビュルクリン・ヴォルフ醸造所のキルヘンシュトュックよりも高い訳ではないからだ。勝負にならない。

帰りの道はなれた道であり、渋滞もなかったが、出発から五時間半後の帰宅はやはり疲れた。最近は、アルコールが入ってから運転することでの疲れが顕著であり、その集中力などの問題もあるので、若干不愉快になってきている。危険性が高まることだけでなく、スピード違反等の可能性が高まることもその背景にあるが、兎に角疲れるのだ。帰宅して、あまりにも寒くてサマーセーターを着込んで、食事を済ませてベットに入った。夏の寝巻きでは震え上がっていたが、夜中に寝汗を掻いて眼が覚めた。アルコールの影響もあったのだろうが、これが疲れの原因でもあったのだろう。



参照:
ナーヘの谷へ戻る旅 2014-08-14 | 試飲百景
ゲーテには難しい青粘板岩 2012-05-13 | 試飲百景
'12年グローセゲヴェックセ? 2013-09-11 | 試飲百景
ナーへ渓谷の岩場を見学 2013-09-09 | アウトドーア・環境
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高品質にありがちな滑らかさ

2014-09-05 | 試飲百景
先日の車検で、警告が出ていたのにも拘らず、エンジンオイルが足りないままだった。面倒であるが、適用のオイルを探してアマゾンで注文してみた。モービルのスーパー3000と称する5W-40の商品を選択した。なにもネットで買う必要もないのだが、自分で購入するとなると適用商品から価格まで様々なメーカーのものを比較するので色々と勉強になる。この商品を選んだのはアマゾンの直販だったのと、若干高級品だったからである。

次の車庫入れで全て取り替えになることは分っているので、少量であり、車検で大分粘度が上がっていることが指摘されていたので、潤滑性のよいものを選んだのだ。約0.6Lを加えただけで全体量の一割にも満たないが、それでもエンジン音も変わり、加速の滑らかさが増したようだ。如何にも粘度が高くなり過ぎていたかということかもしれない。

2013年グローセスゲヴェックス試飲、二回目はゲオルク・モスバッハー醸造所だった。御目当てはフロインドシュトュックである。売り切れていないことを確認して、早速試す。酸が素晴らしい。分析値は9.5Gである。糖は5.2と抑えられているので、軽やかでさえある。今回二年目となるイェズイーテンガルテンに比較すると糖が少ない分、酸が際立つ。その酸も良く練れていて全く快適である。

先代が、「一日中仕事をして疲れたので、イェズィーテンガルテンを飲むに匹敵するほどだ」と冗談を飛ばして、一杯引っ掛ける。婿さんは、「なんといっても葡萄の健康だ」と、2013年の醸造の苦労を匂わせる。

春に通常のものを試飲して、もう一つ琴線に触れなかったので、バリック仕立てのフメーを楽しみにしていたソビニオンブランを試す。どうも夏がずるずるといったのでブルグンダー種は駄目のようだ。糖が強く、本来の薫りが今ひとつ新鮮味がない。そこで聞く話がとてもまた参考になった。つまり、「雑食砂岩」やソヴィニオン・ブラン「フメー」などは、一月に醗酵が止まってしまったので、更に酵母を足す必要があったということである。

なるほどと思った。フォン・ブール醸造所の辛口は、その路線を進めるために我武者羅に酵母を加えた形跡があるのだ。それは酵母臭の強い味として、クラシックな印象を与えたのである。私自身はそれを酵母臭としてあまり気にならないのだが、それに敏感な人には否定的な意味しか与えない。

ここで大手の醸造所ながら十分な技術力も質も持ち合わせていない醸造所と丁寧な仕事で質も追求できる家族経営の醸造所との差が出るのだ。そしてその価格も大手の醸造所は割高なのである。フォン・ブールのグランクリュは二本しか買わなかったが、このフロインドシュトゥックは三本以上買える。質が高いからである。

2013年の素晴らしい酸と木樽の使い方で完全にこちらに軍配が上がる。フォン・ブールの方は、二割から三割ほどしか木樽率が伸びないようでは仕方がない。これならば同じ長持ちしないグローセスゲヴェックスでもレープホルツ醸造所のそれの方が価値がある。当然であろう。



参照:
ドルトムントの強化策のように 2014-09-03 | 試飲百景
素人を騙す金儲け評論 2013-10-02 | 試飲百景
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ドルトムントの強化策のように

2014-09-03 | 試飲百景
炊飯器三回目の使用は早炊きモードであった。その名の通り、水に浸す暇もなく炊くことになった。グローセスゲヴェックス解禁に伴う試飲で時間がなかったからである。結果からすると、炊きあがりを解すときに、十分にふっくらとしていないことと、若干もっちゃりとしていることに気が付いた。以前の炊飯器の標準炊きに近づいた感じである。要するに強い火で一気に炊き上げた感じなのだ。

実際に食してみると、それほど悪くはなく棒棒鳥と中華には過不足なかったが、米の味が味わえるほどではなく、次にこのモードを試すときにはもう少し時間を置いて水に浸して試してみたい。しかしそれぐらい時間に余裕があるとなるとなにも早炊きなど必要ないのであるが。

最初の2013年グローセスゲヴェックス試飲は、フォン・ブール醸造所から始めた。昨年のように出かけると生憎工事中であったが、仮の事務所に入る。御馴染みの顔で驚いたが、その間の事情なども尋ねる。何はともあれ、昨年の八月以降新しい体勢になってから一滴も試飲していないので、グーツリースリンクから試飲する。2013年の良さは出ていた。明らかに親方が変わったのは顕著に味に反映している。ミネラルがより一層はっきりする反面、都会的な能動性がなくなり、可也古臭いリースリングに変わっている。

更に前任者を引き継いで残糖を抑えることを本望としているようで、薄っぺらい方向へと傾いている。ザールのヘッセルシュタット醸造所やルーヴァーのカルトホイザー醸造所のリースリングを思わせる。次にヘアゴットザーッカーのオルツリースリングを試すが、これも同じような傾向で、その次のフォルスターのホルツリースリングの0.8Gほどには残糖を落としていない。もはやこうなると特殊であるが、意外にフォルストの土壌感が新鮮に出ているので面白く、直ぐに楽しめる味質である。

この辺りの残糖感が、ブリュックリン・ヴォルフ醸造所のフォルスターと最も異なり、なるほどそれが重いワインと感じられるのも無理はないだろう。オルツリースリングを寝かせる必要がないとすれば、こうした遣り方も決して悪くはないであろう。

さて、御目当てのグローセスゲヴェックスに行く前にラーゲンヴァインを試す。ムーゼンハング、モイズヘーレ、キーセルベルクは、雑食砂岩、石灰混じり、砂混じりなどのテロワーとなるのだろうが、ここまで行くと残糖に比較して酸が強い分、どのような飲み方をすればよいのかが問題となる。如何にもこの辺りの程度の醸造所が陥りやすい、瓶熟成への経験と自身の無さが良く表れている。

グローセスゲヴェックスで感じられたのは酸の質であり、若干酢酸系なのは葡萄の熟成以上に、その使い方が問題になるのではなかろうか。要するに摘み取り作業のマネージメントとも関わっているように思われるがどうだろう。

全体的な印象は、こうした中堅から下部のVDPの醸造所にありがちなつくりで、特に初年度であるから若干の雑な感じは免れない。このまま行くと、バッサーマン・ヨルダンの二の舞で、落ちるところまで落ちるしかなくなる。ブンデスリーグで言うと二部から更に転落となる。

香川がドルトムントに帰ってくることと、ミュンヘンにアロンソがやってくることをして、経済的に無理なく補強するための解決策で、こうした補強でシステムを強化できるのがドイツのサッカーの強みだとしている。



参照:
何とか目星としたいところ 2014-09-01 | 料理
2013年産の摘み取り風景 2013-10-21 | ワイン
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ナーヘの谷へ戻る旅

2014-08-14 | 試飲百景
久しぶりにナーヘの谷に戻った。デーノッフ醸造所を訪問するためだ。昨年の秋も谷の奥へ試飲会に出かけるためにアルプス以北で最大の岩壁ロートフェルツに立ち寄ったが、その時は岩壁の上からの見学だった。今回は谷のオーバーハウゼンと言う町に立ち寄る。

戻ったと言うのはその町に近づくに連れて25年ほど前の記憶を思い出したからである。適当に走って辿り着いたのが今回出かけたオーバーハウゼンの隣町ウンターハウゼンだと気が付くまでそれほど掛からなかった。そして醸造所で土壌や地所の話をしているうちに隣町だと確信を持ったのだ。

当時訪ねたのはそこの零細の農家であったが様々な地所を持っているようで、何種類もの土壌の話をしていたのだった。そのワインと言えばリースリング以外にもやっていて、洪水で水に浸かる醸造蔵の水かきを手動でという様な話は印象に残っている。そしてその蔵の木樽の腐ったような臭いと、直に酢のようになってしまうリースリングは殆ど懐かしく一生忘れないだろう。要するに私のナーへ初体験だったのだ。

そして今、現在ナーヘでその品質から最も人気のある醸造所に遣ってきた。いつかTVで見たこだわりのアイスヴァインの話などをしていると、スイスからの予約客の相手にその親爺が出てきた。木樽で手動で絞り潰す作業は誰にもい任せないと言う頑固親爺である。しかし思っていたのと違って体の動きも頭も柔軟性があるように感じた。

今回は娘さんか嫁さんが御相手をしたが、御目当ての辛口リースリングは全て売り切れていた。高品質少量の2013年の特徴である。しかしなんとグローセスゲベックスを試飲出来た。三種類のなかでまだ予約以外に残りのあるフェルゼンベルクと言う火山性の斑岩の岩山である。

驚いたことに発売前から飲めるように開いていて、如何にこの土壌が特殊なものであるかが分る。似たような傾向のロートリーゲンスなど比較にならないほどの個性である。それにしても綺麗に上手に造っていて引っ掛かりが無いのが憎い。これだけのミネラルでくどくなっていないのはそれなりのノウハウがあるからだろう。見事である。

ピノブランも決して悪いつくりではないが10ユーロは高級だ。それに比較してシュペートレーゼのキルシュエックは16ユーロとそれよりも高価である。悪くは無いが昨今の軽い甘口に近い。更に高価なシュペートレーゼ「ブリュッケ」は立派だった。新鮮な甘口で、甘すぎずに尚且つミネラルを感じられるものは最近珍しい。エゴンミュラーの中ぐらいのものに近いだろうか?価格の21ユーロは大変価値があり、お得である。

顧客さんから聞いていた通り、決して甘口の醸造所ではなくて、立派な辛口を造っている。その土壌の多様性からしても潜在能力の高い醸造所であることは間違いない。アイスヴァインのマイスターだけではないことは十分に分った。培養酵母を上手に使っているのだが、それ以上に土壌感が確りしているので、決してつまらないリースリングとはならないのだ。

折角試飲できたのだからフェルゼンベルクを二本予約しておいて、秋にシェーンレーバーに立ち寄る際に取りに行くことにした。来年からは試飲会に出かけるところがまた増えそうだ。



参照:
裸の王様を斜に見ながら 2013-05-05 | 試飲百景
ナーへ渓谷の岩場を見学 2013-09-09 | アウトドーア・環境
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