田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

刀エクササイズ/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-08-20 09:27:58 | Weblog
20

GGは大森でとんでもないことをはじめた。
『BB刀エクササイズ』という看板のジムを開いた。
テレビでちらっと見た。
そのパクリだ。
元祖はイケメン。こちらは、GG。
BBはbeautiful body。
ノッペリトシタイカメンGGの指導では生徒はくるまい。
早稲田の村上道場に居候を決める。
それは遠慮したかった。
年はとってもGGのイジだ。
「酒飲み友だちが出来てうれしいから」と翔子の祖父に誘われたが。
 
特殊ウレタン製の刀だけ用意した。
チンドン屋でも頼んで『道場開き』の宣伝をしょうかとあいかわらず古風なことを考えた。ところが、ところが。
さすがはトウキョウ。
即、道場をイツパイにする申し込み。
それも、うら若き女性ばかり。
どうなっているんだ。この世の中は。
なんて、バチアタリなことは思わなかった。

ロックのリズムにのせて袈裟がけ、逆袈裟、胴ギリ、真っ向から竹割り。
と調子に乗っての演武。
そして喉への突き。これが結構受けた。
「神に代わって、お仕置きよ」叫ぶ練習生もいる。
職場でのウップンを晴らしている感じだ。
そして、まちがいなくヤセル。
と、あっては、生徒がふえるのはあたりまえだ。

「こんなことなら、はやくトウキョウへくればよかったわ」
「いや、田舎暮らしも、けっこうたのしかった」
「化沼のバラ園は玲加ちゃんにまかせてあるし。心おきなく戦えるはね」
刀エクササイズをはじめたのもそのためだ。
人知れず命がけで戦う。
夜の闇で鬼を倒しても、収入にはならない。
平安の御代の鬼キラーは侍だった。
陰陽師にしても帝おかかえの人材がほとんどだ。
この世に生きるGGたちは、まったく無収入だ。
イイ仕事をはじめたものだ。

ふいに携帯がなった。
翔子からだった。

「GG、献血車がやけにおおいのよ」
「それはおかしいな」
「すぐきてくれない」
「あと一マス授業がある」
「わたしが、さきにかけつける」
「場所は?」


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