奥様はバンパイア35
○武の顔が屈辱に歪んでいる。
カミサンと玲加はまだ戻ってこない。
二分は経過している。
武からは瘴気をふくんだ凶念がふきつける。
くやしいのだ。
手も触れずに「気」だけではじきとばされたのがショックだった。
そして、わたしが銀の弾丸で彼の仲間を倒したことは伝わっている。
無暗に手出しはできない。
三人そろって武のまえに現れるとは思っていなかったのだろう。
○いや、ここまでわたしたちがたどり着くとは予想もしていなかつたはずだ。
「どうして……いまになって争わなければならないのだ。むだな争いはやめよう」
「むだかどうかは、上できめることだ。だが、みんな奈良にもどることをねがって
いるのだ。それには、あの時代の争いを再現する必要がある」
○笛のような呼吸音が武の口から洩れた。
そして変化がはじまった。
顎がぐぐっと突き出した。
顔に毛が密生する。
襲ってきた。
わたしは横に走ることで身をかわした。
投げた。
針を。
銃をつかって抹殺するにはしのびなかった。
仮にも玲加のクラスメートだ。
だが投擲したのは銀の針だった。
武の太股で肉の焦げる匂いがしている。
「だめ。洋子いなかったよ」
背後で玲加の声がした。
武はドアからそとに逃げた。
醜い姿を玲加にみられたくはなかったのだろう。
○「あの業者専用の駐車場か倉庫ね。あの警備は異常だったもの。穏行して忍び込
みましょう」
ブラッキー
アルブレヒト デューラーローズ
pictured by 「猫と亭主とわたし」
あなたのポチが筆者の励みとなります。よろしく。
↓
○武の顔が屈辱に歪んでいる。
カミサンと玲加はまだ戻ってこない。
二分は経過している。
武からは瘴気をふくんだ凶念がふきつける。
くやしいのだ。
手も触れずに「気」だけではじきとばされたのがショックだった。
そして、わたしが銀の弾丸で彼の仲間を倒したことは伝わっている。
無暗に手出しはできない。
三人そろって武のまえに現れるとは思っていなかったのだろう。
○いや、ここまでわたしたちがたどり着くとは予想もしていなかつたはずだ。
「どうして……いまになって争わなければならないのだ。むだな争いはやめよう」
「むだかどうかは、上できめることだ。だが、みんな奈良にもどることをねがって
いるのだ。それには、あの時代の争いを再現する必要がある」
○笛のような呼吸音が武の口から洩れた。
そして変化がはじまった。
顎がぐぐっと突き出した。
顔に毛が密生する。
襲ってきた。
わたしは横に走ることで身をかわした。
投げた。
針を。
銃をつかって抹殺するにはしのびなかった。
仮にも玲加のクラスメートだ。
だが投擲したのは銀の針だった。
武の太股で肉の焦げる匂いがしている。
「だめ。洋子いなかったよ」
背後で玲加の声がした。
武はドアからそとに逃げた。
醜い姿を玲加にみられたくはなかったのだろう。
○「あの業者専用の駐車場か倉庫ね。あの警備は異常だったもの。穏行して忍び込
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