田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

決戦  吸血鬼/浜辺の少女(2) 麻屋与志夫

2008-06-29 06:49:04 | Weblog
6月29日 日曜日

7

硫黄が青く燃えていた。
あきれるような年月をかけて地表に層を重ねてきた硫黄。
岩肌にこびりついていた硫黄の成分が地熱の上昇にともなって燃えだしていた。
青くただよう硫黄の流れ。
硫黄の燃えたつ青い流れ。
燃えたつ青い炎の川。
赤く燃える溶岩流と青い硫黄の流れが合流する。
まざりあって、じわじわと山麓をめざして流れている。
まさにあらゆるものを溶解する。
地獄の流れだ。
喉と目につきささる煙りの痛み。
紅葉がはじまりかけている。
広大な雑木林。
那須の山々。
もうもうと煙りがふきこんでいる。
まさに炎熱地獄だ。
そうよ。これは地獄の風景だわ。
地獄の青い炎が燃えさかっていた。
溶岩の流れは止まらない。
空の青い闇が明るくなっていた。
夜が明けた。
いや、夜明けにはまだ時間がある。
ふきあがる噴火の赤い炎。
空まで赤く染まっている
……からだ。
那須山系が火山活動期にはいった。
噴火した。
このままでは流れる。
茶臼岳から噴きでた溶岩が低地に流れる。
人家にたっす。
時間がない。
人家に達すれば、膨大な被害がでる。
なんとしても、この流れを住宅地まで流出させてはいけない。
止めなければ。
「どうすれば、いいの」
夏子はひっしで策をねっていた。
「はやく、はやくきて。隼人」

8

隼人も眞吾も殺生石のある方角に走っている。
噴煙が吹き上がっている。
噴火の炎が天を焦がしている。
「このさきに夏子がいる」
那須温泉神社の石の階段。
隼人と眞吾は、かけあが。
「ぼくはさっきから夏子の悲しみの念波をキャッチしている。なにかある。とんでもないトラブルが彼女をまちうけていたのだ。彼女を引き寄せたエネルギーの渦を感じる」   鳥居の影から人がわきでた。
うかびでたのは、黒のロングコートをきたQと吸血鬼の群れ。
黒いロングコートは日除けをかねていることは確かだ。
都会に生息する吸血鬼だ。
直射日光に弱いのだろう。
それにしても、どこにこれだけの吸血鬼がかくれていたのか。
おどろくほどの吸血鬼の群れ。
わきでてきた!!
わきでてきた!!
あとから。
あとから。








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