田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

水槽の中には/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-02-28 03:08:48 | Weblog
25

美香は喉に痛み。
肺が酸素をほしがっている。
心臓が酸欠の息苦しさと呼吸が出来なくなる恐怖で。
高鳴る。胸がはりさけそうだ。
大きく息をすった。
だが、だが空気は希薄だ。
扉が闇の彼方に――ある……はずだ。
もう声が出せない。
タレかが倒れた。
……もうだめ。

部屋の外から思念が流れてきた。
みんなが助けにきてくれた。
助かるかもしれない。
希望が見えてきた。
かすかな希望。
闇の中に明りが差す思い。
百子たちがきている。
翔子と純がきている。

床にふせて……床にふせて。

思念が指示してくる。
思念が命令している。

また……ダレカ倒れた。

香世。
アンデイ。
シャリーみんなふせて。床にふせて。


「ダメ。開かないよ」

ノブを回した百子が叫ぶ。

「わたしが念力をかける。翔子と純、百チャンはあの椅子で」

みなまできかず、鳥打の計画はわかった。
鳥打が両手をまえにつきだす。
木製の長椅子を三人がかまえた。

せいの。

四人の力がひとつとなった。
扉が内側に開く。

「なんだよ。こんなヤツと戦っていたのか」

純が状況も省みず、キツイことをいう。
いや美香&香世のげんなりとした姿態を鼓舞したのだ。
白色粘土ででもつくったのか。
吸血鬼の塑像の腕は斬り落とされていた。
そして輪切りの一片。

「ちゃんと口もきいたシ」
香世が咳き込みながら弁解する。

「わたしの錯覚よ。恥ずかしい」
「いや、真っ暗だった。ドアが閉まって……真っ暗になってしまったから」
アンデイが美香をかばう。

「この悪臭は、ナニ? どこで臭っているの」
ようやく百子が気づいた。

翔子が換気口をみあげる。
「あそこではない。機能してない」
鳥打が塑像を気の力で破壊する。

「すごい」
百子がうれしそうに驚嘆する。
塑像には芯としてパイプが内蔵されていた。
そしてマイクも。パイプは床から生えていた。
「まだこのしたに地下があるのよ」
「そこに、エイドリアンがいる」

地下三階には巨大な水槽があった。
魚の生き作りが売り物の居酒屋のあとだ。
水槽に大漁旗の絵が描かれてある。
悪臭はそこから発生していた。
エイドリアンの姿はない。
「やだぁ、見たくない。怖いシ」
「香世は、見なくていいシ。
ひとのパーツでも浮かんでいるとイメージしてるんでしょう」
「いわないで。オネエのいじわる」
香世がスネテ、水槽から距離を置く。
恐怖と臭いから逃げたのだ。
「ほら……」鳥打。
「やだぁ」と香世。
怖いもの見たさで鳥打の手元わみる。
「まだ生きていた」
 鯉だった。
鯉の生き血は精力がつく。
伊賀のオバァ達がいっていた。
そんなことを思い出した。
吸血鬼が鯉の生き血を吸っている光景を想像した。
水槽の中のほかの魚は死んでいた。



 今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。

にほんブログ村 小説ブログ ホラー・怪奇小説へにほんブログ村

最新の画像もっと見る

コメントを投稿