25
美香は喉に痛み。
肺が酸素をほしがっている。
心臓が酸欠の息苦しさと呼吸が出来なくなる恐怖で。
高鳴る。胸がはりさけそうだ。
大きく息をすった。
だが、だが空気は希薄だ。
扉が闇の彼方に――ある……はずだ。
もう声が出せない。
タレかが倒れた。
……もうだめ。
部屋の外から思念が流れてきた。
みんなが助けにきてくれた。
助かるかもしれない。
希望が見えてきた。
かすかな希望。
闇の中に明りが差す思い。
百子たちがきている。
翔子と純がきている。
床にふせて……床にふせて。
思念が指示してくる。
思念が命令している。
また……ダレカ倒れた。
香世。
アンデイ。
シャリーみんなふせて。床にふせて。
「ダメ。開かないよ」
ノブを回した百子が叫ぶ。
「わたしが念力をかける。翔子と純、百チャンはあの椅子で」
みなまできかず、鳥打の計画はわかった。
鳥打が両手をまえにつきだす。
木製の長椅子を三人がかまえた。
せいの。
四人の力がひとつとなった。
扉が内側に開く。
「なんだよ。こんなヤツと戦っていたのか」
純が状況も省みず、キツイことをいう。
いや美香&香世のげんなりとした姿態を鼓舞したのだ。
白色粘土ででもつくったのか。
吸血鬼の塑像の腕は斬り落とされていた。
そして輪切りの一片。
「ちゃんと口もきいたシ」
香世が咳き込みながら弁解する。
「わたしの錯覚よ。恥ずかしい」
「いや、真っ暗だった。ドアが閉まって……真っ暗になってしまったから」
アンデイが美香をかばう。
「この悪臭は、ナニ? どこで臭っているの」
ようやく百子が気づいた。
翔子が換気口をみあげる。
「あそこではない。機能してない」
鳥打が塑像を気の力で破壊する。
「すごい」
百子がうれしそうに驚嘆する。
塑像には芯としてパイプが内蔵されていた。
そしてマイクも。パイプは床から生えていた。
「まだこのしたに地下があるのよ」
「そこに、エイドリアンがいる」
地下三階には巨大な水槽があった。
魚の生き作りが売り物の居酒屋のあとだ。
水槽に大漁旗の絵が描かれてある。
悪臭はそこから発生していた。
エイドリアンの姿はない。
「やだぁ、見たくない。怖いシ」
「香世は、見なくていいシ。
ひとのパーツでも浮かんでいるとイメージしてるんでしょう」
「いわないで。オネエのいじわる」
香世がスネテ、水槽から距離を置く。
恐怖と臭いから逃げたのだ。
「ほら……」鳥打。
「やだぁ」と香世。
怖いもの見たさで鳥打の手元わみる。
「まだ生きていた」
鯉だった。
鯉の生き血は精力がつく。
伊賀のオバァ達がいっていた。
そんなことを思い出した。
吸血鬼が鯉の生き血を吸っている光景を想像した。
水槽の中のほかの魚は死んでいた。
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美香は喉に痛み。
肺が酸素をほしがっている。
心臓が酸欠の息苦しさと呼吸が出来なくなる恐怖で。
高鳴る。胸がはりさけそうだ。
大きく息をすった。
だが、だが空気は希薄だ。
扉が闇の彼方に――ある……はずだ。
もう声が出せない。
タレかが倒れた。
……もうだめ。
部屋の外から思念が流れてきた。
みんなが助けにきてくれた。
助かるかもしれない。
希望が見えてきた。
かすかな希望。
闇の中に明りが差す思い。
百子たちがきている。
翔子と純がきている。
床にふせて……床にふせて。
思念が指示してくる。
思念が命令している。
また……ダレカ倒れた。
香世。
アンデイ。
シャリーみんなふせて。床にふせて。
「ダメ。開かないよ」
ノブを回した百子が叫ぶ。
「わたしが念力をかける。翔子と純、百チャンはあの椅子で」
みなまできかず、鳥打の計画はわかった。
鳥打が両手をまえにつきだす。
木製の長椅子を三人がかまえた。
せいの。
四人の力がひとつとなった。
扉が内側に開く。
「なんだよ。こんなヤツと戦っていたのか」
純が状況も省みず、キツイことをいう。
いや美香&香世のげんなりとした姿態を鼓舞したのだ。
白色粘土ででもつくったのか。
吸血鬼の塑像の腕は斬り落とされていた。
そして輪切りの一片。
「ちゃんと口もきいたシ」
香世が咳き込みながら弁解する。
「わたしの錯覚よ。恥ずかしい」
「いや、真っ暗だった。ドアが閉まって……真っ暗になってしまったから」
アンデイが美香をかばう。
「この悪臭は、ナニ? どこで臭っているの」
ようやく百子が気づいた。
翔子が換気口をみあげる。
「あそこではない。機能してない」
鳥打が塑像を気の力で破壊する。
「すごい」
百子がうれしそうに驚嘆する。
塑像には芯としてパイプが内蔵されていた。
そしてマイクも。パイプは床から生えていた。
「まだこのしたに地下があるのよ」
「そこに、エイドリアンがいる」
地下三階には巨大な水槽があった。
魚の生き作りが売り物の居酒屋のあとだ。
水槽に大漁旗の絵が描かれてある。
悪臭はそこから発生していた。
エイドリアンの姿はない。
「やだぁ、見たくない。怖いシ」
「香世は、見なくていいシ。
ひとのパーツでも浮かんでいるとイメージしてるんでしょう」
「いわないで。オネエのいじわる」
香世がスネテ、水槽から距離を置く。
恐怖と臭いから逃げたのだ。
「ほら……」鳥打。
「やだぁ」と香世。
怖いもの見たさで鳥打の手元わみる。
「まだ生きていた」
鯉だった。
鯉の生き血は精力がつく。
伊賀のオバァ達がいっていた。
そんなことを思い出した。
吸血鬼が鯉の生き血を吸っている光景を想像した。
水槽の中のほかの魚は死んでいた。
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