奥様はバンパイァ 87
○西の空に白くかかっていた月が夕暮れとともに冴えた光をおびてきた。
武にエスコートされて玲加はバラ園をあるいている。
B級グルメなどとカラカワレルがアブラアゲ好きだ。
だから、稲荷ずしが好きだ。
この地方の特産物である干瓢をまいたオーソドックスな稲荷ずしをたらふく食べ
た。
太るよ。
と武にからかわれながらも大食い競争の女王になれるほど食べまくった。
おかげで、もとの元気をとりもどしている。
○そして広いバラ園をふたりはよりそってあるいていた。
「武のためなら、いつでもわたし戦うからね。Mはいまそれをやろうとしている
の。ただ戦うだけでないのよ。Gのためにvampireであることを放棄しようとしてい
る。わたしたちは結婚したら、その土地に50年しかいられないの。だってヒトとの
間に出来た子供より若かったら周りの人が、おかしくおもうもの。いつになって
も年をとらないでいる。……気づかれてしまう。だから……」
「Mはこの土地からGを連れだせばいいのに」
「Gがだめなの。生まれ故郷のこの化沼にこだわっている。こだわりすぎている。
ここで化沼の土になる。バラ園の隅におれが死んだらうめてくれって……。M遺言
しているの」
「どうして……バラ園になぜこだわるのかな?」
「それはね。Gの書いた、「星の砂」にほら載せた「初恋の白いバラ」を読めばわ
かるのよ」
「ああ、いまのところウイークリーランキングでトップの……」
「そう。Gはあの小説をもっと年配のひとにも読んでもらいたいらしいの。Gの世代
の男の純情を思いだしながら書いた作品だから。モデルになっているmimaと、もし
結婚できなかったらずっとずっと……一生待ち続ける気だったらしいの。武、わた
しがいなくなったらどうする」
「じゃ、このバラ園はあの主人公の少年が少女に約束したバラ園なんだ。GからMに
贈られたプレゼント。いいなぁ」
「武、わたしのこといつまでも待てる」
●私事ですが、「星の砂」に「初恋の白いバラ」を載せました。そちらもぜひお読みください。
あなたのポチが筆者の励みとなります。よろしく。
↓
○西の空に白くかかっていた月が夕暮れとともに冴えた光をおびてきた。
武にエスコートされて玲加はバラ園をあるいている。
B級グルメなどとカラカワレルがアブラアゲ好きだ。
だから、稲荷ずしが好きだ。
この地方の特産物である干瓢をまいたオーソドックスな稲荷ずしをたらふく食べ
た。
太るよ。
と武にからかわれながらも大食い競争の女王になれるほど食べまくった。
おかげで、もとの元気をとりもどしている。
○そして広いバラ園をふたりはよりそってあるいていた。
「武のためなら、いつでもわたし戦うからね。Mはいまそれをやろうとしている
の。ただ戦うだけでないのよ。Gのためにvampireであることを放棄しようとしてい
る。わたしたちは結婚したら、その土地に50年しかいられないの。だってヒトとの
間に出来た子供より若かったら周りの人が、おかしくおもうもの。いつになって
も年をとらないでいる。……気づかれてしまう。だから……」
「Mはこの土地からGを連れだせばいいのに」
「Gがだめなの。生まれ故郷のこの化沼にこだわっている。こだわりすぎている。
ここで化沼の土になる。バラ園の隅におれが死んだらうめてくれって……。M遺言
しているの」
「どうして……バラ園になぜこだわるのかな?」
「それはね。Gの書いた、「星の砂」にほら載せた「初恋の白いバラ」を読めばわ
かるのよ」
「ああ、いまのところウイークリーランキングでトップの……」
「そう。Gはあの小説をもっと年配のひとにも読んでもらいたいらしいの。Gの世代
の男の純情を思いだしながら書いた作品だから。モデルになっているmimaと、もし
結婚できなかったらずっとずっと……一生待ち続ける気だったらしいの。武、わた
しがいなくなったらどうする」
「じゃ、このバラ園はあの主人公の少年が少女に約束したバラ園なんだ。GからMに
贈られたプレゼント。いいなぁ」
「武、わたしのこといつまでも待てる」
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