田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

口をふさがれた イジメ教師は悪魔の顔/麻屋与志夫

2011-10-07 23:12:45 | Weblog
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ちがう、先生の声がいつもの声とちがう。
暗い。
低く暗い。
しわがれて男の声のように太い。

ちがう。
これは先生の声じゃない。
わたしのことなんかすこしも恐がっていない。
後ろを振り向こうとしたが動けなかった。

眩暈がした。
暗いのは先生の声だけではない。 
暗く陰湿な声に保健室まで光を失っていく。
それなのに薄闇が鏡になった。
うしろにいる先生の表情まで鮮明に映している。

おかしい。   
闇の中で背後の先生が見えるなんてどう考えてもおかしいのだ。
秀子はじぶんが、意識の目でみているのだとわからない。
上半身が震えだした。

「そうよ。そうよ。もっと恐がって」

ちがう。

わたしのよく知っている先生とちがう。

いままでの先生とはちがうものになっている。

いままでの先生とはまったくちがう。

「そうよ。そうなのよ。先生が怖い存在だってことが……ようやくわかってもらえたようね。うれしいわ。うれしいわ」
けっして聞いてはいけない。
これは悪魔の声だ。
秀子は恐怖のために意識が混乱した。
じぶんのおかれている状況がようやくわかった。
口をふさがれた。  
息がつまる。 
苦しい。
息ができない。
耳がきんきんする。
必死で抵抗した。
立ち上がるんだ。
なにかヤバイ感じ。  

動けない。 
苦しい。    
顔が恐怖と窒息感でゆがんでいる。
苦しい。
 

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