田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

詩15 黒い流れ 麻屋与志夫

2023-04-22 16:50:06 | 
詩15 黒い流れ

ふるさと鹿沼に
黒川
川には幾つもの橋

人は橋を架けるのがすきだ
橋を架け
土手を
コンクリートの堤にして
ただせわしなく人と車が
行き来している
人が通る
車が通る
浪費だ

どうせなら
人と自然の間に
橋を架けてください

恋のために苦しみ
生きる悩みをかかえ
川にとびこんでください
でもでも
もうもう
川の水は
おおすぎる橋に
はらをたてて
コンクリートの堤に
はらをたてて
どこか別のところを
流れています

川には
もう
水は流れていないのです

ほんとうは
川は乱伐に
はらをたてているのです
源流の山には
ブナやヒノキやケヤキも杉
もろもろのなつかしい
日本の黒い森は
ありません

豪雨のあとだけ黒川があらわれます
黒ぐろとながれた川の
面影をみせてくれます
思い出させてくれます

これでは川がかわいそう
これでは川がないてます
白鷺も鴨も小鳥もツバメ
遊び場を水飲み場を
うしなってしまった

ああ むかしはよかった
橋のピアから川に飛びこめた
川には豊かに水が流れていた
少年はキンツルで泳いでいた
ああ むかしはよかった
そんなこと ジジイのタワ言
そんなこと ジジイの世迷言
そんなこと ジジイの泣き言

いまからでもいいよ
山に木を植えようよ
黒い森をもういちど
黒い川をもういちど
みせてください
みせてください
ジジイの生きている間に
まにあわないとしても
ジジイは文句言いません
いますぐはじめてください
みせてください
自然をあいした
故郷の緑や川をあいした
あの心意気を

ジジイは
もういちど
少年になって
キンツルいっぽんで
黒川で泳いでみたい
泳いで みたい
およいでみたい
オヨイデみたい

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詩14 こころが波立たない 麻屋与志夫

2023-04-22 03:40:15 | 
詩14 こころが波立たない

こころが波立たない
いかりもかなしみも
ひからびたはっこつ

寒さも気にならない
ふるえるおののきも
しわのなかに潜んだ
暑さだっておなじだ

霜柱をふみに
野に立つと
幾千万の煌めく針
その美しさにも
こころが波立たない
煌めく針の尖端にも
おののかない
夏になっても
汗も出ないよ

どうしちまったんだ
どうなっているんだ
あわてるな
あわてるな

終末までには
まだ ある
時間はある



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