ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『 日本が軍事大国になる日 』 - 32 ( ラオス軍の内情 )

2022-03-14 16:14:05 | 徒然の記

 「チャイナリスクの中心に位置しているのが〈日本学術会議〉である。」という、遠藤教授の言葉を、中国の「軍事戦略」の一つとして頭に残しながら、江畑氏の著作に戻ります。

 今回は172ページ、ラオス軍の説明です。しかしラオス軍についてはあまり述べることがないらしく、1ページで終わり、そのままミャンマー軍の解説になっています。

 ベトナム、タイ、カンボジア、そして中国に周囲を囲まれた海のないラオスには、軍事的な問題がないというのでなく、この国自体が、取り立てて説明するだけの影響力がないからのようです。

 「冷戦時代、ラオスには米国やフランスの支援を受けた反共勢力が結成されたが、」「結局1979 ( 昭和54 ) 年に、ベトナムの支援を受けたパテト・ラオが、」「社会主義政権を樹立するのを、妨げることができなかった。」

 ということは、現在ラオス軍はベトナム軍の影響下にあるということになります。

 「ただしベトナムは、ラオス国内の反共勢力を制圧することができず、」「いまだに山岳地帯で、散発的戦闘が続いている。」

 ラオスもタイやカンボジア、或いはフィリピンやインドネシアと同様に、国内に反政府武装勢力を抱えているということです。

 「1989 ( 昭和64 ) 年までは、ラオス内の二つの反政府グループに、」「タイ軍が、秘密裏に支援を行なっていたらしいが、」「タイとベトナムの関係が、改善の方向へ向かうと、」「タイ軍によるラオス内の反政府グルーブへの支援も、消滅していったようである。」

 ラオスの国内問題が、他国であるタイとベトナムの関係改善で好転するという説明です。軍事的に弱いラオスと、軍事強国タイ・ベトナムとの話は日本と無関係ではありません。

 世界の軍事大国であるアメリカと中国が仲良くしていれば、日本の政界と経済界は順風満帆です。経済の繁栄を謳歌し、国民は平和な生活を享受できます。しかし米中の対立が激化し、さらに今軍事大国のロシアまでが、ウクライナで騒ぎを起こしています。石油が高騰し、消費物価が上がると、給与が何年も据え置きになっている庶民には、やがてくるであろう厳しい暮らしが見えてきます。

 江畑氏の説明は、無関係な東南アジアのラオスの話だと、そんなことを言っておれません。軍事的に弱いラオスが、周囲の軍事強国に影響を受けている状況と、日本のどこが違うのでしょう。自分の国を守る軍隊のない国は、結局周囲の強国に翻弄されるだけです。

 「平和憲法」の理想は素晴らしいとしても、現実を見ない日本は他国に侵食されますよと、控えめな江畑氏が私たちに教えています。弱いラオスに、タイやベトナムが何をしているのか、氏が説明します。

  ・1992 ( 平成4 ) 年6月、タイ国境側にあるラオスの村二つが攻撃され、200名のゲリラ部隊が村を占拠した。

  ・ベトナム軍の支援を受けたラオス軍が、ゲリラ部隊を追い払った。

  ・しかし7月には、同じ地域にある村を、ラオス反政府グループが襲撃した。

  ・これに関しラオス政府は、「これら山賊どもを、外国政府が支援している。」と非難した。

  ・同年7月タイ政府は、自国内で活動しているラオス反政府勢力とみなされる者を、7名逮捕した。

  ・これはタイ政府が、ベトナム政府へ両国の関係改善を求めているシグナルと受け止められている。

 ラオス国内の反政府勢力の事件なのに、ラオスは蚊帳の外に置かれ、タイとベトナムが交渉しています。想像したくありませんが、尖閣で紛争が生じたら、日本は無視され、米国と中国が交渉するのでないかと、そんな図式が見えてきます。

 次の氏の説明も、他人事でなく読みました。

 「しかしベトナムは、5万人規模の軍隊をラオス国内に駐留させており、」「依然としてベトナムがラオスをけしかけ、タイの安全を脅かしていると、」「タイ政府は考えている。」

 タイもまた、弱い国に対しては強気に出ています。カンボジア国内で、無許可営業を堂々としていたことを、ラオス内でもやっていました。ベトナムとの関係改善後、次のように政策を変更しています。

  ・ラオスとの間に、国境問題を検討・解決を図る委員会を設置した。

  ・ラオス国境付近での、物資輸送業務の独占をやめた。

  ・ラオス側の開発に資金援助を始めた。

  ・ラオスから輸入している農産物の内16品目について、特恵関税の優遇措置を取った。

 そして氏は最後に、次のように述べています。

  「ラオスを挟んで、タイとベトナムが再び緊張状態になる可能性は、今後も否定できない。」

 だから今回も、息子たちと、「ねこ庭」を訪問される方々に報告します。

  「自分の国を守る軍隊を持つことが、他国の侵略を防止します。」「憲法を改正し軍を再建することが、日本を守ります。」「アメリカは、いつまでも日本を守ってくれません。」

 「ウクライナを見れば分かります。」「独裁国家の指導者が、核使用の脅しをかければ、他国は引き下がります。」「つまり核保有国の独裁者が、核の脅しを口にすれば、米国は日本を見捨てます。」

 次回は、ミャンマー軍についての説明です。

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