自民党の総務会所属議員の意見の多様さに心を奪われ、大事なことを忘れそうです。国民の受信料にあぐらをかき、捏造の映像が韓国による日本攻撃に使われていても、国会で碌な回答をしないNHKのことと、NHKの首根っこを押さえる「年度予算計画」を審議しているのが、自民党の総務会であること。
なぜ総務会でNHKの「年度予算計画」が、甘い審議で承認されるのか、誰がそれをしているのか。発見するために議員の略歴を紹介しているのですが、一番肝心なことを忘れていました。
「総務会の運営は、どのようになされているのか。」
この説明をしておかなければ、獅子身中の虫の発見が困難になりますので、別途調べた、党則による総会運営情報を紹介します。
・総会の決定は、多数決で決められる。
・ただし党内に亀裂を残さないため、事前に総裁や幹事長など党幹部の同意を得て、全会一致を原則とすることが慣例化されている。
・小泉純一郎が総裁に就任してからは、総務会による事前審査なしでの、政府案提出や多数決による採決が行われることもないわけではない。
・例えば総務会決議による党議拘束を解除するには、党則によると党大会もしくは両院議員総会における議決が必要であるが、過去に例はない。
・党運営について重要な点は、総務委員が党内各グループ(派閥)から均等に選出される傾向があるため、各グループ(派閥)の代理人といえること。
・決議が全会一致の慣例となっているため、議題に反対する総務委員がいる場合は反対意見を述べた上で退席し、全会一致の形にしていること。
・総務委員を通じて党内各グループ(派閥)の了承を得なければ、予算案や法案を提出できない仕組みが作られている。
・総務委員を通じてグループが反対意見を表明できることから、グループ間の決定的な亀裂を防ぐ効果がある。
全会一致の建前のため、反対意見の議員は意見を述べた後で退出するのです。有村議員のようにNHKに厳しい委員がいても、多数の議員がそうでなければ氏は退席し、議案は全会一致で決まったことになります。運営規則を知らない人間には、総務会決定の「全会一致」の意味が理解できません。このことを知った上で、あと一人残っている石破茂議員の略歴紹介に戻ります。
最後に紹介することにしましたのは、氏に関する情報量が他の議員の5倍以上あったからです。それほど注目されているのだと言えば良いのか、言動に話題性が多いと言うのか。自分が思っていなかった氏を発見し、意外感に打たれることもありました。
保守政治家として正論を述べている一方で、共産党の党員かと思える愚論を語っています。今回はそうした氏の意見をなるべくそのまま紹介し、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に紹介します。
石破茂 氏・・総務会委員
・昭和32年高知県生まれ、65才 慶応大学法学部卒 前職三井銀行行員
・政党・・ 自民党 ( 田中派事務局職員 → 中曽根派 → 渡部派 ) → 新生党 → 新進党 → 自民党 ( 平成研究会 → 無派閥 → 水月会 )
・衆議院当選回数 12回
・平成14年防衛庁長官 ( 小泉内閣 )
・平成19年防衛大臣 ( 福田内閣 )
・平成20年農林水産大臣 ( 麻生内閣 )
・平成26年内閣府特命担当大臣・国家戦略特別区域 ( 安倍内閣 )
・平成27年内閣府特命担当大臣・地方創生 ( 安倍内閣 )
私はまず氏の政党遍歴に注目し、眉をひそめましたが、氏の意見を知り意外感に打たれました。氏の意見を紹介します
「自民党を一度離党した理由は、河野洋平自民党総裁時代に〈憲法改正論議を凍結する〉としたことが原因である。」
「新生党は当時〈集団的自衛権の行使容認〉〈憲法改正にも積極的〉であったために加入した。」
「しかし新生党、新進党時代は党内で権力闘争に明け暮れ、憲法改正や安全保障政策などの論議が党内で行われることはほとんどなかった。」
「新進党は第41回衆議院選挙の直前に、〈集団的自衛権の行使をしない〉〈消費税をこれ以上上げない〉などという政策を打ち出したため、新進党に失望して離党した。」
「自民党に復党したのち、自民党は再び〈憲法改正を目指す姿勢〉を明確にしました。その他の政策でも、最も私の主張と合致するのが自民党なのです。」
へえ、そういうことだったのかと意外感に打たれたのは、氏のこの言葉でした。
「青い鳥は(自民党の)外にいるわけではない。」
なんという文学的な、魅力的な言葉でしょう。文句があるのなら自民党を出て行け、足を引っ張るな、などという意見に対して氏は次のように言っています。
「一度党外に出て失敗した経験があるからこそ、そのような意見に従うことはできない。」
「私自身の主張は、初当選の時からさほど変わっていません。憲法改正、集団的自衛権の全面的行使を可能とすること、地方分権を推進すること。そして2世やタレントでなくても、国会議員を目指せるような環境を実現することです。」
私はこれまで氏を誤解していたのだろうか、もしそうなら気の毒な話だと、そんな気持になりました。次回は氏の正論と愚論を、並べて紹介いたします。息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々も、氏に関する判断はその上でのことになると思います。