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『幻想の超大国』 - 8 ( ニューヨーク・タイムズ記者の偏見 )

2020-01-22 08:01:28 | 徒然の記

 只今、57ページです。朝日新聞と提携する会社の記者の意見かと思えば、割愛しようと思ってもなかなかできません。

 「真珠湾当時、日本とアメリカはどちらも相手を軽蔑していた。アメリカは旧来の固定観念にとらわれて、日本をバカにしていた。アメリカ人のイメージする日本人は、小柄で出っ歯の黄色人種であり、版で押したように眼鏡をかけている。」

 「日本の工業力で作れるのは、せいぜい安物のおもちゃくらいのものだ。それに奴らは、戦闘機を操縦できない。人種的な理由で、飛行機に乗ると平衡感覚を失うからだ、と言った具合である。」

 「日本側のアメリカ人観は、これはまた性質が異なっていた。何よりも日本民族の優秀性、という信念から成り立っていた。日本人は、戦場で勝敗を決するのは武士道精神だと考え、アメリカ人は日本人と違って、祖国のために命を投げ出しはしないと信じていた。」

 「こうした差別意識は、いわれのないものであり、今ではもう信じている人間はいない。しかし私は、現在の日米間の対立を見ていると、次のような確信を抱かざるを得なくなる。」

 私が注目したのは、次の言葉です。

「人間は皆仲間であり、肌の色は違っていても、本質的には似たところが多い。ジャーナリズムや教育の場では、こんな考え方が常識とされている。そのため誰もが、他国の人々のことをよく知りさえすれば、やがて必ず共通点が見つかると信じている。」

 「しかし日本とアメリカの場合は、この考え方は当てはまらないように思えてならない。お互いを知れば知るほど共通点ではなく、相違点の多さに気づかされるのではないだろうか。」

 「日本人とアメリカ人が違うのは、もともと異質だからであり、生活環境、歴史、言語や文化が、全く異なっているからだ。」

 氏は生活環境や歴史や言語や文化が違っていれば、他の民族についてもそう考えるのでしょうか。しかしどうやら氏の意見は、日本人についてだけ語られているようです。民族の共生を盛んに主張する朝日新聞の提携先の、ニューヨーク・タイムズの記者の意見で、高々27年前の本であると言うところに、私はこだわります。

 「人間は皆仲間で、肌の色は違っていても、誰もが他国の人々のことをよく知りさえすれば、必ず理解しあえる。」「日本人は、もっと外国人を受け入れ、寛容な共生社会を作らなくてならない」

 朝日だけでなく、日本のマスコミは最近こうした記事を盛んに書いています。日本の文化を破壊する、安倍総理の「移民法」や「アイヌ新法」についてもこの論理で賛成しています。

 だが肝心の、ニューヨーク・タイムズ社の記者である氏が、ハッキリ否定しています。「日本人とだけは、いくら知り合っても、互いの共通点は見出せない」と言うのですから、朝日新聞は記事の論調を変更するか、同社との提携をやめるかする必要があるのではないでしょうか。

 氏の論理は、次のようになります。

 「われわれがすべきなのは異質な社会を観察し、その相違点や欠点まで含めて、全てを額面通りに受け入れ、敬意と若干の譲歩をもって、相手に接することではないだろうか。」

 「もしそうした道を選ばず、互いの相違点や、相手の寛大さに敬意を払うことを怠れば、恐るべき結果が待ち受けているだろう。それはわれわれが、50年ほど前に、真珠湾で学んだことである。この試練を乗り切るためには、あの運命の日の教訓を生かさなければならない。」

 またしても、真珠湾の話です。気に入らないのは、譲歩し寛大さを見せるのは、まるでアメリカの側であるような書き方です。一神教の国々の頑迷さと比較をすれば、八百万の神様李いる日本の方がずっと寛容なのですが、そう言う知識はありません。

 「世界はみんな友達、話し合えば、誰もが仲良しになれる。」

 朝日新聞だけでなく、共同通信社、NHKもこんな論調でオリンピックを語り、共生社会を主張します。移民を受け入れない日本は、狭量な社会だと決めつけています。

 内容を知れば、氏の意見にもマスコミのキャンペーンにも賛成できなくなります。

 日本は日本、外国は外国と、それぞれが自分の国を大切にすればそれで良いのに、身勝手な理屈を述べ氏は日本を批判しています。共通点がないと言われても、日本のマスコミまでが加わっています。

 書評はやっと60ページで、真珠湾の話もここでお終いです。次回からは、本題の「アメリカの落日」に入ります。

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