平野氏の著書の256ページに、「憲法政治を破壊する暴挙」と題する一章があります。
なんとなく不可解な首相交代だったと、今も記憶に残っています。疑義を唱えた報道もありましたが、いつの間にかうやうむやに終わり、森内閣が誕生しました。
当時の「ねこ庭」の疑問を、氏が明らかにしてくれましたが、話のとおりなら、自民党政治史に残る「汚点」になります。
氏が、小沢氏の知恵袋と言われる側近だった点を考慮しますと、そのまま信じて良いかという思いもあり、一つの見方という観点で紹介します。
・平成12年4月1日深夜、小渕恵三首相は、お茶の水の順天堂大学病院の特別室に入院し、脳梗塞によって昏睡状態となり、ベッドに横たわっていた。
・小渕さんは残念ながら、何も話すことはできなかった。一切の言語能力を奪われていたのだ。
・ところが翌2日の午後、官房長官の青木さんは、万事頼むと小渕さんから口頭で言われたと偽って、自らを首相臨時代理と称することに成功する。
・しかし後に医師団が、医学的に不可能であることを証明した。なぜ青木さんは、こんな危険な賭けをしたのか。
・同じ日、都内のホテルに五人の政治家が密かに集まった。
自民党の森喜朗幹事長、 野中広務幹事長代理、
亀井静香政調会長、 村上正邦参議院会長、 青木幹雄官房長官である。
・この五人組は派閥の権力維持のため、医師団による公式発表を行わず、小渕さんの病状を隠しながら談合で次の政権を作った。
・私はこの出来事を、一種のクーデターだと糾弾した。
・平成12年4月5日、五人組のクーデターで小渕内閣は総辞職し、自自公連立政権は終わった。
・代わって、森喜朗さんを首相とする、自公保連立政権が誕生したのである。
つまり五人の政治家たちは、密談をもって、小沢氏を党首とする自由党を外し、森内閣を作ったのです。
小渕さんが倒れた日の夕方には、首相官邸で、自自公連立政権の今後について党首会談が開かれていました。小渕総理と自由党の小沢党首、そして公明党の神崎代表の三人でした。
ですから最初は小渕総理が倒れたのは、小沢氏が党首会談で横車を押したからだと言われたりしました。このストレスが小渕さんの心臓を直撃し、脳血栓を引き起こしたと、そんな話です。これについて、平野氏が新たな事実を語っています。
・この党首会談が終わり小沢さんが帰ったのち、すぐに野中さんら自民党執行部が部屋に入り、一枚の文書を渡した。
・記者団に発表しろということだったが、文書を読んで小渕さんは愕然とした。文書には、小沢さんを切り捨てることが書かれていたからだ。
・首相とはいえ、自民党執行部の意向には、面と向かって歯向かうことはできなかった。
・結局小渕さんはテレビの前で、その文書を読まされることになったのだが、その時の小渕さんの表情に、周囲は首をかしげた。
・小渕さんには、脳血栓の初期症状が出ていたと証言する専門医もいた。
ここで氏が、断言します。
・小渕さんが倒れた本当の原因は、野中さんたち自民党の守旧派が、自由党との連立解消に突き進み、小渕さんの心労が重なったことだ。
実際に氏は予算委員会で、同様の発言をしていますが、議事録から削除されました。その後三回にわたり、国会で同様の発言をしたため、自公保三党による懲罰動議が出されたと言います。
いずれの側に真実があるのか、分かりませんが、氏の次の言葉には一つの道理があります。
・こんなムチャクチャなことがまかり通るなら、たとえば健康な総理大臣を、無理やり病院へ連れて行き、重病だと騒いで、臨時首相代理を指名したと触れ回れば、時の総理を辞めさせることができる。
・医師の診断書もいらないのだから、これほど簡単なことはない。これが憲法に基づく処置だと、誰が考えるだろうか。
青木氏他4人の政治家が、正しい行為と自信があるのなら、憲法に基づいて行動すればよかったのです。憲法には、次のように規定されています。
「第六十七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の決議でこれを指名する。」
私は小沢氏が嫌いで、平野氏の主張にも全幅の信頼を置いていませんが、森内閣の誕生には異議を唱えます。こんなことで作った内閣だったせいか、森首相は最初から最後まで国民に不人気で、マスコミからは叩かれ続け、為すこともなく短命に終わりました。
権力の座にあるとしても政治家は奢ってならず、遵法精神を忘れてはならないという教訓です。
もう一つだけ平野氏の意見を紹介し、ブログを締めくくりたいと思います。「お花畑」に住む人々へ伝えたい言葉です。
・阪神淡路大震災は、6,433人という死者を出す、大惨事となった。
・しかしこの大惨事は、天災などでなく明らかに人災だった。
・自衛隊の活用が適切に行われていたら、死者は激減していたはずだからだ。
・つまり村山首相の、政治家としての致命的な欠陥が引き起こした人災なのである。
・大正時代に起こった、関東大震災時の政府の政策を調べてみると、超法規的判断が必要なことが、分かった。
・なぜ災害対策基本法にある、災害緊急事態の布告をしないのか。
・私は国土庁防災業務課長に迫ったが、要領を得ない答えしか返ってこなかった。
・私は課長の言葉で、ピンときた。官邸側が、自衛隊による強制権を伴う措置を、嫌がったのだ。
・村山連立政権では、危機管理に対応ができない。今後の政界再編には、危機管理のあり方を柱の一つにすべきだと確信した。
東日本大震災でも、民主党の菅内閣が同じ過ちをしていたと今でも思っています。反日左翼の内閣は、自衛隊を嫌悪し、国民のために動かしません。自虐史観と平和憲法の呪縛に縛られ、災害を目前にしても自衛隊出動による国民の救出をためらいます。
そうでないかと考えていましたが、やはりそうでした。平野氏が、「ねこ庭」の推測を裏づけてくれたことになります。
反日の左翼政権では危機管理ができないということ、これも大切な教訓です。自衛隊を国連に貸与するなどと、愚かなことを言う小沢氏を信奉する平野氏ですが、著作ではあちこちで正論を述べています。
1. 権力の座にあっても政治家は奢ってならず、遵法精神を忘れてはならない。
2. 反日の左翼政権では、危機管理ができない。
平野氏はこの二点を、まず小沢氏に伝えるべきではなかったのでしょうか。
予定通り区切りがつきました。安心して残りの掃除にかかれます。
玄関周りと、ご先祖様周辺の掃除がもう少し残っています。ブログの合間に、二階の窓ガラスを全部綺麗にしました。口先ばかりの人間でなく、言行一致の家庭人として、今の所正しく暮らしています。じつに結構なことです。
健康な体を授けてくれたご先祖様と、平和な日本に感謝します。