4. 「伊藤貫の真剣な雑談 ( 第2回後半 )」 〉・・「再生産される悪夢・国際政治3学派の蹉跌」
今回も、「ねこ庭」の先生としての話の紹介です。
・他の国が注意をしても全く気にしないのが、アメリカ、中国、ロシア、イスラエルだ。従って制度派のパラダイムでは、特定の国が約束を踏みにじった時、きちんとした対応ができない。
大東亜戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン戦争、とアメリカがした戦争のほとんどに当てはまる説明です。ソ連時代にロシアがした戦争も上げると、タジキスタン内戦、チェチェン紛争、グルジア戦争、シリア内戦、中央アフリカ諸国内戦関与などがあり。現在では泥沼状態のウクライナ侵略戦争が進行中です。中国についてはチベット、モンゴル、ウイグルへの侵略、中越戦争、中印紛争があり、日本との関係では尖閣諸島への領海侵入が続いています。
ロシアのプーチン大統領が発した「核使用の脅し」では、国連が何の対応もできない無力な国際機関だったことが、世界中の人々に知られました。氏の説明通り、制度派のパラダイムでは特定の大国が暴走したとき、何の対応もできず、今も第三次世界戦争の危機が、核戦争の併発をはらみながら世界の人々を不安にしています。
・1985年から1990年にかけて、アメリカ国務省の主席法律顧問だったアブラハム・ソファーという人物の面白い発言を紹介する。主席顧問と言えば、国務省の最高の法律家である。
「1945年に国連憲章が採択され、一方的な軍事行動は国際法違反となった。」
「しかし世界の諸国は国際法を無視し、今日まで何百回も一方的な軍事力の行使をしてきた。」
「国連の安保理は、世界の平和を維持する機能を果たせない。」
「国際法は、どうでも良いゴミみたいなもので、全然役に立たない。」
面白がって紹介する話でないのに、リベラル派の制度議論の無無意味さを証明してくれる米国高官の言葉が嬉しくてならないようです。ソファー氏の言葉をさらに紹介します。
「特にアメリカとロシアの両国は、国連に協力するよりも自分たちの言いなりになる属国を増やすことに熱心であった。」
「アメリカとロシアは、発展途上国における非合法的な軍事力行使 ( 一方的な軍事力行使 ) により、体制転換 ( 政府転覆 ) を実行してきた。」
「アメリカとロシアによるこうしたクーデター行為は、世界の大国は国際法に拘束される意思を持たないことを示すものであった。」
愉快でならないという顔で、視聴者に喋りかけていますので、最後の部分を氏の話言葉で紹介します。
「ね、分かるでしょ。アメリカの国務省の現役の高官がこう言っているのですから、これがリベラル派の制度派の議論の実態であり、限界であるということを理解して貰えばと思います。」
政府の高官が自分の国の政策をここまで隠さずに批判するのかと、むしろアメリカの「言論の自由」の徹底ぶりに驚かされます。日本政府の高官が、政府の政策をここまで批判したことを聞いたことがありませんし、もしそんなことがあれば大騒ぎでしょう。
一つの例として、平成20年の「田母神論文事件」が思い出されます。航空自衛隊のトップだった田母神氏は政府高官ですから、アメリカの国務省の例で考えると処罰される必要がなかったのかもしれません。「日本だけが、国際法に違反した侵略国と言われる筋合いはない。日本は、素晴らしい国だ。」と言って、時の浜田防衛大臣に罷免されたのですから、気の毒な話でした。
なぜそうなったのかを考えますと、2つの理由しかありません。
1. 「日本だけが間違った戦争をした悪い国だ」と東京裁判で判決を出した米国に対して、自由民主党政府が忖度した。
2. 東京裁判史観を理屈抜きの正義として政府攻撃をする、共産党を筆頭とした反日左翼勢力への屈服
伊藤氏の貴重な話を聞かされても、私が戻るのは、現在の日本の課題です。「国際政治の6つのパラダイム」の解説より、現在の日本の課題解決の処理方法が優先します。この二つが解決できないため、国際社会で日本が追い詰められているというのに、伊藤氏は知っていながらなぜ言及しないのかと、いつもの疑問が頭をもたげます。
アブラハム・ソファー氏の発言を面白がっている暇があるのなら、日本に現存する「トロイの木馬」について解説したらどうなのでしょう。そうすれば楽しそうに笑顔で語る話が無くなり、もう少し真面目な雑談になる気がします。
・では次に、リベラル派の最後のパラダイムである「民主的平和の理論」の説明をする
私の思いを知らない氏は、国際政治学の説明を進めようとしています。「祭りの薬売り」なのか、「本物の薬売りか」首を傾げながら私も次回へ進みます。面倒になった方は、つき合う必要がありませんのでスルーしてください。