昨年の12月18日、千葉日報新聞に、中沢氏の特集が掲載されました。「ハーベストタイム」と言うシリーズもので、紙面のほとんどを使う大きな記事です。
それによりますと、令和元年に出版された『レンマ学』が、氏の探求の道が達した一つの頂点だと言うことです。『カイエ・ソバージュ』『対称性の論理』『アースダイバー』など、多様な観点から試みてきた思想の連なりが、生み出したものと言います。
「人間の心を、追い求め」「吉本隆明さんとともに高みへ」と、記事の見出しにある通り、氏は吉本氏と近い場所にいる思想家です。最近になって氏は、吉本氏がやろうとしていたことと、自分との接点が見えてきたと語っています。
「精神と心を、物質と絡めながら、一つの統一体を作りたい、そういう唯物論を作らなければならない、と言うのが吉本氏の考えだった。」
氏はそのように語り、自分も別ルートから、同じところにたどり着いたと言います。吉本氏の著作を読み、中沢氏の著作を読みましたが、正直なところ、私には何のことなのかさっぱり分かりません。
二人とも「知の巨人」と呼ばれていますから、凡人の私とは違った世界に生きているのだと思います。
「新自由主義で日本社会はぼろぼろになって、ものすごく危険なところにまできてしまったけれど、資本主義を少しは変えないとまずい、と言う思考も出てきている。」
「国連の持続可能な目標 ( SDGs ) を掲げ、産業構造を変えようとしたり、GAFAと呼ばれる巨大IT企業への、規制を強めようとしたり、」
こうした動きに、氏は期待が持てると語ります。「SDGs」は別にして、それ以外の意見に私は概ね賛同しますので、「反日左翼思索家」と決めつけるのは、果たして適切なのかと言う疑問もあります。
もしかすると氏は、吉本氏と同じく優れた頭脳を持つ、「知的ゲーム」を楽しむ、インテリの一人なのでしょうか。「自分の言葉を理解できない人間には、理解してもらう必要がない」と、割り切っているのかもしれません。
そう言う観点から見直しますと、『 アースダイバー 』 には沢山の事例があります。例えば28ページの主張が、その一つです。
「地球環境に関心のある人たちは、異様に暑い夏や、ちっとも寒くならない冬に、地球温暖化がますます進行していることを感じ、危惧を抱いている。問題はすべて、人間が発達させすぎてしまった工業文明にあると言っている。」
「しかし地球の問題を、数億年単位で考えている地球学者に話を聞いてみると、地球の温度は、実に長期間で変化をしているので、ことによると今がその温暖化のカーブに差し掛かっているだけかもしれない。」
「だから原因を、人間の愚行にばかり求めるのはどうか、と言う返事が返ってくる。」
地球の温暖化については、こう言う見方も必要でないかと氏は言います。さらに次のような意見になりますと、反日左翼思想家と単純に言えなくなります。