ねこ庭の独り言

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日本のエネルギー問題 - 6 ( 「エナシフ」の情報 )

2022-01-16 18:16:13 | 徒然の記

 エネルギーと気候変動をテーマにした、オピニオンサイトがあります。『Energy shift』( エナジーシフト  略称 :エナシフ )という名前です。

 関連するニュース、記事などを独自の視点で展開し、ユーザーに寄稿や議論の場を提供していくもので、合言葉は「さよならCO2」だそうです。

 会社なのか、何かの団体なのか、ネットで初めて知りましたので、詳しいことは分かりません。今回は『エナシフ』の情報をもとに、話を進めていきます。

 「2017 (  平成29  ) 年の日本のエネルギー自給率は、わずか9.6% 。」「これは、他のOECD ( 経済協力開発機構 ) 諸国と比べても低い水準で、」「2017年時点では、加盟している35カ国中34位でした。」

 少し古いデータですが、他に見つかりませんでしたので、日本のエネルギー事情を知るため、『エナシフ』の情報を転記します。

 「日本のエネルギー自給率が低いのは、石油・石炭・天然ガスといった資源に乏しいことが主な原因です。」「日本の2017年度の一次エネルギー国内供給のうち、化石燃料が87.4%を占めていますが、」「それらのほぼ全ては、中東やオーストラリアからの輸入に頼っています。」

 「国内でもわずかに生産されていますが、国内消費量の1%に未満にすぎません。」

 この事情は、5年後の現在でも、マクロ的には変わらないと思いますのでそのまま転記します。

 「2018 (  平成30  ) 年の化石燃料の海外依存度は、原油(石油)が99.7%、天然ガスが97.5%、石炭が99.3%です。」それらの化石燃料は、主に以下の国々から輸入されています。」


            1   位       2   位            3  位

   原油(石油)  サウジアラビア38.2%   アラブ首長国連邦25.4%     カタール8.0%

   石 炭    オーストラリア71.6%   インドネシア11.4%       ロシア11.1%

   天然ガス   オーストラリア36.6%   マレーシア12.4%        カタール12.0%

 「日本はこれらの国から、石油・石炭・天然ガスを輸入していますが、」「その分だけ、国内のお金が海外に流れてしまい、経済的に大きな損失が生まれています。」

 化石燃料への支払い代金は、日本の資本の海外流出であり、経済損失であるという意見です。資源小国である日本が生きていくため、エネルギーの購入代金は必要経費であると、考えていましたが、そうではないという意見のようです。

 「化石燃料の輸入額は、2010 (  平成22 ) 年の度の約18兆円から、」「2014 (  平成26  ) 年には25兆円と、約7兆円増加し、」「同年度の貿易収支は、9.1兆円の赤字を記録しました。」

 「日本は、石油・石炭・天然ガスといった資源に乏しいため、」「現状は、他国からの輸入に頼るしかありません。」「ですが、これらの化石燃料に依存しているうちは、国内のお金が海外に流れることで、」「経済的にも大きな損失が発生する上、エネルギー自給率も上がりません。」「この問題を解決できる可能性があるのは、〈 再生可能エネルギー 〉の普及です。」

 『エナシフ』の意見は、〈 再生可能エネルギー 〉の普及でした。2017 (  平成29  ) 年といえば、安倍内閣の時の話です。

 日本海沿岸の12府県による連合組織である、「日本海連合」が設立され、「日本メタンハイドレート調査株式会社」が設立され、日本近海で盛んに調査研究をしていました。それなのに『エナシフ』は、なぜこれについて触れないのでしょう。日本政府は「スーパーメジャー」の反発を恐れ、官民をあげて「メタンハイドレート」の調査研究を極秘にしていたのでしょうか。

 そうだとすれば、マスコミが報道を控え、政治家が口をつぐみ、経済界も学者も評論家も黙っていた理由が推測できます。しかしいかに国家機密とは言え、現在の日本で、政府による緘口令が素直に守られると、誰が考えるでしょう。

 ここでまた一つ謎が増えましたが、今は謎を追求せず、『エナシフ』の説明を読んでいきます。

 「2017 (  平成29  ) 年の日本の年間発電電力量は、約70%が天然ガスと石炭による発電でした。」「2010 (  平成22  ) 年の天然ガスと石炭が、発電電量に占める割合は60%程度で、」「現在より低い水準でした。」

 「2011 (  平成23  ) 年の東日本大震災以前は、天然ガスと石炭だけでなく、原子力も主力電源の一つだったためです。」「純国産エネルギーとされている、原子力を含めたエネルギー自給率も、2010年は20.3%と、現在よりは高い水準だったのです。」

 「しかし、東日本大震災後に、原子力発電所の稼働が大きく減ったため、」「エネルギー自給率が、大きく低下しています。」「最もエネルギー自給率が低かった、2014 (  平成26  ) 年は6.4%でした。」

 「こうした中で、国内自給する発電電力量のうち伸びているのが、再生可能エネルギーです。」

 「発電電力量のうち、再生可能エネルギー(水力発電を除く)が占める割合は、」「2010 (  平成22  ) 年には2%でしたが、2017 (  平成29  ) 年には8%まで伸びています。」「これは2012 (  平成24  ) 年にFIT制度が施行され、太陽光発電等の再生可能エネルギーを使った発電施設が、増えたことによるものです。」

 エネルギー問題を経済面から考え、他国への支払い代金を「経済ロス」と考える『エナシフ』が、「メタンハイドレート」をなぜ一瞥もしないのか。謎を頭の中に置いた上で、次回へと進みます。

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日本のエネルギー問題 - 5 ( 「メタンハイドレート」の問題点 )

2022-01-16 08:57:56 | 徒然の記

 本題に入る前に、青山氏が社長をしていた頃の「独立総合研究所」に関する情報を見つけましたので、紹介します。

 「メタンハイドレートは、本州、四国、九州といった、西日本地方の南側の南海トラフに、最大の推定埋蔵域があり、」「北海道周辺と新潟県沖、南西諸島沖にも存在する。」

 「また、日本海側には海底の表面に純度が高く、」「塊の状態で存在していることが、独立総合研究所、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、」や「海洋研究開発機構などの調査により、分かっている。」

 同社が、当時から国の調査・研究に参加していたことが、これで分かりました。

 調べてみますと、「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」は、通商産業大臣が管理する独立行政法人で、「海洋研究開発機構」は、文科省所管の国立研究開発法人でした。当初は政府機関が大きく関わり、調査研究を進めていたはずなのに、どうして現在のような状況になったのでしょう。

 埋蔵量について平成8年の情報では、7.35兆立法ーメートルあり、日本で消費される天然ガスの99年間分の量があると書かれていました。調査の進んだ平成28年では、12.6兆立法ーメートルと訂正されています。1.7倍増えていますから、約167年間分の量があることになります。無尽蔵という青山氏の説明も、嘘でなかったことが分かります。

 ここで本題に戻り、「メタンハイドレート」の問題点について、同じくネットの情報から拾ってみます。

  1.  日本近海の海底に多量に存在することは分かっているが、実用化までには長い道のりがある。

  2.  天然ガスや石油のように、海底から吹き出すものでないため、地上まで運ぶのが困難である。

  3. 固体の状態で存在するには、低い温度と強い圧力が必要。

  4.  地層内の圧力を下げ、メタンと水に分離し、メタンを回収する方法が検討されているが、多大な費用がかかる。

  5.  採掘コストが、1バレル200ドル以上かかるのに対し、石油の採掘コストは1バレルあたり10ドルと言われている。

  6.  コスト差が20倍あり、石油を輸入したほうが良いと思われても仕方がない。

  7.  メタンハイドレートの採掘が、環境に悪影響を与える恐れもある。

   ・海の生態系を乱す可能性

   ・メタンを大気に放出することによる、温暖化を加速させるリスク

 ネットで初めて知りましたが、「エネルギーの視点から未来を考える」というキャッチフレーズを持つ、EMIRAというメディアがあります。同社のインタビューに答えるという形で、明治大学の松本良教授が「メタンハイドレート」の実用化に異論を述べているのを見つけました。

 氏の肩書、は明治大学・「研究・知財機構ガスハイドレート研究所」所長・特任教授で、インタビューは平成29年のものです。

 「資源としては有用なものではありますが、実際に使えるようになるまでは、まだ数十年はかかるでしょう」

 「もともと私の専門は、地質学と堆積学です。」「海底にたまった堆積物や、隆起して地表に上がった地層などを分析し、」「地球の歴史を解明するという研究を、していました。」

 「その中で、海底で奇妙な現象を見つけたんです。」「その原因を突き詰めたことから、海底下にガスハイドレートが存在する可能性に気付いたんです」

 「ガスハイドレートとは、メタン、エタン、二酸化炭素などのガスと、水が作る氷状の固体結晶。」「メタンを主成分としているために、日本では〈メタンハイドレート〉と呼ばれることが多い。」

 「1立方メートルのメタンハイドレートが分解すると、160立方メートルのメタンガスが発生する。」「そのガスを回収できれば、精製する必要のないエネルギー資源になるわけだ。」

 「しかし、問題は存在する場所にある。」「太平洋側、南海トラフ(四国南方の海底にある深い溝)に、砂層型(さそうがた)と呼ばれるメタンハイドレートが存在することが、分かっている。」

 「それがあるのは、水深約1000mの海底面の、さらに約300m下にある砂層。」「深海だけに、採掘どころか探索にもかなりの困難がつきまとっているのだ。」

 「東日本大震災以降、国内の天然ガス使用量は2倍くらいになっています。」「メタンハイドレートは、天然ガスですから、」「それを日本で採れればと、期待できるかもしれない。」「でも、現実的には、天然ガスの役割の一部分を、メタンハイドレートが果たす、というくらいでしょう。」

 「メタンハイドレートさえあれば、日本のエネルギーは大丈夫だというのは、幻想ですね。」「存在している資源の全てが、回収できるわけじゃない。」「これを輸出できてなんていうのは、現実を知らない人だけです。」

 「そう言って、一般の人を惑わせてはいけないでしょう。」「資源については、間違ったことが平気で流されて、」「時にはそれが、政策にまで影響してしまうということがあるので、」「関係者には、科学的事実を正しく理解し、共有してほしいと思います。」

 氏の意見を読み、私は怒りの混じった不快感を覚えました。日本のエネルギー問題の解決のため、前向きな意見を述べるのでなく、青山氏のみならず、政府の試みを否定する姿勢です。青山氏も、氏の夫人である千春博士も、松本教授の主張を知らないはずはないと思いますが、【 僕らの国会 】の動画では一度も言及していません。

 
 次回からは、自民党の議員として口に出せない氏の代わりに、「スーパーメジャー」と松本教授への疑問点を述べてみたいと思います。
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