鈴木康友静岡県知事就任以降、選挙公約の一つであったリニア新幹線工事の推進に関する記事が、報道から踊るように全国に伝えられていく・・・。
リニア建設はもう後戻りできないことは、静岡県民、地元大井川流域の関係者も理解している。
リニア建設が過去の計画で、現代事情と乖離してその価値に対する莫大な経費が問われてはいるが、これでここまで進められている計画、工事の進捗を止めることでの損失プラス、リニア沿線の住民の期待、経済効果を考慮すれば、もう工事を進めるしかない・・・。
ただ・・・、ここで、県知事が変わったからと言って、今までの大井川流域の課題が一気に解決できるものではない。
リニア工事により、南アルプスからの恵みとなる大井川への流水の毎秒2トン以上の減量は歴然と残るものであり、その一時的な対応策は地元も承知するものとなってはいるが、それ以外の南アルプスの自然環境への影響などは、工事を進めていかなければ詳しいことは分からないという中途半端な見切り発車の状態・・・。
もし新知事が、こんな大事な課題を差し置いて、工事を容認するようなことがあれば、それは、1票を託した県民の想いを十分汲んでいないこととなる。
川勝前知事は、それでも県民の立場で世間からの矢面に立って、自ら悪役となって県民の想いを主張してくれたが、ただし、それだけではことは進まない・・。
鈴木知事には、今までの川勝前知事とは格段のコンタクトの数を有利に利用し、ステークホルダーすべての理解を束ねることを期待しての1票が投じられた・・・。
静岡県にとってのリニア問題は、一気に解決できない奥深さがある・・・、少なくとも、静岡空港新幹線新駅をつくりたいための駆け引きなどと、全国から見られないような心細やかな、JR東海、国との調整をしっかりとやってほしい。
私は静岡空港の地元住民であり、静岡空港直下駅ができればありがたいと思うが、静岡空港新幹線新駅と大井川流水減量、南アルプス環境破壊とを天秤にかけるような愚行は、したくない・・・。
人工物と自然とは、比べる余地もないほどの歴然とした価値の重みの格差があることぐらいわかる・・・。
さあ、リニア新幹線工事進捗のフェーズが変わったと報道される、誰もが明るい将来をここで思い浮かべられるようになったが、これがすなわち即問題解決になったのではない。
むしろ、ここでステークホルダー全員が課題解決に向かってのスタートラインに立ったのだ・・・。