写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

反射神経

2012年06月25日 | 生活・ニュース

 天気の良い日の午後、柳井にある園芸店に奥さんと車で出かけた。店内を見て回っているとき突然右目に、ピリッというかキリっというか、そんな感じの痛みが瞬間走った。30分も経ったころ、また同じようなことが起きた。家に戻るまでに、もう1、2度そんなことがあった。気になるので、家に帰り最近開業したばかりの近くの眼科医院に行ってみた。

 夕方5時半、待合室にはあたかも難民収容所のように多くの患者が所狭しと座っている。空いたところを見つけて待つこと40分、やっと呼び込まれた。4年ぶりの眼の検査である。まずはレンズをとっかえ引っかえしての視力検査。続いては眼圧検査である。

 装置に向かってあごを乗せる。「右目からやりますよ。空気がプシュッと出ますが、眼をつむらないでくださいね」と若い看護師が優しく言う。「はい、眼を大きく開けて~」「プシュッ」。その瞬間私の目は反射的にまばたいた。「あぁ~、眼をつむりましたね。もう1度やりますよ」「プシュッ」「また眼をつむりましたね。もう1度やりますが、まばたきしないように頑張ってくださいよ~」「プシュッ」。

 何度繰り返しても合格しない。終いには看護師さんが手で瞼を押し開けての検査で、やっと両目の眼圧検査が終わった。いい機会だと思って、眼底検査もやってもらった。検査後、先生の前に座って、目視検査。2、3本逆毛を抜いてもらう。「こんなことは時にあります」で、診察結果は、特に問題なし。炎症防止の目薬が出た程度で釈放。

 眼圧検査とは、目の異常を知る重要な手がかりの検査。色々な検査方法があるようだが、今回受けたのは空気圧によるもの。圧搾空気を吹きつけて、角膜のへこみ具合によって眼圧を測定する方法であった。何度思い返しても不可解なことであるが、眼球に向かって何かが飛び込もうとしたときには、誰でも反射的に眼をつむるであろう、なのに眼をつむるなとは……。固体ではなく、気体であっても同じことだ。

 眼をつむるなと言われても、人間の作りを変えない限り到底無理な話である。それとも私は他の人に比べて反射神経がよすぎるのか。そういえば餅まきで、地面に落ちた餅を誰よりも早く拾うことが多かったことを思い出している。少しさみしい気がしないでもない眼圧検査であった。