写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

う~んボーノ

2012年06月03日 | 食事・食べ物・飲み物

 6月に入った日、朝食後、テレビを聞きながら新聞を読んでいた。「はなまるマーケット」という番組で「老舗名店のナポリタン」というコーナーで、おいしいナポリタンの作り方を紹介していた。出来上がったものを「おいしい、おいしい」といいながら出演者が食べている。

 ナポリタンは、トマトケチャップで味付けしたパスタのことをいうが、パスタの本場イタリアではナポリタンと呼ばれる料理はなく、意外にも日本独特の料理だという。典型としてはスパゲティにトマトケチャップをからめ炒めて作る。代表的な具材はタマネギ、ピーマン、これにハム、ウインナーソーセージ、ベーコンなどの加工肉を加え、タバスコと粉チーズを好みでかける食べ方が一般的である。

 ナポリタンの起源については、横浜下町にあるホテルニューグランド第2代総料理長の入江茂忠が最初に考案したとの記録が残っており、イタリアに行ってレストランで「ナポリタン!」と頼んでも、メニューにはそんなものはなく、ウエイトレスはちんぷんかんぷんらしい。

 テレビで紹介されたナポリタンのレシピは、典型的な具材のほかにマッシュルームを加え、ケチャップ・塩コショウのほかに、調味料としてバター、砂糖、コンソメソースの素、白ワインを少々振りかけるものであった。いかにもおいしそうに食べているのを見ていると、急に食べて見たくなった。

 「よしっ、今日の昼はナポリタンを作ってやるぞ」、大きな声で奥さんに宣言してしまった。聞くと具材は冷蔵庫に大体そろっている。ソーセージとマッシュルームはないが、代わりの物としてベーコンとハム、シメジがあるという。白ワインの代わりには酒を使うことにした。

 小さじと大さじをそろえて、11時半に調理スタート。パスタは2人分で160グラムとした。パスタを茹でながらタマネギもピーマンを細長く切る。フライパンにオリーブオイルを入れ、薄切りのニンニクを香りが立つまで炒め、その中に用意した具材を一挙に入れた。パリパリパリ、いい音を聞きながら、その中に茹であがったパスタを投入し、ケチャップを加えて炒めること1分。いい色合いのナポリタンが出来上がった。

 皿に盛り付けて奥さんの前に差し出した。味付けは全ての調味料とも「少々」であったが、いい味加減に仕上がっている。「う~んボーノ。いいじゃない」。つい笑みがこぼれる。俺だって、出来るじゃん。「また作ってね」奥さんから早くも宿題が出た。