写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

カシワバアジサイ

2012年06月08日 | 生活・ニュース

 庭のカシワバアジサイ(柏葉紫陽花)が、ハナミズキの木の下で今満開となっている。奥さんが何年前に植えたのだろうか、私の背丈以上に大きくなって葉を茂らせている。カシワバアジサイの原産地は北米東南部という。図らずも、我が家の庭にはハナミズキと共に、アメリカ生まれの花木をそろえて植えていることになる。

 葉の形がカシワに似ていることが、名前の由来だ。花は白色の円錐状で、大きなものはメガホンくらいになっている。一般のアジサイとは異なり、木のボリュームに比べ花が少ないのが特徴という。そういえば今年の花の数は20個。確かに木の大きさに比べると、花の数は少ないが花は大きい。

 日陰でひっそりと時を過ごしているこのアジサイも、ハナミズキと同じく花の季節には美しい花で楽しませてくれるばかりか、秋には紅葉となり1年に2度も美しさを演じてくれる中々の頑張り屋さんだ。

 ところでこのカシワバアジサイの花ことばは、「慈愛 」「汚れなき心」「清純」「優美」「皆を引き付ける魅力」。確かに姿形から見ると「清純」「優美」はぴったりで弥勒菩薩に見るような「慈愛」すら感じる。一方のハナミズキの花言葉といえば「私の思いを受けて下さい」「返礼」「華やかな恋」。たくさんの花を付けたときの華やかさから見ても、やや押しつけがましい花言葉となるのは致し方がないところか。

 デッキに座わり、カシワバアジサイの大きな房がやや頭を垂れているのを見ていると、そろそろ天からの雨を祈っているかのように見えた。今週末あたりが入梅だとか。今日の空はどんよりと低い。庭のアジサイの清純さ・優美さが薄暗い庭の中にあって私を引きつける。「お~い、アイスコーヒーでも飲もうか」、家に向かって言ってみた。返事は聞こえなかったが、台所からコーヒーミルの回る音がし始めた。