写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

メジロの水浴び

2007年02月24日 | 季節・自然・植物
 春1番の強い風が吹いた日、朝食を済ませ新聞を読んでいたとき、狭い庭に突然1羽のヒヨが飛んできた。それを機に庭の片隅に餌台を作り、りんごとみかんを切って並べ、またの来訪を待っていた。

 数日後、なんとメジロのつがいがやって来た。名前の通り、目の周りが化粧しているように白く愛らしい。りんごには口をつけず、ミカンばかりをつついていた。これに味を占め、翌日大きなグラタン皿を買い求め、中に小石を敷いた水浴び場まで作って様子を伺っていた。

 するとその日の午後、先日のメジロ夫妻であろう。またやって来た。窓のブラインド越しに息を潜めて観察した。忙しい食事の合間にこの夫婦、なんとキスが入る。しかも何度もそれが繰り返される。メジロでなくて良かったとしみじみ思うような光景であった。

 ひとしきり食事をしたあと、突然1羽がバシャバシャト荒々しく水を浴びた後、2羽が一緒になって飛び立って行った。それにしてもこのつがい、本当に夫婦なのだろうか。水浴びしたのは多分オスに違いない。あのオスには身を清めなければ帰れない何か深い訳でもあるのだろうか。かわいいメジロを眺めながらつい下世話なことを考えていた。
(写真は、お熱い「メジロの夫婦」、2007.02.23中国新聞「広場」掲載)