写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

たまに行くなら2

2007年02月09日 | 食事・食べ物・飲み物
 ちょっといいことがあったので気分が明るい。夕方、夕飯の買い物に出かけようとする奥さんを引き止め、出かけることにした。

 予約の電話を入れておき、いつもの3人がマーチで出かけた。目指すは宮島を前にした海辺のイタリアン・レストラン「ZIZO」である。

 6時の予約であったが、渋滞もなく予約時間より15分も早く着いた。客は誰もいない。1番座敷のため、どこに座っても良いといわれる。

 眼下に海の見える窓際の席に座ったが、夕日はすでに沈んでおり、瀬戸内海が静かにくれていく頃であった。

 若いウエイターがメニューを持ってくる。初めのページに載っている少し弾んだコース料理を頼もうとした時、「こんなセットもありますよ」と、最後のページを開いて見せる。

 「バレンタイン・セット」とあり、2人分以上の注文に限ると書いてある。初めのものより少しお得なお値段だ。内容を聞いてもおいしそうである。これを頼むことにした。

 ひらめのカルパッチョ、ガーリックバターパン、カニのクリームソースパスタ、薄切りのひれ肉ステーキ、デザート、シナモンコーヒーと出てきた。

 いずれも申し分なく、外の景色を見る暇もなくおいしく頂いた。何れの皿も、2人分が1枚の皿に乗って出てきて、各小皿に取り分ける。

 面白いと思ったのはデザートのケーキである。イチゴが乗った、2人分の大きさの正方形のチョコレートケーキが出された。相愛のふたりが、仲良く半分にしようが、6対4に分けようがどうぞご自由にということだろう。

 さすが、バレンタイン・セットである。更に仲が深まるような工夫が凝らしてある。薄くなった頭ではないが、7対3に分けて食事を終えた。

 バレンタインセットであろうが、敬老セットであろうが、分け合って食べるということは、そこで何かが生まれてきそうな感じがする。

 気がつかないうちに、周りのテーブルには4組の若いカップルが、仲むつまじく向かい合って座っていた。

 例年とは大きく違い、まったく厳しさのない余寒を突いての外食、年配のみなさんもこの「バレンタイン・セット」如何でしょうか。
  (写真は、分け合った正方形の「バレンタイン・ケーキ」)