写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

シロウオ漁

2007年02月17日 | 季節・自然・植物
 数日前の新聞記事に、錦川の下流・今津川でシロウオの四手網漁が2月10日に解禁されたと報じられていた。

 四手網漁とは、竹竿で張った四角の大きな網を水面下に沈めておき、海から団体で遡上してくるシロウオを、一網打尽にすくい上げる捕り方だ。

 シロウオにとっては寝耳に水、いや初めから耳には水が入っているのだろうから、寝耳に空気の災難とでもいうような漁法である。

 夕方、本屋に行っての帰り、自転車に乗って今津川に行ってみた。寿橋の上流に、1基四手網のやぐらが建っていた。

 干潮だったので水深はなく、漁師はいない。下流を見ると、新寿橋との間にもう1基やぐらが見える。

 川の中州近くでは、水鳥が活発に動き回っている。毎年、ほとんど変わらぬ同じ光景である筈なのに、この季節になると1度は見に行きたくなる今津川の風物詩である。

 しかし、ここ3年間は、年々水揚げが減少しているという。毎年、ごく少量パックに入った活きたシロウオを買って早春を味わっているが、今年は果たして私の口に回ってくるほど捕れるのか。

 内臓が外から見えるほど透き通った身体と、黒くつぶらな瞳を見ていると、私は口の中で跳ね回る躍り食いなんぞはどうしても出来ない。

 もともと、シロウオは食すものではなく、桶で泳がせ、本当は目で見て自己を反省するためのものなのかもしれない。

 腹の中まで全部見せてくれるあの透明性、世の政治家先生にとくとお見せしたい気がする。
  (写真は、今津川に建てられた「四手網」)