写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

折り雛

2007年02月10日 | 季節・自然・植物
 創刊した同人誌を手渡すため、中学校の同級生であったH子さんN子さんと喫茶店で会うことにした。

 「喫茶店で待ち合わせをする」。いやしくも、かつて妙齢であった女性を喫茶店で待つというようなことは、一体何時以来のことだろう。しかも2人もを。胸がときめく。

 待ち合わせの時間より20分も早くつき、遅いお昼のサンドウィッチを食べながら待っていた。

 時間丁度に、二人がやって来た。同級生といっても、男仲間に比べて女性仲間の声と笑顔は、明るく華やかだ。

 久しぶりの顔合わせで話に夢中になっていると、お昼時で満席だった周りの席はいつの間にか、がら空きに変わっていた。

 何歳になっても私は、美しい女性を前にするとはにかみながらも饒舌になる。悪い癖でもあり、いい性格だとも思っている。

 まぁ、それはそれとして、お二人から珍しいプレゼントを頂いた。千葉県の牛久ワイナリーに行った時に買ったという、刺しゅうの入った布製のワインボトル入れと、もうひとつは折り紙で作った雛人形であった。

 今度から、ワインを買いに出かけるときにはこの袋を持っていき、小粋に脇に抱えて町を歩いてみたいと思っている。初めて見る一品である。

 雛人形には小さな驚きがあった。4枚の折り紙で作るのだというが、十二単のお内裏さま・3人官女・5人囃子が、実物の人形のように折ってあり、立てておくことも出来る。

 その上、5人囃子はひとり一人が、太鼓・小鼓・笛など、いかにもそれぞれの楽器を持っているような手つきに作ってある。

 昨年の暮、孫が帰ってきたときにサンタクロースを折ってやったことがあるが、それよりもはるかに難しく、作るのに時間もかかりそうだ。

 頂いたその夜、ワイン袋には飲みかけのワインボトルを入れてぶら下げてみた。ウン、中々いい感じだ。心が軽くなる。

 雛人形は、白い紙の上に並べて眺めてみたが、少しかわいそうに思えた。納戸の中からいくつかの紙の箱を探し出して再加工し、ひな壇を作ってみた。

 緋毛氈は後日作るとして、白い出来立ての雛壇の上に飾ってみた。息子二人で女気のなかった我が家が、急に華やいだ雰囲気に変わった。

 生まれて初めて手にした雛人形をおずおずと隣の居間のサイドボードの上に置いた。

 雛人形もいいが、私にとってはお昼に出会った明るく活き活きとした表情の二人の同級生のほうがやはり美しく思えたとは、う~ん、言いすぎかな~?
  (写真は、折り紙で作った「お雛様」)