まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊(まつたけ十字軍運動)NEWSLETTER案内号

2010年08月10日 |  マツタケの林地栽培 
新刊 まつたけ山復活させ隊の仲間たち


京まつたけ復活・里山再生市民運動

はじめに
 2005年に始まったこの運動は、参加者の皆さんと全国の賛同者のお陰で、251回の開催が過ぎた.雨の日も雪の日もほぼ週1回のペースで開催されていることになる.毎回30-35名の参加者が創意と工夫で作り上げてきた運動の紹介本が8月初めに高文研から出版された.その名も『まつたけ山復活させ隊の仲間たち』という.写真が豊富で読みやすいものになっていると評判がよい.1680円(税込み)と価格も手頃と思われる.運動の楽しいことばかりでなく苦しいことも、またマツタケの生活やアカマツ林のつくりかたなどを紹介している.
 いま、アカマツにはザイセンチュウ病が、ナラ科樹木にはナラ枯れが猛威をふるっている.いずれもマツタケと同じ生活をする菌根性キノコが生活できなくなって現れた樹病である.人にはエマージェンシーウイルス病の脅威がある.動物や植物、キノコなどにとって健康に過ごすには大変な地球になっているのかもしれない.
 地球規模での気候変動による生物の生息地の喪失は、これまた激しいものがある.この10月に、名古屋市で生物多様性国際会議(COP10)が開かれる.政府はその責任をどう果たすのか世界に示さねばならない.ここ京都でも東山のナラ枯れが激しい.この秋の東山の紅葉は望めなくなっている.京都の景観条例とはいったい何なんだ?この策定に関わった学識経験者に問いたい?

§1 我々のまつたけ山再生運動とは?
近代マツタケ学発祥の地であり、独特のまつたけ食文化をいち早く形成した京都を活動拠点として、我々はマツタケ山づくりに取り組んでいる。時折のイヴェントや開催日の昼食タイムに集まることによって、情報を共有し、互いの知恵や技術を学び、また、里山復活の喜びをともにする.
今、1年間に40,000種もの生物が絶滅(約13分に1種)していると推測されている.生き物1種の絶滅は、10種から30種の生き物の絶滅を呼ぶという.日本で、5.3%の動物が絶滅危惧種とされ、7000種の維管束植物の29%が絶滅危惧種に挙げられている(2009年).
環境省によれば、絶滅危惧種の50%強に当たる生物の生息地は、人里離れた奥山でなく里地里山と呼ばれる私たちの生活の場である.緑が豊かになって生き物が追われている!私達の周りにありふれた生き物であったフクジュソウやヒメシャガなど、メダカやチョウ類やニホンウサギなど、またオオタカやイヌワシなどが、消え続けている.トキ、オオタカなどの営巣木はアカマツである.マツタケも、京都府では絶滅危惧種に指定されている.生物の保全・多様性上危機に瀕するアカマツ林(里山)をマツタケ山に戻すことが目的である.
私たちのマツタケ山づくりは、山-川-畑・水田(-海)のつながりを重視する.マツタケ山づくりで生まれるバイオマスの利用は、「自然」との共生型すなわち徹底した有機物循環型「農林業」に組み込まれるように最大限努力する.また、我々の成果は、情報として正しく発信し、全国に230万haあるアカマツ林に普及させることを願っている.
運動は、木を伐る人・運ぶ人・軽トラを貸してくれる人、薪をつくる人、病害木を焼却する人、畑や水田を守る人、食事を作る人、設備を造る人、道具類を整備する人、拠点を整備する人、道路を補修する人、バイオトイレを守る人、多機能窯を守る人、山を提供する人などすべての参加者が、運動の目的を実現するために互いに対等で支え合い助け合うことが必要と考えている.
まつたけ十字軍運動は、参加者の数だけ面白いことが発見できる良さを持つ.しかもそのことが、アリストテレス風に言えば、運動全体は個の参加者の総和以上の意味を発揮している.それ故、参加者はこの運動の全体性を見失わないようにしたい.
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開催予定日 2010年8月-9月
活動場所は京都市左京区岩倉村松 香川山
 アクセスやお願いは以下(§1-5)にあります.必ずお読み下さい。
活動開始は、午前10時頃から終わりは午後4時頃.
自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は参加の要あり.
第252回 8月20日(金)ブログ報告:三輪
第253回 28日(土)ブログ報告:池内
第254回 9月03日(金)ブログ報告:榎本
第255回 11日(土)ブログ報告:宮崎  京都造形芸大環境学受講生参加
第256回 17日(金)ブログ報告:三輪
第257回 25日(土)ブログ報告:榎本
第258回 10月2日(土)ブログ報告:池内
活動の様子を見るには
ブログ画面左下ブックマーク中のNikonまつたけ復活・里山再生運動を左クリックすると、Nikon Onlinegalleryにはいる.akamatsurinさんのホームとなっている.アルバム一覧からお好きなものを左クリックすれば写真一覧が出てきます.スライドショーなどお楽しみ下さい.写真を印刷したり保存したりでる.
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§2まつたけ山復活させ隊に参加するには
参加するには、この運動の主旨を理解し遵守せねばならない。尚、初めての方は事前に連絡が必要(連絡先は下記主催;吉村).
1)参加資格は問わない. 参加時間は自由、ただし、コアタイム(昼食時)の参加は必須.
2)事故を起こさないように各自勤めること.傷害保険等は各自加入のこととし、事故の責任は当事者に帰するものとする.

3)服装等:山で軽作業できる服装(運動靴か長靴か地下足袋、雨具、タオルなど).ゲスト用には少し準備されているが、ノコ・ナタの持参を原則としている.

4)降水確率(京都府南部、午前7時)が60%以上の日は、原則的に山づくり作業は中止.しかし、山や畑にも、「雨の日には雨の、雪の日には雪の景色がある」といって、皆さんは補修や軽作業などされます.

5)持参するもの:昼食は作るので、MY皿と椀と箸、コップなど、料理の持ち帰り容器、飲料水(お茶があるので水筒)など.

6)道具類や備品は、個人購入のものや皆さんのカンパで購入したものです.大切に扱うよう願います.備品類は汚れを洗った後、保管場所に戻すこと.また、使用した食器やコップ類は洗って戻すこと.出したゴミ等は各自持ち帰ること.
一切の「資源」の提供は主催者に連絡を願いたい.

7)参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.食材費(実費)+消耗品費として現在 400円を徴収.

☆活動拠点へのアクセスなど
8)集合場所:京都バス「岩倉 村松」行き終点「村松」.あるいは現地アカマツ林(京都市左京区岩倉村松町138-20バス停「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分).
叡山電鉄「岩倉」駅から現地アカマツ林へ2.3Km(徒歩30分)
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側(45分)
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)
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§3 私達のマツタケ山造り
作業内容は二通りに分けることができる.
これらの意味をよく理解し作業をすることが必要
①植生の調節
  植物の密度の適正化:平均地温の調節、落葉量の調節,土壌水分含量の適正化。伐る樹種、残す樹種、作業時期にこだわる必要はない。除間伐材は必ず集積地へ搬出しなければならない。
  ○アカマツ:枯損木,被庄木は地際から切る。枝払い後、玉切りして集積地に運び出す。枯損木は焼却する.
  ○広葉樹他(含 ヒノキ、スギ):
     大径木:株元直径5cm以上の木は地際から切る。枝払い後、玉切り後、
集積地へ搬出。
      
○中小径木:最近の異常気象による発生期の高温障害を防ぐために、直径
1~5cmの木は密度を4-7本/m2に調節する。日当たり、風通
しや落葉量を調節する。中段切りをしなくてもよい。枝払い後、
集積地に搬出.
   
○灌木等:膝頭より低い草本や灌木は地際から切ったり,根から抜き集積地へ搬出.

②土壌条件の適正化(地掻)落葉落枝層と腐植層の厚みの適正化。以下の(a)~(c)の条件を改善.林外に搬出
(a)物理的要因 土壌の硬度,土壌構造や保水力の改善,根のB層への移行
   を促進。
(b)化学的要因 有機物供給源の除去=富栄養状態の改善。
(c)微生物的要因 土壌微生物の質と量の改善=競争微生物や病原微生物の
   減少。
  地掻の強さは、褐色森林土壌が見え隠れする程度に実施する。
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§4 こんな活動をしています!
活動内容や作業区を簡単に紹介すると、
1)香川山
 ○ヤマガラグループ(ヤマガラの里Cエリア)
  ゲート入り口右側斜面を整備中。このエリアを若いアカマツ林に戻す予定。
 斜面正面エリアのススキ刈り取りなど補整作業に取り組んでいる。
皆伐区は、予定どおりに再生が進み、アカマツ幼樹の群落が美しい.斜面の地掻など補整作業を実施している.
一段と、マツノザイセンチュウ病による枯損木が周辺に目立っている.伐倒焼却の要あり.

2)澤田山
アカマツ林でマツタケの生息地を再生するというエリアとコナラ林を整備するエリアとがある.第1地整備地と第2整備地ごとにネライを定めて各班ごとに独自に作業を進めている.かつてアカマツ林化を考えて伐ったところの補整が進んでいる。
第1整備地は、
○村上班
マツタケ山づくりが行われている.京都府のホンシメジ接種試験が相当前に行われ、そのとき整備もされたが、菌根性のきのこの発生には至ってない.土壌の問題があると思える.補整の手入れが必要な状態になってきている.
○阿閉班
南側のやはりアカマツ林帯で、やがて両区はつながるという.エスケープした檜・杉など大径木の処理が進んでいる.美しいアカマツ林になってきている.
第2整備地は、
ヤマガラの里と呼ぶ.以前から整備を始めているところは「ヤマガラの里A地区」と呼び、整備が完了している.その西に当たるところを尾根部(アカマツ林を再生)、傾斜地部(コナラ林にする)など3区に分け、それぞれ生態的特徴を生かした整備を進めている.ここは「ヤマガラの里B地区」と呼ばれる.分からないことなどは前田・小原さんにお尋ね下さい.

第3整備地は、
作業エリアでは、アカマツ林再生を考え、尾根筋でアカマツ林再生作業が続いている.5-6年前には尾根筋でマツタケが採れたと聞くが、今、アカマツがないに等しい.アカマツ林の再生作業中.
○澤田山中広班
澤田山の一角にあるアカマツ林再生現場の作業を見聞したが、尾根筋がさっぱりとした広葉樹林にしたてあげられている。やはり、長年放置されると、我々の力量では歯が立ちにくいのだ。この立木密度、この林床堆積物では、アマチュアの尋常作業ではアカマツ林に戻せないためにそうなっている.作業エリアを広めずに尾根筋を、幅10mの範囲に限って、尾根沿いに順次皆伐。

○澤田山宮崎班 仲間を集めています!
現在、尾根筋アカマツ再生予定域から出る除間伐材、地掻き腐植の林外搬出路の確保を始めている。アカマツだけを残して尾根筋幅10mに沿っての皆伐がほぼ完了しました。作業中にも枯れ始めるアカマツが出てきており生き残りはわずか数本でアカマツ林再生の期待薄ですが、彼らがまいた種で子孫が増えてくれることにわずかな望みをつなぎたいと思います。
 なお、シューター設置予定の下部山域はすでにアカマツが壊滅状態で、コナラを中心とした落葉広葉樹、ソヨゴを中心とした常緑広葉樹の混交林に相変化している。そのためアカマツ林再生よりも、向かいのヤマガラ班整備地Aに合わせて薪炭材・落葉腐植堆肥採取林、昆虫・キノコ・山菜・野鳥観察・森林浴などの癒し林として再生する方が有意義と考え、その方向で整備を進める予定。
できれば将来、下部林内には休憩所的な東屋も作ってみたい。また、整備で出る粗朶類を利用して、ヤマガラ班A区に習って作業域周囲をシシ垣で囲いたい。
 
3)玉城山
2班が共同で作業をしている。
○榎本班
○三品班
昔は、山全体がマツタケの発生に適したアカマツ林であったが、林道が造られたためにその下のエリアからマツタケが消えた.岩泉まつたけ研究所の向林試験林内で、全く同じことを経験している.林道を一つ通すだけのように考えがちだが、周りの環境ががらりと変り水の流れも変化する.
尾根筋には、アカマツ林密度が比較的高く残っているので、榎本班と三品班で上部と下部からマツタケの生活するアカマツ林の再生作業に取り組んでいる.
地表の堆積物を堆肥化し、冬には水田に鋤き込む.マツのザイセンチュウ病害木の伐倒焼却活動が一旦終了したように見えたが、再開している.
ここは、市民によるマツタケ山づくりのお手本として有名になった.今まで、プロによる手入れで、マツタケ発生の復活は、「有から有は簡単である」と実証されている.しかし、市民による手入れでマツタケ発生の成果が出たケース(2007)は、ここが日本初の地である.
その後の発生がないので、発生ポイント周辺に覆土を試みた.シロが生きていたなら必ず元気になる.撒水実験にも取り組むという意欲的作業が見られる.

4)葉わさび栽培班
 岩手県岩泉町では、葉わさび産業が売り上げ1億円となっている.それはともかくとして、わさび漬けやお浸しがうまい.ここでは鹿害対策が課題である.
 幸い栽培に適する場所があったので、涼しくなれば苗を植えるつもりである.それまでは集めたり戴いた苗の管理をしながらわさびの生理生態を学んでいる.10人の仲間がいる.興味のある方は、世話人の榎本輝彦さんにおたずね下さい.

5)ポスト民芸運動(岩倉焼)班
 香川山BCに、全国から応援いただいたカンパで、みんなで造った「行ってこい帰ってこい」と命名された岩倉窯がある.その窯でポスト民芸に適う岩倉焼を制作している.目下幾多の課題を抱えつつも自らの技量を磨いている.近藤高弘さん進めるポスト民芸運動の旗手(!?)達である.

6)ニホンミツバチ保全班
 各地に巣箱を設置している.心ないミツバチ泥棒対策のため、巣箱設置場所は非公開.世話人は杉山廣行さんと内田正明さん.
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§5 今年の予定と目標
 コゴミ、ワラビ、花ズッキーニー、マッシュルーム栽培など検討
1)マツタケ山づくり奮闘記の出版(今夏販売予定:高文研)
2)京都造形芸術大学通信教育部環境学受講生がマツタケ山づくりに参加
  9月11日(土)に予定.交通案内など応援を願います.
3)林間葉わさび栽培に取りかかりたい
4)若い松林をつくろう!京都の景観・伝統行事を守ろう
  全作業区で実施.
5)元気を取り戻したシロを覆土(玉城山2月12日完了))
6)マツタケ感染アカマツ実生苗で人工のシロを作りたい!
和歌山県高野山岩田山に、クリーンルーム建設。農林水産省の補助申請予定
7)各地との交流推進
北海道旭川、岩手県岩泉町岩泉商工会、岩手県洋野町大野高校、石川県珠洲市金沢大学能登学舎、滋賀県彦根市滋賀県立大学荒神山、同近江八幡市沖島、和歌山県高野町岩田山、香川県小豆島マツタケ研究会、広島県庄原市マツタケ研究会
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主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典
080-6123-4706
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