まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 908

2014年05月06日 |  マツタケの林地栽培 

いつもお読みいただきありがとうございます。 
 
 休日、でない方もいらっしゃいますが、最後となりました。連休をいかがお過ごしでしょうか? 里山林を振り返ってくださったでしょうか! 「いやぁー・・・・」という方が多いでしょうね。
 でも、とにかく意味のある休みとなれば、これを幸いとすべきでしょう。 が、それでは僕たちの立つ瀬がありません。崩壊しつつある里山林に温かい目をおむけください! 

 まつたけ山復活させ隊は、多くの山主のお荷物となってしまった里山林の再生復権を考えている。残念ながら山を所有していないので、使わせていただいている山で小さな実験を試みている段階に過ぎませんが、いろんな取り組みをしている。

 スギ-ヒノキ林内で葉わさび栽培の可能性を探る試みをしていますが、昨年の大雨で流されたワサビ畑に新しい株が芽生えてきた。過剰に増えたニホンジカの食害を防ぐ意味で網をかぶせている。するとネズミの天敵、ヘビが掛かったりする。痛し痒しだ。網を切ってヘビを救助(写真1)。助けたヘビが、姿を変えて、夜、枕元に立つなんて話は、今の子供には、全く通じません。 お利口さんなんですね。でもそのうち ころっとだまされるようになるのかな?
1) 2)   写真は、左クリックで拡大します。

 岩手県沿岸・岩泉まつたけ研究所に15年いたので、東北春の山菜の栄養学的価値や厳しい冬が終わり芽吹く山菜を摘む喜びなどを、ありがたいことに、教えていただいた。その中の一つに、一つというよりはもっと大きなウエイトを占めていると思われる「シドケ」がある。和名はキク科でモミジガサという。
 写真2のように、葉がモミジの形をとる。ホーレンソーと同じような食べ方をするが、体の代謝作用の切替時期に相応しいアルカロイドを持っていて、「くせ」になる風味を持ちまことに美味しい。しかし、こちらでもまれに栽培品種が売られているが、そのモミジガサには癖がなくいただけない。残念である。早く、美味いシドケを味わいたい。

 里山の花は、小振りである。受粉には花の大きさからいってニホンミツバチがよいように思える。その受粉は、訪花生の昆虫で絶滅危惧種に指定されるものが、最近多くなり、危険状態である。そこでニホンミツバチの巣箱をあちこちに置いている。手に入れにくい蜜も少しいただこうとの魂胆もあるのですが。
 そのような意味合いを理解できない輩がいたり、ハチを盗んだり巣箱を壊されたりする。これは世話をするミツバチ班の悩みです。セットが終わった巣箱を前にポーズを取るEさん(写真3)。
3) 

 大阪府茨木市からFさん夫妻が阿閉班のアカマツ保全作業(4)、三品班の地掻き作業を体験(5)。前回の食事当番を担う特別シェフ内田さんと応援する仲間たち(6,7)。ありがとうございました。
4) 5) 6) 7) 


 5月9日(金)は、まつたけ山復活させ隊第438回活動日です。天気も良さそうです!
気温が高くなって来ました。熱中症やマダニなどによる虫刺され、そして事故に気をつけて、マツタケ山づくりを楽しみましょう! 
茶摘みを行います。世話人の小林さんが応援を求めています。よろしくお願いします。 

 
 午前10時に京都市左京区岩倉 村松 香川山(自称:下記の§活動拠点へのアクセスを御参照下さい)にお集まり下さい.本日の活動の様子は、内田 正明さんが当日夜に報告します。
 
 
マツタケ山づくりの話 14  
      <マツタケは、人による原生林の破壊によって登場し、人による里山林の破壊によってその生を終わろうとしているように見える> 
 
 マツタケとはどんなきのこであるのか、その生理生態、次いでその生息地であるアカマツ林が含まれる里山林の危機と進み、日本ならではの発想「マツタケの生活する里山林」づくりを担う市民の運動を紹介して参りました。前回は、マツタケの出ている林を探そう!と題して書いています。今回は14回目で調査地の調査項目です。
 
 そこで今回も、(株)トロント刊行(03-3408-1521)の「マツタケ山のつくり方」と大学の講義資料などを参照しつつ、その実際を書き進めて参ります。 私たち、マツタケ生態学者は、調査地の特徴をノートに残しておきます。各項目ごとに少し説明を付け加えておきました。参考にしてください。


調査地_________

1)気象
   年平均気温 10℃以下、10~12、12~14、14~16、16℃以上
   年平均降水量 1000mm以下、1000~1400、1400~1600、1600~1800、1800~2000、2000mm以上

 マツタケは、北極圏(スウェーデンなど)には生活するが、気温が高い低緯度地域では生活しない。ただし、北回帰線付近にある八通関山(3245m、台湾)では、五葉松に発生する。ホストがあり、気温が中緯度並ならば生活する。マツタケの子実体が大きく生長するには養分が必要で(キノコの90%近くは水分)、シロが大きくなる頃と子実体生長期に雨が必要である。近くのアメダスのデータを参考にする。

2)母岩の種類
石灰岩、凝灰岩、蛇紋岩、花崗岩、チャート、他
 
 マツタケは、京都三山のものが好まれていて品質の基準となっている。そこは花崗岩地帯であったため、そのマツタケが基本となった。本来酸性土壌を好むが、石灰岩や凝灰岩地帯にも発生する。でも北海道の蛇紋岩地帯には未発見。 

3)土壌型
  乾燥、 弱乾燥、 湿潤
 
 微生物との競争に弱いため、湿潤土壌は不得手である。しかし、子実体生長期は、土壌水分が必要である。でも、発生期の雨続きも困る。

4)土壌中のアカマツの根の分布
1~10cm、10~20、20~30、30~40cmに多い

 マツタケは、アカマツの根に感染し、菌根を作る。その集合体をシロと言うが、シロの位置はその深さが、せいぜい地表下30cmくらいにある。胞子の感染を考えると浅い部分にアカマツの細根が集中している方がよい。10cm四方に2-5本もあればよい。

5)腐植層の厚さ
 なし、 1~3cm、 3~6、  6~10、  10cm以上

 ここでは、胞子の感染を考えているので、腐植層は堆積していない方がよい。 堆積すると、マツタケの胞子が腐植層に絡め取られ、本来の生活圏に胞子が移動しにくい。発生林では、3cmほど堆積している方が好まれる。

6)斜面や尾根の向き
西から南、 南東、 北

 ある程度の乾燥土壌を好むので、日当たりのよい西から南を得意とするが、発生期の残暑のぶり返しが恒常化した最近は、北向き斜面に発生報告がよく聞かれる。

7)位置
尾根、山腹、斜面下部、平地

 平地アカマツ林にも発生するが(石川県珠洲市)、発生の始まりは尾根からで、樹齢と共に斜面下部へと増えていく。

8)アカマツの林型
アカマツ優占型、 広葉樹優占型、 その他

 アカマツが優占する林でないと持続的発生は期待できない。林を遠く離れて見て、アカマツ優占林であるなら、林内に入り(9)立木密度を調べる。

9)アカマツの立木密度(10×10m)
10本以下、10~15、 15~20、20~25、25~30、30本以上

 若い林ほど、密度は高いが、25年生林だと20~25本あればよい。岩手県岩泉大川地区で、ナラ林に立派なアカマツが2本ありその近辺にマツタケのシロが2つ見られた例がある。

10)アカマツ林の平均樹齢(年輪)
20年以下、20~25、 25~30、 30~35、 35~40、 40年以上

 発生期間は、樹齢30~70年生アカマツ林が普通である。マツタケが発生していない40年以上のアカマツ林では、マツタケが発生しない理由を考える必要がある。

11)アカマツの樹冠の閉塞度
広く空いている、少し空いている、閉塞している

 アカマツの枝と枝とがぶつかっている林は、アカマツの生長が鈍ってくるため根の量に不安がある。

12)林内植生(尾根OR山腹  /10×10m)
中層木(常緑 本、落葉 本) 下層木(常緑 本、 落葉 本)
林床の植生 (ササ、シダ類、 地衣類) が多い、 少ない

 林床に、ササ、シダ類(ウラジロ、コシダなど)が多い林は、胞子の感染やマツタケの持続的生活に問題がある。

13)キノコ相(調査時に発生していた)
現在マツタケの発生:ある、ない。 

14)土壌の微生物活性
  a) No. of Bacteria
    b) Glucose Dehydrogenase Activity
    c) Total Organic Carbon

 この調査は、専門的すぎるので、みなさんは無視下さい。

15)特記事項
 あと、気づいたことは、何でも記載しておくとよいでしょう。


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ブログ左欄ブックマークのNIKONオンラインギャラリーを左クリックしてギャラりーに入り、活動風景を御覧ください.
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§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費+消耗品費として400円を徴収.登録外参加者・見学者などは要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

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まつたけ山復活させ隊活動

予定日  2014年5月~6月
回  開催日  報告担当者  男厨シェフ
438 5月09日 金 内田
439 5月17日 土 榎本
440 5月23日 金 三輪
441 5月31日 土 宮崎                   京都精華大学 地域環境学(板倉 豊教授担当)受講生25名参加
442 6月06日 金 内田
443 6月14日 土 吉村     川崎
444 6月20日 金 榎本
445 6月28日 土 三輪

    11月7日(土)             京都造形芸術大学 環境学受講生 マツタケ山づくり体験 

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§カンパありがとう!  

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 redpinemushroom@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

 

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