まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 1152

2016年10月10日 |  マツタケの林地栽培 

マツタケの生理生態について、ほんの少し考えてみましょう!
 日本列島はほぼ南北に長いため、また、裏日本と表日本に気候の違いがある.従ってマツタケの発生時期は同じとはならない.北海道では、マツタケのホストは 多くはアカエゾマツで、トドマツ林にも発生するが、その発生は終わりに向かっている.

 また、長野県も、マツノザイセンチュウ病の影響をまぬかれる標高900m地帯より上にアカマツが集中するので早くから発生をみる.今年は北海道並みの発生であった.岩手県は沿岸が主産地だが、9月の上旬に始まり、高温のため一時発生がストップした.今は、県北部は夜ストーブ無しではいられない日が続き(大野、岩泉)、発生のピークを過ぎた様子である(盛岡中央市場).これから南部が発生の中心となってくる.

 ここ関西は、各県のマツタケが市場に出ている.兵庫養父の但馬マツタケも始まっている.もっとも、シロは幾つのもの異なる遺伝子集団で形成されているので、一つのシロにあっても子実体発生にばらつきが見られることをわすれてはいけない.丹波の園部と和歌山県冨貴でみたところ、まだ出始めである(10月初め).

 ここで図1 マツタケの生活をご覧下さい.マツタケのシロは生殖成長期にあり、子実体原基形成から子実体生長期である(西日本).シロでは、空き家の細根がないため新たな菌根形成はなく、子実体の生長にエネルギーを使い果たした菌根は崩壊していく.シロ表面温度が12℃を下回ると新たな原基形成も見られなくなる.
 

 生物は、吉良竜夫によると5℃を境に代謝活動が活発になったり休んだりする.マツタケもシロ表面温度が5℃を下回るまで、先述のようにアカマツ細根に空き家がなく菌糸ゾーンがつくられる.5℃を下回るとシロは代謝活動を落としてそれも休む.冬である.

 しかし、地球規模での気候変動によって冬の最低気温が高いため、害虫も植物もきのこも年中働きづめで疲労困憊しているのではないかと思われる.活動と休息のリズムを壊しているのである.そのツケは、いつ頃表面化するかと心配される.やがて生態系全体に影響を持つだろうと考えねばなりません.

 話を戻して、春先シロ表面が5℃を上回ると、アカマツの根が菌糸ゾーンをよぎりめでたく感染となる(図1).シロの栄養生長の始まりだ.7℃、15℃と菌根形成が盛んになりシロ径も大きくなる.やがて、盛夏の頃、アカマツの根の伸長が低下するとシロは成熟期を迎え、やがて子実体成長期となる.ちょうど今頃のことである.

 さて、岩倉あたりも昔風でいうと京まつたけの産地である.アカマツがほとんど見られなくなったが、ゼロではない.今や幻に近い京まつたけ復活を願う私達の活動の場、香川山で温度を測定している.図2は香川山のアカマツ林内の地温(林床下10cm)を示している.9月15日から10月8日までである.縦軸は温度、横軸は日時を示す.図中に2本の線がある.上のものは子実体刺激温度19℃ライン、下は新たな原基形成が無くなる境界温度12℃を示している(上下2本の間の数値のみ、標準温度計で補整します、念のため).
 

 簡単に言うと、地温がこの2本の間にあるとマツタケの姿を拝めるということである.もっとも子実体はその95%が水で、養分の供給は降水量によって決まるため、土壌水分含量がこれまたきのこの生長に大切である.京マツタケは、目下成熟期にあり、発生は、もうしばらく、寒くなる必要があることを図2は示している.ところが今まで順調に来ていても、原基形成後、気温が上がり高温障害が生じると凶作に転じるのである.この蒸し暑さが気になるところです.

 余談ですが、京まつたけとは、公家の日記から伺うと東山、北山、西山の産となる.でも、文献では、室町時代、森林を過度に利用したため、里山資源を周山や亀岡から移送していることが明らかである.マツタケも宮中に収めたという記録がある.するとこういった範囲のものを京まつたけといって差し支えないと思われる.ついでだが、私的で勝手に、旨いマツタケの名産地は、アカマツを必要とした産業が発達したところ(例、窯業など)で名水のあるところと考えている.


 10月14日(金)は558回活動日です.午前10時に京都市左京区岩倉 村松138-20 香川山(自称:下記アクセス)にお集まり下さい. 活動報告は内田 正明さんです.当日夜、ブログを是非ご覧ください.

【お知らせ】

(1)10月14日(金) テレビ朝日 「食彩の王国」が香川山でマツタケ山づくりを取材.10時30分~

(2)10月16日(日)~17日(月) 高松市塩江まつたけ狩りと懇親会(塩江ふる里の会主催) ホテルセカンドステージ泊 定員に達しました.

(3)11月16日(水)マツタケの林地栽培 講演会  14:30-17:00
     主催:韓国 慶尚北道 盈徳郡庁 (社)松保護市民連帯 大邱韓医大山林造景学科
     会場:盈徳郡庁
     演題:1.マツタケの林地栽培の基礎と実際  吉村 文彦
        2.日本のアカマツ林の現況      趙  庸祺  
       
 
【まつたけ山復活させ隊の心得】
悔いの残らないようにするには! 
1.あせらず!むりせず!ゆっくり!とまつたけ山づくりを楽しみましょう!

2.チェーンソーで立木を伐る作業は、取り扱いを習熟するまで厳禁です.万が一事故の場合は自己責任とは言え、班の世話人はその責任を問われます.

3.掛かり木の処理で死亡者が続出だそうです.伐木作業の『基本は忘れずに!』.掛られ木の伐採時に事故が発生.作業は慎重に!

4.急斜面に残された切り株につまづき小径木の切り株で顔面を怪我する大事故もあります.切り株を残さないように地際から伐りましょう!

5.マダニ対策の徹底を!  脱いだ衣服やリュックなどは地面に置かないように習慣づけ、マダニ対策の常識としましょう! 
 イノシシやニホンジカの行動エリアが拡大し、マダニと接触するチャンスが飛躍的に増えている.SFTSウイルスの媒介、リケッチアの媒介、治癒しても後遺症の残るダニ媒介性脳炎症(フラビウイルス)も日本に存在する(8月13日北海道で死者).

6.アシナガバチ・マルハナバチに刺されないように(アナフィラキシーショック)、オオスズメバチも活動が活発になっています.

7.熱中症に気をつけましょう!こまめに水分と日陰で休息をとりましょう. 

8.使用した道具類は点検・掃除後、元に戻す、損壊した時には世話人にその由連絡する.ガソリン缶の放置がときどき起こります.元に格納すること.

【まつたけ山復活させ隊とは!】

座して森と同化せよ

ほんの5分間
座って森に同化し
森の静寂に耳を傾ける.
木々の音、落葉を歩く虫の音、小鳥の会話.

森を理解するには
森と一体化すること、
森に抱かれること、体感すること!

Wilhelm Stölb
デュッセルドルフ 1954年生まれ .ミュンヘン大学で森林科学を研究
フリーランスのライター、林業の専門家、写真家、画家として活動
 
我々まつたけ山復活させ隊の仲間には、山づくりをする人、資材等を運ぶ人・軽トラを貸してくれる人、薪をつくる人、病害木を焼却する人、畑や水田を守る人、食事を作る人、道具類を整備する人、拠点を整備する人、道路を補修する人、バイオトイレを守る人、多機能窯を守る人、山を提供する人などがいる.作業内容を固定せず、気づいた人が仲間を集い作業をこなしています(原則).すべての参加者は、運動の目的を実現するために互いに対等で支え合い助け合うことを必要とする.

活動には、目的はあっても参加者の行為を縛る規約らしいものはない.個の能力を最大限に発揮でき、参加者の数だけ面白いことが創造できるようにと願ってのことである.
参加は誰にも開かれているが、施設の安直利用者(あの人たちは何しに来ているのか?といぶかる参加者を指す)は、これを認めない.「香川山に来る」それにプラスする何かがなければならない.当然、マツタケ山づくりを共に楽しむことに共感を持つことが必須だ.

 参加を誘う場合には、そこの所を踏まえて欲しい.また、初めての人にきちんと氏名と参加目的をみんなにコアタイム時に話すように教えるべきである.挨拶もできない大人になることを恐れもする. 
これを怠ると一体感が希薄になって、まつたけ山復活させ隊の堕落に繋がる.ひいてはこの活動の存続に関わる恐れがあるとまつたけ山復活させ隊各自の自覚が欲しい.意識改革されることを強く期待する.

まつたけ山復活させ隊活動日

活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、食材費+消耗品費として現在400円を徴収.登録外参加者・見学者などは500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、参加日や人数などを主催者にメールもしくは電話下さい.また、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?


回 開催日  報告担当者      男厨シェフ                  特別企画            体験参加
 
558 10月14日(金) 内田
559 10月22日(土) 榎本
560 10月28日(金) 三輪
561 11月05日(土) 池内                                                                              京都造形芸術大学 環境学受講生 
562 11月11日(金) 宮崎         内田+榎本班
563 11月19日(土) 内田
564 11月25日(金) 榎本                                          JIDF ラボ 12回 通常作業体験
565 12月03日(土) 三輪
566 12月09日(金) 宮崎         松本
567 12月17日(土) 池内

568 2017年1月7日(土)榎本

§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山(自称)
アクセス:
 京都バスの「岩倉 村松行き」終点(村松)が便利です.バスを降りたら、吉村まで電話下さい.
バスに乗車するには、
ア)阪急京都線 烏丸駅で市営地下鉄烏丸線に乗り換え、国際会館下車(ウ)に続く
イ)京阪本線 出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側)乗車 約30分
ウ)京都地下鉄烏丸線 国際会館下車 3番出口からバスターミナル1番 乗車 約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

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§カンパありがとう!
  メンバーのMTさんからカンパをいただきました.ありがとう!
  
§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173


§主 催
まつたけ山復活させ隊
Movement for Regeneration of Matsutake Forests
代表 吉村 文彦(微生物生態学)
090-6227-4305 miyakomatsutake@gmail.com
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27

香川理化学研究所(香川山オーナー)
代表 香川 晴男

 

 

 

 

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