まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 1237 マツタケ談話

2017年08月14日 |  マツタケの林地栽培 

今週は、お盆休みなので、マツタケの軽い話題をマツタケの写真と共にご覧下さい.

マツタケ談話 1708
 今、市場のマツタケ入荷情報を見ると、中国産、中国西南部おそらく四川省を含む雲南省もの(写真1.2)と東北部黒龍江省・吉林省もの、メキシコ産(写真3)、時にブータンもの(写真4)が輸入されている.他に朝鮮民族が扱うロシア産も輸入されるとなっている(財務省統計.サハリンものも含まれるか?).
写真1.中国雲南省 アカマツ林のもの

写真2.中国雲南省 コナラと共生するマツタケ

写真3.メキシコ産のマツタケ.種小名をことにする.ある店頭で.

写真4.ブータンのマツタケ.分類学上要検討.京都錦かね松提供.

 中国東北部のマツタケは、当然極東に位置する日本のものと遺伝的に酷似するが、中国西南部ものは日本産とは少し異なっている.というのも雲南省では、マツ科植物に共生するもの(写真1)とコナラと共生するもの(写真2)などが見られるが、コナラ林のものなどはマツ科樹林のものと違って、遺伝子も変異していると思われる.

 ご存じのように、マツタケの子実体形成は、低温刺激で始まる.だから北から発生が見られることになる.日本では、アカエゾマツ林やトドマツ林に発生する北海道もの(写真5.6)が早く出回る.今年の気象は、寒く雨が多いため最高の出とは行かないように思えるがもうそろそろ発生の第一声が聞けるのではないだろうか.

  

写真5.アカエゾマツ林のマツタケ                 写真6. アカエゾマツ林の大物である.人工トドマツ林も同じである.

 また、一大産地化形成に成功した岩手県岩泉町も今年は、山背の影響で、気温はすでにストーブが必要なくらいである.この辺りも最近は雨ばかりでこのままでは量的にも質的にも面白くない出来であろう(写真7.9.).こればかりは外れたがいいと願う.これからの気象で持ち直すことを経験しているため、期待すること大なり.写真7.岩手県岩泉町岩泉マツタケ

写真8.岩手県岩泉まつたけ研究所 向林試験林

写真 9.向林試験林の岩泉マツタケ

 まつたけ山復活させ隊の遠征も、ついに韓国慶州市・浦項市に及ぶ.私たちの遠征は9月の終わりだが、マツタケ発生の始まりにあたる.慶州市は、日本で言えば奈良市に当たる歴史の古い地域で至る所に歴史的遺産(写真10.11)があり、落ち着いた古来のたたたずまいを見せる集落がある(写真12).ところで、今回のツアーで宿泊するバンガロー(写真13)とその内部の調理設備など(写真14)の様子です.

写真10.有名な石仏だが、首が落ちている.

写真11.仏国寺の山門.立派である.

写真12 開発をまぬかれて今も往時の姿をとどめる.

写真13. 宿泊予定のバンガロウから朝を見る 12月

写真14.バンガロウ1Fの様子.近代的設備がある

 また、慶州人はまつたけを好むという(写真15).しかし、まつたけ料理はどちらかと言えば中国風(写真16.17)で日本とはやはり違う.日本では、まつたけという素材を活かすシンプル料理(焼く、汁物、ご飯)が主である.調理方法の違いは何によるのか「食の文化」上大変興味がある. 

写真15.朝鮮半島のマツタケ、日本と変わらない.

写真16.浦項市市内の店にて、牛鍋のまつたけ

写真17.ジンギスカン鍋でマツタケを焼く.

 まつたけ山復活させ隊の根拠地 香川山も、5-7月期は雨が少なく特に7月は平年の68.3%である.逆に日照時間は平年より長い.但し京都地方気象台データで香川山のそれらとは異なる.情けないがそんな断りを付けねばならない.もっとも植物やきのこが実際に利用した水分量は正確には知ることが現在でもできないため、マツタケの生理生態的特徴その他を勘案して、そんな傾向で語ることにしている.雨量は概ね似ていると考えたら、この雨量減はシロ生長にマイナスである.
 また、アカマツ林の光合成量の多寡はどのような影響を持つモノだろう? 現在、アカマツの根は、高温渇水期のためその伸長は止まり、シロは栄養生長を終え成熟期となっている.マツタケ発生量は、発生が昨年並みだとその頃の雨いかんだが、10月中旬の雨量が効いてくる.10月下旬の発生を楽しみに!!!

富喜マツタケ

まつたけ山復活させ隊和歌山富貴試験林にて

丹波 篠山産マツタケ

京都府南部 木津川市 鹿背山にて

岩手県 盛岡市 広葉樹林内で

岐阜県 八百津町にて

京マツタケ 昨年10月 香川山で 40年ぶりに復活

 次回活動日は8月25日(金).開催600回を祝い、かつ暑気払いとします.午前中は、各班の予定をこなす.あるいは、濱稔の碑詣りに参加など自由に致しましょう.
 濱稔の碑は京都岩倉尼吹山にある.濱田先生が、戦後まもない1946年にマツタケ研究のための試験林を独力で開設(当時房岡宇八郎氏所有).近代的マツタケ学を領導する数々の研究がそこでなされた.
 この碑に京マツタケ復活を謝し、そして、仲間の大月 健さん、杉山 廣行さん、森 壽一郎さん、榎本 輝彦さんの永眠を報告.献酒のおこぼれで共に乾杯(もう許されるだろう!?)いたしたく存じます.なお、読売テレビの取材が入るので、何度も語り尽くした濱稔の碑建立の裏話をごく簡単に紹介します. 
 
  
【お知らせ】

まつたけ山復活させ隊 暑気払い 祝600回記念
8月25日(金)定例活動日
   会費  1000円 アルコールは含まず.持ち込み大歓迎
       午前中は、マツタケ発生整備作業あるいはマツタケの碑詣(豊作祈願.濱稔、故大月さん、故杉山さん、故森さん、故榎本さんに献杯)
       食当の心づくしの料理で600回の開催に至ったことを寿ぎましょう!  読売テレビが取材します.

1.韓国慶州(キョンジュ)市・浦項(ポハン)市 マツタケ山ツアー  参加者募集中(現在13名).詳しい旅程は、決まり次第参加者にお知らせします.
      9月24日(日)-9月26日(火) 
      参加費は、関空-釜山往復の飛行機代(約3万円)と韓国内移動用バス代金(約15万円を参加人数で割る)と食事代(朝2回、昼3回、夕食1回)
      宿泊代(慶州山林休養施設バンガロウ泊:電気水道ガス、水洗トイレ、冷暖房、調理設備、風呂完備;新しくて美麗)と歓迎会費用は慶州市負担.
      
      参加申し込み(問い合わせ)は猫田 哲三さん(090-8759-1204)まで.パスポートの写しと航空運賃(3万円)を添えて申し込みください.

2.岩手県立大野高等学校収穫祭 参加者募集 
   日時 10月3日(火)~6日(金)
   場所:岩手県洋野町 岩手県立大野高等学校 並びに久慈平岳試験林
      10月4日:講演会とまつたけ狩りの打合せ、懇親会.10月5日:まつたけ狩りと昼食会
      問い合わせは吉村(090-6227-4305, E-mail) まで

3.千葉県立中央博物館 自然誌シンポジウム
  日時:2017年11月23日(木、祝)13:00~16:00
  場所:千葉県立中央博物館
  テーマ:マツタケ栽培最前線
      人工栽培(白坂憲章).感染苗利用栽培(山中髙史).林地栽培(吉村文彦)
      問い合わせは千葉県立中央博物館 吹春俊光先生 電話:043-265-3111(代表)

4.日本文化デザインフォーラム  JIDFラボ【松茸山再生と岩倉焼き】開催   名高いやきもの産地は名高いマツタケ産地である.
   開催場所はいずれも京都市左京区岩倉香川山(自称)まつたけ山復活させ隊活動拠点(アクセスは下記を!)

   14回 09月30日(土) 605回例会  陶芸班創作陶器にまつたけ料理を盛り、料理と作品を吟味 参加費は天候により変更  参加費:3500円 定員35名
   15回 11月18日(土) 612回例会  マツタケ発生整備作業と反省                           参加費:食費500円
      参加申し込みは吉村(090-6227-4305, E-mail)まで

§主 催

まつたけ山復活させ隊
Movement for Regeneration of Matsutake Forests
代表 吉村 文彦(微生物生態学)
090-6227-4305 miyakomatsutake@gmail.com
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27

香川山オーナー
 香川 晴男

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