まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 920

2014年06月17日 |  マツタケの林地栽培 

 石川県小松市で開催された日本菌学会に参加してきました.14日は、前日と打って変わって真夏のようでした.会場「サイエンスヒルズこまつ」の2階から幾筋もの谷に雪が残っている白山の美しさと懐かしさを感じました.良い写真が撮れませんでした.四季何年かに渡って調査とサンプリングに通った山です.もっとも僕は、岐阜県側から登っていました.

 日本菌学会教育文化賞を恐れ多くも頂戴するという栄に浴しました.岩泉まつたけ研究所の研究教育活動と、現在マツタケ学発祥の地である京都岩倉での「マツタケの生活する里山林づくり」・まつたけ山復活させ隊の活動などを高く評価下さったことを知りました.日本菌学会選考委員会並びに推薦者の皆さんに感謝申し上げます.ありがとうございました! 

大変立派な楯をいただきました.下記「お知らせ」にありますように、まつたけ山復活させ隊メンバーの皆さんが「じゃあ、祝ってやろう」と会を催して下さいます.その時に披露させて戴きます.

6月20日(金)は、まつたけ山復活させ隊第444回活動日です。午前10時に京都市左京区岩倉 村松138-20 香川山(自称:下記の§活動拠点へのアクセスを御参照下さい)にお集まり下さい.活動の様子は、前回同様 榎本 輝彦さんが当日夜、報告します。

熱中症やマダニなどに咬まれないように、そして事故に気をつけて、マツタケ山づくりを楽しみましょう! ツキノワグマ出現の可能性があるので歩行中の遭遇に注意しましょう! 

☆前回の活動報告
   欠席のため休止です.
 
お知らせ
1)2014年度日本菌学会で 吉村代表がこのたび、日本菌学会教育文化賞を受賞しました。それを祝う会を開催します。

 日時 平成26年6月25日(水)午後5時から約2時間ほどの予定 
 場所 祇園アパホテル2階の部屋を借り切ります(八坂神社石段下から四条通りを西へ110m南側) 
 会費 男性 3,500円、女性 2,500円  食べ放題・飲み放題

 多数のご参加をお待ちしております。出席申し込みは代表世話人ホリイ氏へ

2)玉城山・澤田山へのアクセスである林道(繁見本線)が昨年の大雨で崩れています.この度、林道の地権者が修理を決定されました.6月16日から7月18日まで、重機等で工事します.人は通れますが車の進入はできません(裏から進入できます).


マツタケ山づくりの話20
      <マツタケは、人による原生林の破壊によって登場し、人による里山林の破壊によってその生を終わろうとしている> 
 
 このシリーズも今回で、20回目を迎えます.そろそろ、マツタケ山の手入れを書き上げて終わりとすべきかな、いや終わりにしたいと思っています.
「マツタケ山のつくり方」:(トロント刊行 03-3408-1521.http://www1.u-netsurf.ne.jp/~AF100393/toronto/ )と「まつたけ山復活させ隊の仲間たち」(高文研:http://www.koubunken.co.jp/0450/0446.html )と岩泉まつたけ研究所の研究・実践と大学の講義資料などを参照しつつ書き進めて参ります.

 しかし、元は専門的なので、やさしくまた、簡素に書き直しています.私たちの活動の場は、かつて京まつたけといわれた北山まつたけの本場である.今でも取れているが、量は最盛期とは比べものにならないだろう.生息地の破壊が限りなく進行しているためである.
 
 私たち市民は、マツタケ胞子の受け入れ態勢を整えているが、手入れ直後に休眠したシロが元気を取り戻しマツタケの発生があったが、その後の子実体の発生は途絶えている.現在、岩倉では胞子源の確保が課題となっていて、この秋には、マツタケの胞子播種を考えている.      ご意見・質問は吉村までメールでお願いします.

マツタケの林地栽培法(続き)
 
マツタケ未発生アカマツ林の場合

手入れ前にマツタケが生活できるように改善できるか判定を行う.
(1)適地の判定 
①斜面や尾根の向き: 
西から南に挟まれた尾根や斜面は適.最近は、発生期の乾燥を避けて北斜面に発生するケースが増えています.
②林型: 
アカマツ優占林は適。広葉樹優占林は不適.
③林齢: 
地域のマツタケ発生開始樹齢-5年=適齢
④母岩の種類: 
中性~アルカリ性土壌は要注意。火山灰土、蛇紋岩や石灰岩、凝灰岩などは不適(岩手北上山地の石灰岩地帯は主産地となっている).
⑤アカマツの立木密度:
21~25年生で25本/100㎡は必要
⑥付近にマツタケの発生は:
  発生地が近くにあることが必要。胞子源の確保
⑦腐植層の堆積量:
  厚いとアカマツの細根が腐植層に上昇。6cm以上は不適.⑧と関連する.
⑧不適地のキノコ:腐植層の堆積を好むキノコが大量に発生する林は不適とする
  若齢林:コツブタケ,キチチタケ,キツネタケ,ハツタケなど.
  壮齢林:ケロウジ,クロハリタケ,ホウキタケ.ニンギョウタケなど.
 ⑨日当たり:周りの高い山の陰に注意、日当たり乾燥を好むが、①も考慮.キノコの発生時期は適切な雨が必要
 ⑩アカマツの細根の密度:
  深さ30cmまでに若い根があること.平均では4-6本/50×50cm.
⑪適地の植物:
  ネズ,ツツジ類,ヒサカキ,ネジキ,ナツハゼなどがある.
⑫林床植物の生育:
  地衣,シダ類やササ類が多いのは要注意. ササが全面に茂っていてもマツタケは発生.でも量的には少ないと思われる.

(2)マツタケ発生環境整備作業の実際

植生の調節
 ①植物の密度の適正化:平均地温の上昇、落葉量の調節,土壌水分含量の増加に貢献。伐る樹種、残す樹種、作業時期にこだわる必要はない。
 アカマツ:
  枯れ木,被圧木は地際から切る。枝の重なりをなくす。
 広葉樹:
  大径木   胸高直径5cm以上の木は地際から切る。
  中小径木  直径2~5cmの木は密度を5-6 本/㎡にする。日当たり、風通しや落葉量を調節する。
  潅木・草本 地際から切ったり,根から抜く。
 ②除間伐材は必ず適地外へ持ち出さねばならない。
 ③翌年には必ず補整作業 萌芽枝の生長が盛んになる。

土壌条件の適正化(地かき,林外に搬出)落葉落枝層と腐植層の厚みの適正化.以下の(a)-(c)の条件を改善。
(a)物理的要因 土壌の硬度,土壌構造や保水力の改善,根のB層への移行を促進。
(b)化学的要因 有機物供給源の除去=富栄養状態の改善。
(c)微生物的要因 土壌微生物の質と量の改善=競争微生物や病原微生物の減少。
    地かきの強さは、未発生林では褐色森林土壌が見える程度に実施する。

人工アカマツ林でマツタケ栽培
①林業上の手入れからマツタケ栽培の手入れに変換が必要。若齢林の手入れ、地かき、除間伐材の林外搬出。
②根系を発達させる作業  果樹栽培のようにアカマツの芯止めすることもよい。
③アカマツの補植 天然下種更新。群馬県大田金山でアカマツ苗を植えて400年マツタケを献上し(取り)続けた。
④ネズミサシ(マツタケが感染する)の補植。
⑤強度な手入れ 植生の調節,強度の地かき。
⑥胞子播種:岩手県岩泉町で胞子播種により人工林で日本初のマツタケ栽培に成功(確率は低い)。置きマツタケ法が自然に近い。

マツタケ山の日頃の管理(和歌山県富貴まつたけ産地にあるイワタ山を見学されると大いに参考になります)
①山の手入れを怠らない。樹木が適正規模以上に繁茂しないようにする。5年毎に補整作業を実施。
②アカマツが常に生長するように,枝と枝が重ならないように整枝したり、または被圧木を除伐する。松枯れは直ちに伐倒焼却、もしくは薬剤処理。
③落葉・落枝をためすぎない。
④集根法アカマツ細根量の増加;客土,斜面にステップ状の切れ込みをいれる。
 感染法 マツタケの感染促進(シロ1つ当たり開きのマツタケを1本残す),アカマツやネズミサシの補植
⑤シロの覆土
⑥ミスト散布法 
⑦シロの再生・強化
 マツタケ採り道路によるシロの切断には客土する.シロの外側にアカマツの細根を客土して集める.客土するとアカマツの細根は増える(3年掛かる).

 マツタケが1本でも発生している林に於いては、マツタケの林地栽培は決してむずかしくない。ただ,昭和30年以前のアカマツ林を忠実に復元すればよいのである。しかし、最近のアカマツ林は土壌の富栄養化が進み手入れ作業の効果が出にくくなっている。しかし、尾根筋には適正土壌が残りアカマツも残っているので、欲張らずにあきらめずに山に愛情を注ぐことが必要である. 完

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§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費+消耗品費として400円を徴収.登録外参加者・見学者などは要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

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まつたけ山復活させ隊活動日

予定日  2014年6月~12月
回  開催日  報告担当者   男厨シェフ

444 6月20日 金 榎本
445 6月28日 土 三輪
446 7月04日 金 宮崎
447 7月12日 土 内田
448 7月18日 金 榎本
449 7月26日 土 三輪
450 8月01日 金 宮崎     暑気払い(3000円).小原&松本(唱歌他)生演奏、ケーシー有山トークショー(交渉中)
451 8月09日 土 内田      松本
452 8月22日 金 榎本
453 8月30日 土 三輪
454 9月05日 金 宮崎
455 9月13日 土 内田      小原
456 9月19日 金 榎本
457 9月27日 土 三輪
458 10月03日金 宮崎
459 10月11日土 内田
460 10月17日金 榎本
461 10月25日土 三輪      松浦
462 10月31日金 宮崎
463 11月08日土 内田     京都造形芸術大学 環境学受講生 マツタケ山づくり体験
464 11月14日金 榎本
465 11月22日土 池内
466 11月28日金 三輪      内田
467 12月06日土 宮崎
468 12月12日金 内田
469 12月20日土 榎本     忘年会(3000円)
470 2015年1月10日土 池内

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§カンパありがとう!  

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 matsutake10@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

 

 

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