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香港の通知表

2009-06-14 09:05:55 | Weblog
“世界の表彰・評価”から、“指標”を定めて、“数値”で、
日本の通知表”をみたが、同じ指標で、
香港の通知表”は、どうなるだろうか?

スイスの調査会社、IMDスイスが発行する、
世界競争力年鑑」World Competitiveness Yearbookでは、
香港の評価が高いことを、“スイスの通知表”で、お伝えした。

香港は総合2位で、1位のアメリカに次ぐ。
3位シンガポール、4位スイス、5位デンマーク、6位スウェーデン、
7位オーストラリア、8位カナダ、9位フィンランド、10位オランダが続く。
日本は17位である。

クライテリアでみる香港は、経済の実績が57か国中、3位、
行政の効率が2位、ビジネスの効率が1位と、すばらしい。

香港島。


競争力ランキングの推移をみる。

香港は、2000年の初めは、10位であった。それが、一桁台になり、
ここ数年はシンガポールと2位争いをしている。

IMDスイスの「世界競争力年鑑」World Competitiveness Yearbookで、
世界2位である“香港の通知表”をみたい。

ランク…AA=3位以内 A=10位以内 B=20位以内 C=30位以内 D=40位以内。
1)創造力: ノーベル賞の受賞者はいない→ランクF。
2)芸術力: カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞作品1は11位→ランクB。
3)学力:  PISA2006の15歳の知識と技能は1位→ランクAA。
4)文化力: 文化遺産と複合遺産は0→ランクF。
5)運動力: サッカーのランキングは143位→ランクF。
 陸上競技世界記録はない。
6)経済力: 国民総生産は36位→ランクD。
7)援助力: 政府開発援助はない→ランクF。
8)総合力: ランクA。


香港のレーダーチャート(2009年6月)。

[総合評価]
“学力”のPISA2006の15歳の知識と技能が2位と、すばらしい。
PISAは、義務教育が終わる15歳の生徒の学習到達度を調査するプログラムで、
2000年から始まって、3年ごとに実施している。
読解力、科学、数学の点数が公表されているから、
合計した総合点で、順位の推移をみる。

香港は、PISA2003に初めて参加して、いきなり3位である。

世界のトップ・レベルにあるフィンランド、韓国、香港の、
読解力、数学、科学のPISA2000、2003、2006の推移をみる。


香港は、PISA2003で、読解力が10位、数学が1位、科学が3位だった。
つぎの、PISA2006では、香港は総合で、韓国とともに2位になった。
読解力が3位、数学3位、科学2位である。

PISAの調査でトップ・レベルにあるフィンランド、香港、韓国に、
共通していること……それは、自然資源に恵まれていない、小さな国。
あるのは、“人的資源”だけ。その、
「人的資源を生かさなければ、国の未来はない」
と、教育には力を入れてきた。そして、その成果がでている。
自然資源に恵まれていない小さな国、これは、日本も同じである。

夜の香港島。

“経済力”は、国民総生産GDPが36位である。
香港は、ビジネスと観光で、世界から訪れる人であふれている。
活気のある国際都市”とは、香港のことではないか、と感じる。

香港国際空港は、ジャンボ機が離着陸できる滑走路が2本あり、
アジアのハブ”の座を獲得した。
旅客数と貨物の取扱量で空港の重要性を評価すると、
旅客数”は、シンガポールや成田を抜いてアジアのトップであり、
貨物の取扱量”は世界のトップで、成田、シンガポール、
台北、ソウルを抜いた。

それに、香港国際空港から、オフィス街の香港島までのアクセスがいい。
34キロメートルを高速電車AEL(Airport Express Line)は、23分で結ぶ。
観光客は、香港ディズニーランドで遊び、ショッピングをし、中華料理を味わう。

コンベンション・センターが、中国返還前に香港島にできた。
このコンベンション・センターで、香港返還のセレモニーが行われた(1997年)。
国際会議は、これまで、シンガポールの国際会議場や、
シドニーのコンベンション・エグジビション・センターで開催されていたが、
これで香港でも、国際会議が開けるようになって、世界から人が集まってくる。

ボートの奥、丸屋根がコンベンション・センター。

中国の経済特区では、香港人の進出で、中国経済が急成長している。
香港人による資本の投下、国際都市で鍛え抜かれた商才、国際感覚、
市場経済における経営ノウハウ……を伝授して、中国が発展している。
人口700万人、国土が東京都の半分の香港は、人の叡智でがんばる国である。

香港は、1997年にイギリスの統治から中国に返還された。
国が消滅して、特別行政区となって、共産政権の中国に組み込まれた。
自由主義は残されるとはいえ、“一国二制度One country, Two systems”という、
政治の激変を体験した。

毎年7月1日の返還記念日には、中国の要人が香港に来て記念式典を行うが、
会場のコンベンション・センターの周囲では、香港人の大規模なデモが行われる。
直接選挙を要求し、民主化運動を弾圧した天安門事件の解明を求めている。
自ら求めて返還を望んだわけではない香港人にとって、
経済の発展のために、人権の弾圧や犠牲は受け入れられない。
イギリス時代に根づいた民主化を進めて、一国二制度の統合を根づかせていきたい。

経済的には発展をみた中国は、
人権の犠牲の上に成り立つことは、考えていないと思う。
国際競争力が2位、学力が2位の国際都市、香港は、
中国の発展のため、世界の発展のために、大事な役割を果たしている。


夜の香港島。中央手前はコンベンション・センター。
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