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『改訳 愉しき放浪児』(読書メモ)

アイヒェンドルフ(関泰祐訳)『改訳 愉しき放浪児』岩波文庫

水車小屋で働く親父から「こののらくら者め!お前も世間へおん出て、自分でくらしの道をたてろい」(p.3)と言われた「ぼく」は、故郷を離れ、得意のヴァイオリンを携えて旅にでる

その後、二人の伯爵令嬢と出会い、ウィーンの家で庭師として働き、やがて収税吏に引き立てられるも、イタリアに向けて旅立つ。そして、さまざまな出会いを経て、伯爵家に戻り、令嬢と結ばれるという物語である。

なにもかも上手くいきすぎてわざとらしいストーリーなのだが、なぜか読んでいて楽しい。それは、主人公の「ぼく」が前向きで、その姿勢が「さまざまな縁」を創っていくように思えるからだ。

本書で一番印象に残ったのは、せっかく安定した職である収税吏に就いたのに、それを捨てて旅に出るところ。

ぼくはここから出ていかなくちゃならない。空が青々としているかぎり、どこまでもどこまでも!」(p.31)

前向きに夢を追い求めることの大切さが伝わってきた。





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