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逃げ出すことができないでいる

自伝には多かれ少なかれ、自慢めいたことが書かれている。しかし、先日紹介した『ガンジー自伝』には、そうした個所があまりない。

「はしがき」に書かれた次の言葉を読んで感動した。

「わたしの意図していることは、サッティヤーグラハ(注:真実の力、愛の力)学に照らして実験を述べることであってわたしがどれくらい善良であるかを述べることではない。私自身を判断するに当たって、できるだけきびしく誠実であることに努めよう。わたしはまた、他人にもそうであることを望んでいる。」

「そのような規準に立って私自身を測定しながら、わたしは叫ばなければならない。

われのごとく 小賢しく
いやしき者ありや
造り主を見捨てたるわれ
われはかく 不信の徒なりし

というのは、わたしの生命の一呼吸一呼吸をつかさどっており、私自身を生んでくれた神、その神からわたしがいぜんとして遠くにとどまっていることは、わたしの不断の苦しみであるからである。このように私を神から遠く引き離しているものが、内心に宿る邪悪な欲情であることはわたしも知っている。しかし、それから逃げ出すことができないでいる。」(p.20)

ガンジーほどの人がそう感じているのを読んで少しホッとした。

出所:マハトマ・ガンジー(蝋山芳郎訳)『ガンジー自伝』中公文庫


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