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自分は何者であるのか?

『おかしな男 渥美清』(ちくま文庫)の中から。

著者の小林信彦氏のところに、渥美清さんから電話があった。そのときのやり取りが以下の通り。

「その時、ぼくは、あなた方コメディアンは・・・・・という言い方をした。
電話の向う側に、暗い沈黙があった。
間を置いて、
おれは自分をコメディアンだと思っていないんだよ
(中略)
じゃ、何なんだ、と言い返したかった。
役者だと思っているんだ、自分では
あ、そうか、とすぐにわかった。
Comedianというのはぼくにとって最上級の誉め言葉なのだが、渥美清にとってはそうではないらしい。カタカナのコメディアンは彼にとって蔑称なのである。」(p.124-125)

芸人ではなく、役者。そう思われたかった渥美さん。

自分のアイデンティティをどこに求めるかは本人次第である。だから、周りがとやかく言う筋合いはない。しかし、この箇所を読んで、なんとなく寂しい気がした

改めて「自分は何者であるのか?」について考えさせられた。


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