goo

『ノーサンガー・アビー』(読書メモ)

ジェイン・オースティン『ノーサンガー・アビー』ちくま文庫

これでジェイン・オースティンもの4冊目であるが、読み始めて「エッ、これ本当にジェイン・オースティンが書いたの?」と思ってしまった。

なぜなら、書きっぷりがなんとなく洗練されていないから。やたらと、著者のナレーションが入っているのも不自然である。

良く調べたら、本作はジェイン・オースティンの(実質的)1作目の作品であることが判明。

「ジェイン・オースティンでも、駆け出しのころは未熟だったんだ」と少し身近に感じた。

なお、ノーサンガーとは地名のことで、アビーとは元修道院だった屋敷を指す。

中の上の家庭に属する、17歳少女キャサリンが主人公。真っすぐで素直な性格だが、小説の読みすぎで妄想癖がある。

そんな彼女が、(当時の小説の舞台になることが多かった)アビーに滞在しているときに展開するストーリーが本作。

性格が良い好青年と出会い、いろいろな障害を乗り越えていくという点では『マンスフィールド・パーク』と似ている。

そして、癖のある人物がたくさんいて、物語を盛り上げる「朝ドラ的作り」はお決まりのパターン。

アリストテレスは『ニコマコス倫理学』の中で、「徳のある人とつきあえ」と言っているが、本作を読み、改めてそのことの大切さを感じた。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )