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意識改革

トヨタ生産方式に基づく製造現場の改善コンサルタントとして有名な山田日登志氏によれば、工場や現場の改革を行うときのポイントは、変革に反対する抵抗勢力を味方につけることだという。

そのために大事なのがトレーナー訓練

工場長や班長など現場の幹部が改善活動に協力してくれるように、事前に教育しておくわけだ。工場にトレーナーが増えると、生産現場でのあいさつが増え、動作が機敏になり、改善のスピードが加速するらしい。

その研修の中に「モラール訓練」と呼ばれるものがある。「今日こそ、おれはやるぞ」「やってみてから考えろ」と大声を張り上げながら拳を突き上げる訓練である。これを河川敷などで一日4-5時間、二日間やるという。山田氏は次のように述べている。

「異様な光景に初めて見た人は皆びっくりするが、やる前とやった後では全然違う。これぐらいやらないと古い常識にとらわれた人間は変わろうという気持ちにならない。頭でわかったつもりでも実際に行動できない人がたくさんいる。」

僕も一度テレビの特集で見たことがあるが「なんだこれは?」と思った。しかし、山田氏の説明を聞いてみると、この訓練は心理学の分野における「行動療法」の原理にのっとったものであることに気づいた。

人間は、「考えて→行動する」と同時に、「行動して→考える」動物でもある。自分が行動した内容を見て「自分はこう思っている」「自分はこう考えている」と気づくわけだ。意識を変えるときには、考えさせるよりも、まず「実行してもらう」ことの方が有効である。

ただ、一歩間違えると「洗脳」に近くなってしまうので注意が必要だと思った。

出所:日経産業新聞2008.9.9(「工場再生請負人」と呼ばれて⑨)
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