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『紫式部日記』(読書メモ)

紫式部(山本淳子編)『紫式部日記』角川ソフィア文庫

源氏物語」の作者として注目された紫式部は、藤原道長に見込まれて、娘である中宮彰子の女房(侍女)として宮廷に入る。

本書は、その紫式部による宮廷回顧録である。

印象的だったのは、紫式部の繊細さとネガティブさ

編者の山本先生いわく「初出勤したものの誰も話しかけてくれないからといって自宅に逃げ帰り、そのまま五か月以上もひきこもる始末です」(p. 86)

また、現在では世界的に有名な『源氏物語』だが、当時は漢文や詩歌のほうが高く評価され、小説はサブカルチャー的な扱いだったというから驚きである(しかし、天皇も彰子も読んでいるのだが・・・)。

興味深かったのは、本書の前半では自信なげで超ネガティブな紫式部が、後半になると、自信と気合がみなぎり、彰子を守る女房軍団を叱咤激励するようになるところ。山本先生によれば、本書は紫式部の成長物語としても読めるという。

その原動力の一つは、『枕草子』の作者である清少納言の存在である。当時、小説よりも上とみなされていた随筆で一世を風靡していた清少納言をライバルとみなし、「負けてたまるか」と意気込んでいる様子がうかがえる。

優れた人との切磋琢磨の大切さがわかった。




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