goo

『たけくらべ 現代語訳・樋口一葉』(読書メモ)

樋口一葉(松浦理英子他訳)『たけくらべ 現代語訳・樋口一葉』河出文庫

若くして亡くなった天才・樋口一葉の作品を現代語に訳したもの。「たけくらべ」「やみ夜」「十三夜」「うもれ木」「わかれ道」が収録されている。

全作品に共通しているのは、「暗い終わり方」をしている点。樋口一葉の世界観を表わしているような気がした。

「たけくらべ」はイマイチだったが、その他の作品はとても良かった。最も印象に残ったのは「うもれ木」である。

腕は確かだが、偏屈者のために貧困にあえぐ絵付け師が主人公。金持ちになった昔の弟弟子が現われたのをきっかけに状況が好転し、素晴らしい作品を造り上げるものの、悲劇が訪れる。

仕事に魅入られすぎて大切な人を失うというストーリーから、芥川龍之介の『地獄絵』を思い出した。

明治の薄暗さが漂う樋口一葉の作品群には、独特の味わいがあった。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 偶然を受け入... 過去のあなた... »