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『若きウェルテルの悩み』(読書メモ)

ゲーテ(竹山道雄訳)『若きウェルテルの悩み』岩波文庫

ゲーテを読んだことがなかったので、とっつきやすそうなウェルテルを読んでみた。

感想を一言で言うなら「ウェルテル=ストーカーのような執着心を持っている人」ということ。

婚約者がいるロッテに惚れてしまったウェルテルは、ロッテが結婚した後も想いを断ち切れずにつきまとう。ただ、ウェルテルがストーカーと違うところは、堂々とロッテの家庭にまで入り込んでいるところと、ロッテもまんざらではないと思っているところだろう。

ちなみにこの作品は、半分がゲーテの体験、もう半分は別の人がモデルとなっているらしい。ロッテは実在の人物で、彼女への熱い想いはゲーテの経験そのままである。

想いが遂げられずに自殺してしまうウェルテルだが、よく考えると、ハッキリと断らないロッテに根本的な問題があるように感じた。自分の友達をウェルテルに紹介しようという次の箇所を紹介しよう。

「彼女は自分の知りあいをひとりひとり考えてみました。しかし、だれにもどこかに難があって、ウェルテルを渡したいと思うような女はありませんでした。(中略)ほんとうの心の底のひそやかな願いは、やっぱりウェルテルを自分のためにとっておきたいのでした」(p.198)

ゲーテは、この作品でスターダムにのし上がったが、ロッテへの復讐の意味もあったのかもしれない。そう考えると、作家という人たちは、人を攻撃する強力な武器を持っていることになる。

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