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思いの共有

日経ビジネスに、京セラ名誉会長の稲盛和夫さんの記事が載っていた。「日本的経営とは何か?」というテーマだが、稲盛さんの答えは「思いの共有」である。

不景気を乗り越えて会社を発展させるためには「経営者が自らの意志を強く持ち、その思いを周囲にしっかりと伝えていくしか方法はありません」と主張している。

また、過去を振り返り、次のように述べている。

「私が京都セラミックという中小零細企業を始めた頃、技術もなければお金もないという時、何が頼りになったかと言えば、やはり一緒に働く従業員の心や意識です。経営している私と同じ方向に向いてくれていることが、一番大事でした」。

先日紹介した、セコムの飯田氏による「経営者のメッセージが組織の活力を生む」という考え方と似ている。

「思いを共有」するためには

・リーダーが強い思いを持ち
・それを伝え
・メンバーがそれに共感すること

が必要になる。

僕は現在、人材育成の上手な看護師長さんのインタビューをしているが、彼女達はまさに、これら3つを実践している。つまり、師長が「うちの病棟をこうしたい」という強い意志を持ち、それをスタッフに伝え、スタッフがそれに共感している職場では、人がよく育ち、看護の質も高いのである。

このように考えると、日本企業も海外の企業も大きな違いはない。思いの「伝え方」「共感の仕方」が、国や組織や個人によって異なるのだろう。いわゆる日本的経営とは、あうんの呼吸で思いを伝え、共感できていた時代の経営スタイルを指していると思われる。

これら3つの要素をしっかりと実施することが、会社や職場を活性化するための鍵になる、といえるかもしれない。

出所:稲盛和夫『「思い」をもっと伝えよ』日経ビジネス2009年10月5日号、p.114-117.
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