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『フロイトの弟子と旅する長椅子』(読書メモ)

ダイ・シージエ著『フロイトの弟子と旅する長椅子』早川書房

面白そうなタイトルに惹かれて読んだ。

中国の四川で文化大革命を経験した後、フランスに渡り精神分析医となって帰国した「莫(モー)」が、恋心をよせる政治犯を救うために奮闘する物語である。

著者のダイ・シージエ氏も、四川の大学を卒業した後、パリにわたり映画監督になった人。自身の経験がかなり反映されているような気がする。

専門家としてのプライドを持ちながら、片思いの恋人のために命をかけるが、権力を恐れてびくびくしたり、他人を利用しようとする主人公は、とても人間味がある。

本書を読んで、中国社会を批判しながらも愛している著者の気持ちと、中国の人々のたくましさが伝わってきた。

シージエ氏が監督してヒットしたという映画「小さな中国のお針子」も観てみたい。
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