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『少年の夢』(読書メモ)

梅原猛『少年の夢』河出文庫

哲学者の梅原猛さんが、高校生や小学生に語った内容をまとめたもの。

平易な言葉で、深いことが語られている。

一番インパクトがあったのは、「夢と心の傷」について。

「私は、夢がなかったら人間は人間ではありえない、文明というものはなかった、と思うのですが、このわれわれ人間のなかには、特別に夢の好きな人、夢に命をかける人がいます。人一倍大きな夢を見て、それを実現した人がいる。私は、そういう人たちには、一つの共通したものがあるように思うんです。それは何か?

すべてがそうとは言いませんが、そういう夢を見る人間には、心に大きな傷を持っている人が多いんですね。この人はどうしてこんなに大きな夢を持ったのか、どうしてその夢を実現することに一生をかけることができたのかと見ていくと、心に大きな傷、コンプレックスがある場合が多いんですね。その心の傷が夢をみさせている、そう思うんです」(p.18)

「皆さんにも、コンプレックスに悩んだり、悲しんでいる人は多いと思います。だけど、心に傷があっても、それを悲しんではいけないんです。悲しんで、自暴自棄になったら、自分を滅ぼしてしまう。そうじゃないんですよ。本当に夢見る人間というのは、どこかに深い傷を持っている人間なんです。皆さんの傷が深ければ深いほど、素晴らしい夢を見る人になりうる。そう考えるといいですね」(p.19-20)

なんと勇気づけられる言葉だろう。

そして、それは真実であるように思う。自分の傷を大事にして、夢につなげたいと感じた。




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