松尾睦のブログです。個人や組織の学習、書籍、映画ならびに聖書の言葉などについて書いています。
ラーニング・ラボ
『新訳 経営者の役割』(読書メモ)
C.I. バーナード(山本安次郎他訳)『新訳 経営者の役割』ダイヤモンド社
経営学の基礎となっている『経営者の役割』を改めて読み直してみた。
著者のバーナードは学者ではなく実務家なのだが、非常に(異常に)論理的である。経営者としての経験を理論に落とし込む力が半端ではない。
組織成立の条件は、いまだにバーナードの定義が用いられている。
すなわち、組織は
①相互に意思を伝達できる人々がおり(コミュニケーション)
②それらの人々は行為を貢献しようとする意欲をもって(貢献意欲)
③共通目的の達成をめざすときに(共通目的)
成立する(p. 85)
そのほか、誘因の経済、権威の理論、リーダーシップについて深く本質的なことが書かれているのだが、一番インパクトがあったのは付録としていついている講演録「日常の心理」。
一言で言うと、精神過程には「論理的過程」と「非論理的過程」があるが、このうち「非論理的過程が軽視されているけれども大事だよ」という話である。
論理的過程とは、「分析的」に物事を考える左脳的な思考であるのに対し、非論理的過程とは、「直観的」に物事をとらえる右脳的な思考を指す。
非論理的過程は、心理学においても、ヒューリスティックスや感情的知能といった形で注目されているが、この講演が行われた1936年の時点で指摘しているのがすごい。
面白かったのは、仕事内容によって「論理的過程」と「非論理的過程」の重要性の比重が違うという指摘。
例えば、「有能で偉大な科学者は、すべて非論理的にして、高度に直観的な精神過程をもっているように思われる」(p. 335)という箇所を読み、天才数学者である岡潔さんが「数学者にとって感情が大事」と言っていたのを思い出した。
また、同じ弁護士であっても、法廷専門弁護士には「非論理性」が、上訴弁護士には「論理性」が、顧問弁護士には「論理性と非論理性のバランス」が求められるという。
要は、人を動かしたり、発見・創造の仕事には「非論理的思考」が必要であり、物事を正確・的確に処理する仕事には「論理的思考」が必要なのだろう。
仕事をしているときに、自分がどちらの脳を使っているか意識することが大事だと思った。
経営学の基礎となっている『経営者の役割』を改めて読み直してみた。
著者のバーナードは学者ではなく実務家なのだが、非常に(異常に)論理的である。経営者としての経験を理論に落とし込む力が半端ではない。
組織成立の条件は、いまだにバーナードの定義が用いられている。
すなわち、組織は
①相互に意思を伝達できる人々がおり(コミュニケーション)
②それらの人々は行為を貢献しようとする意欲をもって(貢献意欲)
③共通目的の達成をめざすときに(共通目的)
成立する(p. 85)
そのほか、誘因の経済、権威の理論、リーダーシップについて深く本質的なことが書かれているのだが、一番インパクトがあったのは付録としていついている講演録「日常の心理」。
一言で言うと、精神過程には「論理的過程」と「非論理的過程」があるが、このうち「非論理的過程が軽視されているけれども大事だよ」という話である。
論理的過程とは、「分析的」に物事を考える左脳的な思考であるのに対し、非論理的過程とは、「直観的」に物事をとらえる右脳的な思考を指す。
非論理的過程は、心理学においても、ヒューリスティックスや感情的知能といった形で注目されているが、この講演が行われた1936年の時点で指摘しているのがすごい。
面白かったのは、仕事内容によって「論理的過程」と「非論理的過程」の重要性の比重が違うという指摘。
例えば、「有能で偉大な科学者は、すべて非論理的にして、高度に直観的な精神過程をもっているように思われる」(p. 335)という箇所を読み、天才数学者である岡潔さんが「数学者にとって感情が大事」と言っていたのを思い出した。
また、同じ弁護士であっても、法廷専門弁護士には「非論理性」が、上訴弁護士には「論理性」が、顧問弁護士には「論理性と非論理性のバランス」が求められるという。
要は、人を動かしたり、発見・創造の仕事には「非論理的思考」が必要であり、物事を正確・的確に処理する仕事には「論理的思考」が必要なのだろう。
仕事をしているときに、自分がどちらの脳を使っているか意識することが大事だと思った。
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