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『とりかえばや物語』(読書メモ)

鈴木裕子編『とりかえばや物語』角川ソフィア文庫

以前、河合隼雄さんがこの本について言及していたので読んでみた。

時は平安時代の京都。権大納言には、外見が瓜二つの息子と娘がいたのだが、息子は女性のよう、娘は男性のようだったため「若君と姫君を取り替えたい(とりかえばや)」(p.14)と思っていた。

怖ろしいのは、そう思うだけでなく、実際に若君は姫君として、姫君は若君として成人式を挙げてしまったところ。二人が成長するにつれて、いろいろなトラブルが勃発し、なんとか解決していくというストーリー。

ちなみに、二人は今でいうトランスジェンダーではなく、大人になると生まれついた性を意識するようになり(だから悩むのだが)、最後にはまた元の性に入れ替わる

印象的だったのは、男として育った女君が女性に戻ったときに、「男を待つ女の苦労」を知るところ。性の役割を入れ替えてみないと、本当の苦労はわからないのだ。

世の中のお父さんたちは、お母さんの役をしてみないと、本当の気持ちはわからないのだろう、と思った。



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